
僕はなんの躊躇いも遠慮もなく、人の心を鷲掴みにする音が好きだ。
それは昔っからなんら変わっていない。
なにか聴くにしても、手元に残るのはいつもそういう音ばかりだ。
イースタンユースに出会ったのは大学三年生の年の暮れ、今からだいたい六年近く前のこと。
この頃、僕はサークル活動に没頭し、バイトも大してやっていなかったので、お金がなかった。
お金がない、ということは当然CDも買えないわけで、この頃は長渕とちょっとの洋楽を聴くくらい。
当時、邦楽には殆ど興味がなく、また聴く機会もなかったので、
ハイスタすらこの頃は「知ってる」程度の存在だった。
そんな午後の学食で、いつものように何気なくランチを喰い、
煙草を吸っていると奇特友人ゆたか君がやってきた。
この彼、キャンパスにおいては、良い意味で明らかに浮いていて、面白くアクの強い奴なのである。
周りが当り障りのないファッションの話で盛り上がる横で、
マル経から全共闘、新興宗教の存在の是非、
果ては自ら体験したマヌケな田舎番長軍団に殴られた話から、
インディーパンクレーベル「殺害塩化ビニール」、
そしてどうしようもない下ネタに至るまで、熱く語るような男であった。
そのキャンパスではこのゆたか君、僕とあと二名ほどで、
いつも学食で取り留めのない会話をしていたのである。
「おい!これいいぞ。お前好みなバンドだぞ、これ。聴いてみろよ」
と、彼はふいにそのCDとジャケットを僕に見せた。
「ん・・・?なんだ、これ??」
なんだかヘタウマな版画のスキンヘッド男の絵が書いてある。
アーティスト名はeastern youth。
全然聞いたことがない。
しかも、ライナーは右開きで詞が全部日本語で縦に書いてある。
そのとき正直思った。
「これ、パンク・・・?」
頁をめくると、いきなりパンツ一丁の男がアパートの和室らしき部屋で、
カレーをガッついている写真。
そして、後の方には3人の男が、
何処にでもあるような安居酒屋で酒を飲んでいる写真がある。
その写真を見て逆に妙な親近感が湧いた。
果たして、妙なジャケットに妙な詞が並ぶ其のアルバム
「口笛、夜更けに響く」を聴いてみると、
疾走するパンクチューンの連続だった。
久々に、実に久しぶりに、アタマをゴツーン!
と思いっきり殴られたような気がした。
初めて聴いた時は、何とブンガク的なバンドなんだろう、と素直に思った。
ただ漠然と思った。
そして、それを数回繰り返し、反芻しているうちに
イースタンワールドがジワッと身に沁みてきた。
どの曲も捨てがたく、どの曲も生身を削ぎ切り提示している。
無駄な曲、無駄な詞など何も無い。
「東の若者」はもう若者ではない。
このバンドは結成して悠に10年以上経過しているベテランバンドだが、
所謂「知名度」というものは決してあるわけではない。
普通に新星堂に足を運び、なにげなくCDTVを見るような人々は知る機会がないと思う。
が、そのチャート的な「知名度」などもろともせず、
ブルドーザの如く爆進し続けるのが、爆音侍イースタンユース。
メジャーレーベル・トイズファクトリーとも契約しているが、
実質は「坂本商店」でインディーズ路線を継続している。
しかし、こりゃ単なる爆音ではないのです。
知る人ぞ知るその魅力。たまったもんじゃないのです。
泣けるパンクとは彼らを置いて他にいないのであります。
こんな真っ裸な音ないよ。
彼らの奥深き魅力にとり憑かれて、もう六年ほど経つが、
日本語詞世界をここまで強烈に表現できるバンドは唯一無比。
詞だけであるばかりでなく、その攻撃的かつ妥協を許さないバンドスタイルも物凄い。
寡黙と轟音が共存するその世界。
単なるアグレッション、単なるイキオイ、単なるドゴウでは済まされないのが彼らの魅力なのであります。
どうしてこんな済まされない音を解き放てるのか。
どうしてここまでドタマを叩いてきちゃうのか。
このバンドへの気持ちを書き表したい。じゃあ書いてみよう。
それだけでこのHPを作ったようなとこもあるし・・・。
しかしこれもまた凡庸な駄文です。
またもここで独断独善的に呟いているだけですね。
しかも、ダラダラと長く書いてあります。
読みたい人じゃないと読まないでしょう。いるのか(笑)?
なお、こちらの項でも著作権等は敢えて考慮していない。
もし、そのようなご指摘があったならば直ちに書き改める次第でありますが、まだこのまま行こう。
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●アルバム
「EAST END LAND」 1989年(廃盤)
「TIME IS RUNNING」 1990年(廃盤)
「EASTERN YOUTH」 1993年(廃盤)
「口笛、夜更けに響く」 1995年6月発売(廃盤)
「孤立無援の花」 1997年3月発売
「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」 1998年6月発売
「雲射抜ケ声」 1999年10月発売
「感受性応答セヨ」 2001年8月発売
●シングル
「裸足で行かざるを得ない」 1996年8月発売
「青すぎる空」 1997年12月発売
「風ノ中」 1999年4月発売
「雨曝しなら濡れるがいいさ」 1999年9月発売
「静寂が燃える」 2000年6月発売
「踵鳴る」 2001年5月発売
●V.A.
「STRAIGHT AHEAD2」 1989年
「狼の宴」 1994年
「CinderellaV.A. I HATE DANCE...Why?」 1996年(2000年再販)
「極東最前線」 2000年7月発売
「8TEETH TO EAT YOU」 2002年5月発売決定!
●映像作品
「その残像と残響音」 2000年11月/2001年2月発売(ビデオ/DVD)
初期3部作は何れも聴いたことが無いので何もコメントできない。無念!
彼等はこれらについて、完全お蔵入りにしてしまった。
それに続き、「口笛」も昨年末に廃盤となってしまったようだ。
あれほどの音盤を何故に廃してしまったのだろうか。それもまた、ある意味無念。
そして、遂に満を持して、アメリカ産激エモバンドのCURSIVEとの
スプリットアルバム「8TEETH TO EAT YOU」が5月に発売決定。
拳震わせ、暫し待て!
「口笛、夜更けに響く」
(01/05/24 記)
「孤立無援の花」
(01/06/07 記)
「旅路ニ季節ガ燃エ落チル」
(01/06/22 記)
「雲射抜ケ声」
(01/07/06 記)
「感受性応答セヨ」
(01/09/03 記)
「極東最前線」
(オムニバス・01/06/23 記)