〜ある春の日の出来事〜

私はある春の日一人でたたずんでいた。
柔らかな日差しが私を包む込んでくれる、とても気持ちの良い日だった。
いつものようにいたずら好きの友達のテンシェルが私の元にやってきた。
彼は私をからかってよく遊んでいる子だ。
「こんにちは、今日も素敵な日ね」
私はいつものように声をかける。テンシェルは
「ああ。」
と低い声で相づちをうった。私は少し違和感を感じた。いつもの彼なら
二言三言からかいの言葉で私の言葉に反応するのに・・・?私は彼をじぃっと見つめた。
彼に何かあったのだろうか?彼は決心をしたように私のほうを向いて呼びかけた。
「なぁに?どうかしたの?何か・・・あったの?」
私は彼の呼びかけに答えた。いつものいたずら好きそうな元気な彼の顔とは違い、
とても真剣な顔をしていた。
「君の中に新しい命が宿っているよ。」
私はあまりにいきなりなその言葉に絶句した。
「そんな・・・いったい誰の・・・・・・!!」
私はかすれる声でテンシェルに問う。
「自分の胸に聞いてみろよ・・・。わからないのか?」
彼は続ける。
「あいつだよ、あの、風の強い日にやってきた・・・あいつだよ。」
私は再び声を失った。
「わかるか?」
テンシェルは確認するように私を見た。
「そんな・・・あれは・・・。たった一度の遊びみたいなものだったし・・・・・・!
それに・・・少しのことだったわ。
だいたい。。。あの人はもうここにはいないし・・・・・・!!!」
・・・・それに、私にはお父様のお決めになった婚約者がいる・・・。
・・・私はうつむいた。テンシェルも私と同じようにうつむていた。
「お父様の言う事は絶対なのよ・・・。」
私はたった一度のあやまちを心から悔いていた。
お父様にあんなに世話をやいていただいていたのに・・・。
私は恩を仇で返すようなまねをしてしまった・・・。
テンシェルは顔を上げて言った。
「それでも君の中にはあいつとの子どもがいるんだよ。」
テンシェルはいたずらはするが嘘をつくことは決してない。
まして、このような重大な事についての嘘をつくような悪趣味ではない。
つまり、私の中には真実新しい命が宿っている・・・。
紛れもない事実である。認めるしかない・・・。
私とテンシェルが黙り込んで立ちすくんでいる、
その間を柔らかな風が通り抜けていった。

私はその子を育てていくことを決心した。
婚約者のいうものがありながらの私の行動は軽率でしたが、
私の中で育っているこの子は紛れもない私の子。
「きっと良い子に育つわ。・・・春の風のように柔らかい素敵な子に育つわ・・・。
ねぇ、そうでしょう?テンシェル・・・・・・」
私は微笑みながらテンシェルに同意を求めた。
「・・・そうだね、何しろ君の子どもだ。とても素敵な子になるよ。」
と、微笑みながらたいこばんを押してくれた。そして、続けて言った。
「まぁ君の子どもだし、天然記念物物のお人よしだろうけどね。騙されないように注意してやれよ!」
といたずらテンシェルの名に恥じない付け足しをした。
私はその言葉にいつものような気安さが戻った事に安心のためいきをだした。
そして、心の中で、お父様には内緒で育てていこうと決心していた。

そして、私の子どもはうまれた。どんどん育っていく我が子の成長を喜びながらも、
お父様にばれてしまう事をとても恐れていた。婚約者との子どもではない・・・
そのことがばれた時、私はどうしたらよいのだろう・・・・・・。
我が子は私の愛情とテンシェルの保護とお父様の一心の愛情を受けて成長していく。
私の面影よりもあの、一度限りのあの風に運ばれてきたひとに良く似ている。
愛するお父様もおかしいと感じ始めている・・・。

いったい、どうすればいいのだろう。ねぇ、フリックお父様・・・。


「おい、フリック!見てみろよこいつ親とさっぱり似ていないぞ?・・・う〜ん、だが・・・キレイだ。これなら嫁に出すのももったいないくらいだ。何て綺麗な色何だろう。そして、珍しいことこの上ない!!」 壮年の痩せ気味の主人は深く帽子をかぶった青年フリックに声をかける。
フリックは主人に答えた。
「そうなんですよ、キレイな色でしょう?僕も少し前に気付いたんですよ。
どうしてなんでしょうねぇ?亜種でしょうか?」
柔らかい風が壮年の紳士とフリックの間を吹きぬけた。
風の向かった先を見ながら紳士はつぶやくように言った。
「・・・・・・名前を付けてみないかね?」
するとフリックも紳士の意見に賛成した。
「ご主人様、、、『ラフィーネ・マカランゼ』なんてどうでしょう?似合うと思いませんか?」
紳士はフリックの命名に賛成し、私の子どもの名前は『風の神の秘めた思い』という意味の『ラフィーネ・マカランゼ』となった。
幸い私は処分される事なくお父様に子どもの名前までもらいました。

ラフィーネ・マカランゼ。私のいとしい子。
うまれてきてくれて、ありがとう。

そこを祝福をするように私とラフィーネ・マカランゼとフリックお父様とご主人様の間を三度風が笑顔で吹きぬけていった。

ある柔らかな日の差す春・・・。
亜種としてうまれたラフィーネ・マカランゼは今では世界で最も有名になりました。

私:温室で育ちフリックに手入れをされていた。(ラフィーネ・マカランゼの元)セリアル・マーナ
私の子ども:ラフィーネ・マカランゼ(セリアル・マーナと風でとばされきたリンディオとの子)品種改良された。
テンシェルも架空のものです。妖精みたいなもの


この作品は作者の創作により名前もすべて存在しません。
かなり、フィクションです。あしからず・・・。
あっ!そこで缶を投げないでぇぇぇ(苦笑)
あとで、まともにするべく奮闘するから。。。。


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