第拾四話 最低の人生 2003.11.26

最低の、実に最低の人生だ。

小さい時から、最低の部類に入ってたんだ。幼稚園の頃までは、他人
との差が目立たなかったから、自分がどの程度の人間か分からなかっ
た。けど、小学校高学年になった辺りから、他人に比べて劣っている
自分に気付き始めた。
なぜ、他人と同じ様に上手く出来ないのか。皆と同じ様に、勉強でも
遊びでも運動でも、要領よくやればいいのに。てこずってばかりで。
何もかもにてこずってばかりで。だから塾になんか行きたくなかった。
中学受験なんてまっぴらごめんだった。どうせ落ちるのに。
これが受かった。合格した。でも、実力じゃない。裏口入学だ。僕は
ね、気付いていたんですよ、お父さん。

中学、高校と進むにつれ、自分の能力の欠如は顕著になって行った。
なにひとつ、まったく何一つ、他人と比べて秀でたところがない。何
も自慢できるものがない。親も呆れる始末で、他の兄弟に期待をかけ
るようになった。自分は、親族の中で最も劣った存在となった。
就職も惨めなものだ。行きたい仕事には行かせてもらえず、ばか親爺
に無理矢理、行きたくも無い会社に入れられた。当然、長続きするわ
けもなく、退職。そして転職を繰り返すようになる。でも、転職した
くてしていたわけじゃない。好きな仕事に就かせてもらえていれば、
一番になっていた。

何を言っても、後の祭だ。高学歴なんて関係ない。
残りの人生は、借金を返済して終わりだ。
結婚? 何ですか、それ。