「きみのためにできること」村山由佳

新米音声技師の俊太郎は、幼馴染で恋人のピノコと、なかなか会えないながらも
メールのやりとりで深く結ばれています。
なのに、仕事で出会った美しい女優・鏡耀子に、だんだん、惹かれていくのです。
人前では、強気でいる人の、思いがけないもろさ、弱さを垣間見たとき、
心は動きます。間違いなく。
でも、それが「恋」に育つには、それだけでは足りないように思います。
その一瞬、確かに、「恋」の種は心に落ちてくるでしょうが、それが、育って
いくのには、それを受けとめる大地がなくてはなりません。
水だってあげなくてはなりませんから。

「天使の卵」

恋するって切ないですよね。
傷つけるつもりなんてなくても、誰かを傷つけてしまうこともある。
誰かを好きになって、その人も自分を好きになってくれる。
それは、とても幸せなことだけれど、それ自体が、他の誰かを傷つけてしまう
ことだってあるのですから。
そうやって、傷つくのが、自分にとって大事な人だったら、本当に苦しい思いを
してしまいます。
でも、だからと言って、自分の気持ちに逆らってまで恋をあきらめるなんて
私にはできない。

「野わけ」 渡辺淳一

周りの人たちには嘘をついて隠し通しながら、互いが深み
はまっていく、くだりが面白いです。
人生は、いかに熱を持つことができるかということが重要であって、
感情の中に身を投じることは、生きていることの証なのではないでしょうか。
読後は、心の中を嵐が通り過ぎていくような感じが残りました。

「阿寒に果つ」 渡辺淳一

しだいしだいに周囲の男を翻弄し、とりこにさせていく純子は妖精のようです。
最後、雪の夜に少しだけ姿をみせて阿寒湖へと消えてしまいます。
純子のとき放つ妖しさに魅了され、彼女を愛した男達は、はかなくも
悲しくもみえてきます。

「ノルウェーの森」村上春樹

人間は互いに理解できるか?ってことを考えました。
手元に蝶を捕らえているはずなのに、いつの間にか手元から
いなくなっている・・・そのような感覚がありました。
自分が考えていることと、相手が考えていることは別で、
分かり合えたという感覚も、幻想でしかないのでしょうか。

「草枕」
熊本の金峰山周辺の地域を舞台に、話が繰り広げられております。
私は大学時代を熊本で過ごしたので、この付近の町に行ったことがあります。
山の上から見下ろした向こう側には有明海の海面と島原の雲仙が映えており、
今も、とてもきれいな情景が想い浮かびます。

萩原朔太郎詩集

高校のとき国語で「月光と海月」を読んだことがきっかけで
詩集を読んでみました。
孤独な世界感がなんともいえないです。