スポーツマンシップ「さわやか」に散る!


 1995年、第17回参院選。参院比例区(旧全国区)は昔から多数の泡沫政党が出馬する、マニアにはたまらない選挙区である。この回も23もの政党・団体が立候補した。

 選挙期間まっただ中の7月半ば、東京有楽町界隈をぶらついていた私はアヤシい街宣車に出くわす。

「さわやかさわやかさわやかね〜♪」

という訳の分からない唄を流す黄色いハデな街宣車。そして黄色地に青い文字で「さわやか新党」。芸能人政党「さわやか新党」の街宣車である。

 「さわやか新党」は小林繁(元阪神投手)と高田延彦(プロレスラー)の2人のスポーツ関係者を中心に、95年参院選直前に結党。「政治にフェアプレーを!」をキャッチフレーズに川上哲治(元巨人監督)、堀田力(「さわやか福祉財団」会長、弁護士、元検察官)などそうそうたるメンバーで結成された政治団体「さわやか国民会議」を母体とする。しかし結党が突然で何を目指すか非常に分かり難く、その上どう見ても「スポーツ平和党」(プロレスラの猪木、野球の江本らによる芸能人政党。89年結党)の二番煎じの感が否めず、何故このような無謀な戦いに打って出たのか不可解でならない。

 高田延彦による街頭演説。第一声で早速、

「私たちは『スポーツ平和党』ではありません!」

とクギをさす。やっぱそれか。まあ中心人物2人の職業が全く同じだから勘違いする可能性は十分あるわな。肝腎の政策の方はどうかというと、教育問題が中心の様子。

「虐められている子どもはスポーツをすればよいのです!スポーツで強い体と心をつくり、虐めに負けない人間を育てます!」

 何とも武道根性丸出しの精神主義。スポーツ万能の子どもでも虐めで自殺しているというのに。虐め被害者への責任押しつけが、どれだけ被害者を追いつめているか全く理解していない。こういう実態を全く無視した考えが教育問題の解決を阻んどるんだっつーの。

 横ではバイトのビラまき要員たちと共に笑顔を振りまきながらビラをまく向井亜紀(タレント、高田延彦の妻)。「私のこと知ってる〜?」と声をかけられた。選挙活動中に自分の宣伝するなっつーの。そしてヘンな王冠のかぶり物と派手なスーツで応援に立つローバー美々(中京テレビ「EXテレビ・王様のロバ耳」に出ていた一発タレント。ミニスカートで股を開きパンツを見せながらニュースを読んだり、屋外でブラジャーを外し乳を見せながら天気予報をしていた)。これは応援としてはかえってマイナスだろ〜。

 正直中身も見た目も趣味に合わないこの集団の話をまともに聞くのは無駄と判断。しかし田舎モンの弱さ、「芸能人が生で見られる」という誘惑に負け、つまらないと思いながらも結局最後まで演説の場にいてしまったのである。やれやれ。(^^;)

 とにかく芸能人を前面に押し出した無意味にハデなパフォーマンスと、アナクロ極まる精神主義だけが目立った「さわやか新党」の得票は325106票。候補者の知名度もあって一定得票を伸ばしたが、議席は得られず惨敗であった。政策も活動スタイルもスポーツマンらしからずちっとも「さわやか」ではなかったが、散り方だけは「さわやか」だった。

(敬称略)

(文・水泡)


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