この地方ではミニ政党といえば新社会党と青年自由党くらいしか見かけなかったので、こういう得体の知れない政党が全国規模のイヴェントをやると聞いて泡沫政党観察家である私が黙って見ている訳がない。「党大会だから外部のものの潜入は不可能かな〜?」と躊躇はあったものの、「岡山なんて片田舎で党大会なんて滅多にされる事はない。今回を逃せば一生コンタクトがとれんかもしれん!」と、潜入を決断するのであった。
立て看の告知通り、9月11日の午前中に大会開催場所のホテルへ行ってみる。入り口やその周辺、更には道路に至るまで巨大でド派手な看板、林立する登り旗の数々。泡沫政党の割には随分やる事が派手だな〜。宣伝に金を惜しまない共産党はともかく、大政党で金持ってる自民党や民主党でさえも演説会などでここまで派手なパフォーマンスはしない。一体どこからそんな金が捻出できるのだろ〜か?
とりあえず外部の人間が入れるかどうか入り口前で案内しているおっさんに確認をとる。多分入れるとの事。よっしゃ、来たかいがあったでぇ!ホテルの入り口に入るなり、ロビーには党章(黄色い丸に緑でMの字を抜いたもの)の入ったキンキラキンの御輿が・・・。なんか成金趣味くさいなぁ〜。それになぜ御輿???
趣味の悪さに軽いめまいを覚えながらも会場まで足を運ぶ。結構人がいる。ざっと50〜60人ってところかな?40〜50代のおばはんが中心だ。しかし10人ほど40代位と思しきおっさんがちらほら。何故か「日本民政党」の文字入りたすきを掛けた女子高生の姿も・・・。少なくとも見た感じでは柄が悪そうなのはいない。名前のイメージで真っ先に思いついた右翼系ではなさそうだ。ま、「福祉の輪」なんて言ってる所だしな。マスコミらしき人物も数名いる。今回は何らかの形で報道されることを期待しよう。(注:その期待は今回も予想通り見事に裏切られた。翌日の地元紙及び主要紙を全面調べたが、党大会に関する報道は一切なかった。)
全国大会だけあって地方ブロック毎に受付がある。何故か観光案内まで併設されている。入党相談所も用意されている。「これはいける!」と思いつつ総合受付で交渉を始める。
「済みません。外部の者なんですけど、大会に参加してもよろしいですか?」
黄色いスーツに身を固めた受付のおばはんは、予想外の出来事だったらしく一瞬戸惑いながらも、
「ええ、別に構いませんよ。」
と応える。よっしゃぁっ!
「入場料が1万円となっております。」
「1万円!?!?!?」
な、何を〜っ!?
一瞬ブチ切れそうになる。イヤ、待て待て。ここでいざこざを起こしたらせっかくのチャンスが台無しになるではないか。少々はらわたを煮え繰り返しながらも、何とか気を落ち着かせながら交渉を続ける。
「1万はちょっと払うには財布が辛いんで、せめて今日のプログラムやビラ、綱領といった政策資料など頂けると有り難いんですけど・・・。」
「ちょっと待って下さい、責任者呼びますんで・・・。」 暫くして現れたのは推定50歳前後の地味な感じのおばはん。何とか望みをかける。
「何かしら?」
「え〜と、外部の者なんですが、党大会に参加したかったんですけど、お金がないんで何か資料を頂けたらと思いまして・・・。」
「あなたフリーの方?」
「ええ、そうですけど。」
「なら入党なさいよぉ。1万円ね。今日はパーティもあるんよ。」
成る程・・・。政治資金パーティね。あの多数の広告物もド派手な御輿もこれで稼いで捻出してたっつーわけか。それにさっきから金払えんと言っとろーに。
「いや、1万円はさすがに持ってないんで、ビラとか綱領とか、何か政策が分かる資料を頂けるだけでいいんですが。」
「今日は資料とかは一切用意してないのよぉ。大会のプログラムはお金払ってもらわないと渡せないからねぇ。ごめんなさいね。」
ちょっと待てコラ!入党相談所まで用意しときながら党を知るための資料がないっつーのはどーいうこっちゃ!?
党大会の内容よりパーティにこだわる姿勢から見て、どうやら党大会の主目的は政治資金パーティだったと思われる。広告物だけはド派手に出しときながら、中身を知らせる物を一切用意してない、そして参加希望者にはとにかく金を払わせる事のみに固執するという態度に怒りを通り越して呆れ返った。ここで引き下がるのはいささかプロ根性(何のプロだっつーの)にかけるとも思ったが、金を貰う事を主目的に活動している感が拭えないこの政党に金を払って何か価値がある事が聞けるとも思えず、その場を立ち去った。
泡沫政党が泡沫たる原因は、言うまでもなくマスコミ等に取り上げられる事が極めて少なく、大衆にその実態が知られない事である。しかし、政党側にも求められる事がある。それは、至極当然の事であるが政策宣伝の努力を怠らないという事である。
活動するために資金が必要というのは分からないでもない。しかし、まず資金稼ぎありきで、それが活動の主眼となってしまっては本末転倒である。政党は何らかの政治的目的を実現するための集団であって、営利を目的とする企業ではない。
政党の財政活動は政策宣伝で党員・支持者を増やし、党費やカンパ、機関紙誌収入を増やしていくというように、政策宣伝と一体で行うのが筋であると言えよう。全うでない方法で資金を荒稼ぎし表面だけ取り繕ってみても、俗物ぶりを露呈し、大衆の支持を失うだけであり逆効果である。このような活動スタイルの政党は、党の思惑とは裏腹に決して泡沫から脱する事は出来ないであろう。
(追記)
日本民政党は8月に高知で行われた「よさこい祭り」に団体参加していたらしい。あのド派手な御輿はその時担がれた物なのかも?
それにしても、今考えれば県内の連絡先だけでも聞いておくべきだったよなぁ・・・。しまった〜。
(後日談)
自治省編集の「政治団体名簿」によると、日本民政党は一応東京都に本部を置く政治団体である。しかし実態は「経済革命倶楽部」(KKC)と同じ様な手口で福祉を食い物にしているねずみ講団体との話もある。不確定情報ではあるが、金に執着する態度から見るとそういう金銭トラブルを起こす団体にも思われる。今後の動向には注意が必要である。
(後日談のその又追記)
悪徳商法系の掲示板に彼らの「活動」が書かれていた。どうやら「何人入党させたら金が貰える」という政党を騙ったマルチまがい団体と言って差し支えなかろう。
(文・水泡 まつ太朗)