クローン技術もさることながら, ヒト胚性幹(ES)細胞による人間の臓器の再生技術の研究に関心をもってます. これに関係することですが, 生命に関する研究は常に倫理(人間性)とともに考える必要があります(クローン技術をヒトに適用することは世界中で禁止されているのが現在の制約です)将来, このような研究が進んだときに, どこで倫理との接点を持つのだろうかという点に興味があります. 私的には, 現在アメリカで進んでいる「精子バンク」とか, 代理母あるいは, オランダで合法化された「尊厳死」なども, もっと世界中で大きく議論されてもいいような内容ではないかと思っています.
ES細胞による人間の臓器の再生技術の研究--
病気などで失った臓器や組織の機能を回復する「再生医療」
人体のあらゆる部分の細胞の基になるヒトES細胞がカギを握る。
ただ、ES細胞の確保や分化の技術の確立など、実現には課題も多い。 (日系ビジネスより)
.科学的立場から
「どう使う?“ヒトの素”細胞」
98年11月6日付けのサイエンス誌に「ヒトのES細胞(胚性幹細胞)を分離して培養することに成功した」との論文が載った。アメリカのウィスコンシン大学のジェームス・トムソン博士のグループが発表したもので、体外受精で使われなくなった受精卵を利用。卵が分割を続ける胚の段階で細胞の一部を取り出して培養に成功した。人間で成功したのは今回が初めてである。
ES細胞(胚性幹細胞)は「胚を作る細胞のもとになる細胞」という意味である。胚の一部から取り出した細胞群を培養すると分裂増殖を繰り返す。そのまま子宮に戻しても胎児を形成するわけではないが、他の胚と融合させると一体化して双方の遺伝子をもった人間が誕生する。こうした実験から、ES細胞は受精卵のように、どのような臓器にも分化できる全能性を持った「ヒトの素となる細胞」といえる。
そこで、たとえばES細胞に「特定臓器を作らせる因子または遺伝子」(未発見)を組み込むことで、希望どおりの臓器を作るのも夢ではなくなる。ES細胞の培養中に、遺伝子組み換え技術によって特定遺伝子を挿入すると、「万人向け」の臓器も作れれば「特別注文」の臓器も作れるだろう。事実、サイエンス誌には、ES細胞を分化させて「神経細胞」や「皮膚細胞」などを作ることで、臓器移植に新しい展開が期待できると解説されている。
そうなると、臓器レベルのクローン技術の出現も予想される。たとえば心臓機能が抜群の人から細胞をもらってクローン胚を作り、これをもとにしたES細胞に拒絶反応を抑える遺伝子を加えて提供する「心臓バンク」。ES細胞をもとに各種の血液型を用意できる「骨髄バンク」も可能である。
ES細胞は増殖を繰り返している限り、死なない細胞、無限に増殖する細胞なので、クローン技術と遺伝子組み換え技術とを組み合わせることによって、いままでは考えられないような生命操作が可能になる(NHK
フォーラムより)
ES細胞: 研究について実施を条件付きで承認 科学技術会議 (2000 3/13)
体のどんな細胞にも変化できる能力を持つため“万能細胞”とも言われる「胚性幹細胞(ES細胞)」の研
究について、科学技術会議(首相の諮問機関)の生命倫理委員会(委員長、井村裕夫・元京都大学長)
は13日、実施を条件付きで承認した。ES細胞の研究には胎児になる可能性のある胚(はい)を利用する
ことなどから、倫理面での問題が指摘されていた。政府は今夏をめどに研究を規制するガイドラインを作
成する方針で、国内でもES細胞の研究が本格化することになる。
ES細胞はあらゆる組織、臓器に分化する能力があり、研究が進めば難病の治療や移植用臓器の生産
などに貢献すると期待される。
この日の生命倫理倫理委員会は初めて公開で行われ、下部組織であるヒト胚研究小委員会がまとめ
た報告書について議論した。報告書は、ES細胞の研究に研究機関と国の審査、承認が必要だとしてい
る。また、使用される受精卵は「不妊治療に際して生じた余剰胚」とし、提供者の個人情報が厳密に保護
されることなどを求めている。
これに対し、島薗進委員(東京大教授)は「生命という重要なテーマにもかかわらず、結論が先走ってい
る。国民の理解がついてきていない」と主張した。吉川弘之委員(前東京大学長)も「科学者が純粋に知
的好奇心を満足するだけで済む問題ではない」と慎重な対応を求めた。
しかし、高久史麿委員(自治医科大学長)らは「現状の研究レベルを考えると、ES細胞が臨床に応用さ
れるのはかなり近い。モラトリアムを設けるのは反対で、患者のために厳しい条件下で実施を認めるべき
だ」と述べた。その結果、小委員会の報告書は原案通り承認された。(毎日新聞より)
科学技術庁研究開発局 科学技術会議生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会による見解(2000年2月2日)
ヒト胚研究小委員会報告書案
「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する基本的考え方(案)」
倫理的立場から
大本(おほもと)教団による見解 (注まじっくは特定宗教団体とは無関係です)
毎日新聞2000年1月10日より
ES細胞の研究をめぐるガイドラインの骨格が固まった。それは、日本でもES細胞の研究が本格化することを意味している。ES細胞から細胞や臓器をつくり出し、新しい移植医療につなげようとする再生医学の研究者や患者にとっては、一歩前進といえる。一方で、生命倫理をめぐる状況にまた一つ不安材料が加わったことになる。
ES細胞をつくることは、ヒトのいのちの萌芽(ほうが)である胚(はい)に手を入れることでもある。生命科学の分野で世界を大きくリードする米国でも、政府は長くES細胞の研究に公的資金を入れることを禁じてきた。いのちを直接操作しかねない微妙な問題だからだ。しかし、民間資金で急速に進む研究の実情を無視できず、昨年12月、米政府は方針を転換し、連邦資金の助成を認めている。
日本も、この流れの中にある。今回のガイドラインの骨格にしても、最大のポイントである二重審査体制も含め、米国のシステムをかなり参考にしている。
ただ、科学技術会議のヒト胚小委員会の議論は、2月末の最終報告まで続く。研究成果の商業利用、特許取得の可能性など議論半ばのテーマは多い。ヒトのいのちが結果的に金で買われることの是非について、突っ込んだ議論が必要だろう。審議にあたった委員の一人は「かなり厳しい条件を付けたつもりだ。使用するヒト胚の範囲をどの程度広げるかも含め、社会的合意を待って見直せばいい」と話す。しかし、専門的なテーマだけに「社会的合意」の形成には、社会に積極的に問い掛ける作業が必要だ。ヒト胚小委の上部機関である生命倫理委員会はいまだに非公開とされている。より開かれた議論が求められる。【千代崎聖史】
私の個人的な意見として, もっと他の教団(キリスト教とか仏教とかいろいろな宗派があるんだとおもうんですが, どうして見解とか発表しないんでしょうね..「生命の誕生とか生命がどこからか」など, それぞれ「教え」があると思うんですが....
自分たちのアイデンティティを根本から揺るがすような事態に「何も反応しない」ってなんかおかしくないかなって思ってます. ただ私が知らないだけなのかもしれませんが...(^^;;.