会場の教室に入ると、明るい感じの若い学生風の女性がで迎えてくれた。
「今日はー。入場料500円です。」
何!?サークル展示なのに入場だけで金取んのか!?!?しかしここで引き下がってしまっては彼女等の実態を掴むチャンスを逸してしまう。ここは我慢して、泣く泣くなけなしの500円を払う。
先ずアンケートを手渡され、回答する様指示される。生きる価値や生き方等、如何にも哲学的・宗教的な質問が20問程並ぶ。適当に回答し、係りの人に手渡す。後で設問に関して解説があるとの事で、出された茶を啜ったり菓子を摘んだりしつつ解説の人が来るのを待つ。
解説の人が此方に来る。受付で案内をしてくれた女性だ。最後の設問「自分に危害を加えた事のある人が改心した時、自分は彼を許す事が出来るか?」という質問に「出来る」と答えた事に随分興味を示され、
「ホントに出来ますかー?」
としつこく聞かれた。適当に答える。
「いや、確かに腹は立ちますけど、相手を許すという姿勢でないと、いざ自分が失敗してしまった時に自分も相手から非難だけされて許されない様な気がして・・・。許し許されるというのが信じられないと、立ち直りたいと考えていても実際に立ち直るのが難しくなると思います。ま、願望を多分に含んでますが。」
「そうなんですかー。実はですね、こんな話が有るんですよ。」
と、彼女は語り始めた。要約するとこんな内容である。
「盗みや強盗、傷害等、悪の限りを尽くした男が居た。或る日、いつもと同じく強盗を働こうとしたが、ヘマをして瀕死の重傷を負い行き倒れてしまった。彼の普段の行ないを知ってる人々は『普段の行ないが悪いから罰が当たったのだ』と、男が助けを求めても無視したり罵ったりして通り過ぎていった。『俺はこのまま死ぬしか無いのか・・・。』と絶望していた其の時、1人の人に助けられた。『自分の様な人間でも助けてくれる人が居た』と男は感激し、此れ迄の自分の行ないを反省した。そして改心し、修行を積み僧侶になった。」
う〜む、基督教にも通ずる「無償の愛」や「赦しと回心」の話だな。「良きサマリア人の話」もこんな感じの話だったような・・・。然し「僧侶」という事は矢張り基督教系ではなさそうだ。そして、
「私達は幸福の科学と言いましてね、・・・」
と切り出され、話は教団の説明に移っていった。な〜んと、幸福の科学だったのね。名の知れた教団だが、実際の信徒を見るのは初めてだった。
帰る際、教祖大川隆法の著書を1冊と、トレーディングカード等と同サイズのラミネート加工されたメッセージカードを貰った。カードには大川の著書から引用された言葉が書かれていた。本は後日ざっくり流し読みした後、即行で新古書店に売り飛ばした。新品だったが売値は100円だった。
幸福の科学は東大法学部を卒業した大川隆法(中川隆)が始めた宗教。教義は仏教を中心としながらも、有りと有らゆる宗教の教義を混ぜ合わせた混合宗教である。文書による布教が盛んで、系列の出版社「幸福の科学出版」より多数の本を出し、新聞や「正論」(産経新聞社)等保守・右派系の雑誌に大きく広告を載せている。又、無料の広報誌がポスティングされる事も多い。
政治的には保守派・右派であり、政治問題を扱う機関誌「The Liberty」で度々自民党支持・野党批判の記事を発表したり、単行本で「清和会」(自民党の派閥。森・小泉・町村派)代表だった三塚弘を持ち上げる「三塚弘総理大臣待望論」を発刊したりしている。大川の著書の中には「日本は妾国家中国朝鮮を再び強姦する」等、愛國的・反中嫌韓的言動も有る。かつては創価学会批判も熱心に行なっていたが、自公連立政権成立後は鎮静化している。
漫画家のさとうふみや、俳優の小川知子、作家の故・景山民夫等が著名な信者である。タレントの所ジョージは景山から大川隆法の著書を大量に貰い、扱いに困ったという。又、小川と景山を中心とした、ヘアヌード反対運動などポルノ規制強化・推進運動、講談社の写真週刊誌「FRIDAY」への抗議活動・不買運動などは有名。
2009年には幸福実現党を結党、全選挙区・比例区に候補者を立てている。
それにしても、身元を隠しているとは言え基督教系の学校で他宗教が大々的に布教活動を行なうとは・・・。凄まじい度胸である。
(文:水野 松太朗)