このページではサメの食物、成長速度、寿命、繁殖、分布と回遊などの生態について簡単に説明したいと思います。種類が400種類と多く、生活場所も深海から浅いところまで、沿岸から外海まで幅広いので、サメの生態も非常にバリエーションに富んでいます。
サメの食べ物:サメは何を好んでたべるか?
鋭い歯と大きく開いた口は獲物の肉をすばやく食いちぎる。サメのおおかたのイメージはこのようなものではないでしょうか。TVなどで良く紹介されるホホジロザメのように、大きく肉片を食いちぎっているような食べ方をするサメも確かにいますが、サメの種類が約400種あるように、その食べ物も(食べ方も)様々です。そこで食べ方はプランクトン(オキアミ、小エビなどの小型生物)を食べる種類、魚を食べる種類、海底で餌をたべる種類に大きく分けることができます。
プランクトンを食べる種類にはウバザメ、ジンベイザメ、メガマウスの3種類があり、いずれも5m以上になります。ウバザメは口を開けながら泳ぎ、鰓にある櫛状の鰓は(さいは)とよばれる器官でプランクトンを集めて食べています。魚(イカを含めて)をたべる種類の餌としてはイカ、ほかの種類のサメ・エイの仲間、タイ、サンマ、マグロなど小さなものから大きな物までが種類によって利用されています。体の大きなイタチザメは海亀や海鳥を良く食べることが知られています。変わった例では空缶、プラスチック瓶、石、海草、自動車のナンバープレートなどがサメの胃から見つかった例もあります。特異なケースとして、50cmくらいのダルマザメというサメはイルカや鯨の肌にスプーンでこそぎとるように直径5cmくらいの円形の傷を付け、肉を食いちぎることが知られています。このサメは米国海軍の原子力潜水艦のゴムでできたソナーの覆いをかじったこともあります。
海底に生活しているサメはカレイやヒラメに代表される底魚をおもに食べています。このサメの仲間にはノコギリザメやオオセなどのひげがあるものがいて、ひげで砂に隠れている魚を感知してみつけることができるといわれています。また「サメの感覚」のページであげたロレンチーニ器官も砂に隠れた魚の生体電流を感じ取り、魚を探すのに使われています。
サメの成長:サメは長生き?
サメの年齢は、ツノザメなど背びれに棘(とげ)を持ってきるサメでは棘に、それ以外のサメでは背骨にできる輪状の模様を読み取ることでわかります。またサメに番号などのついた標識をつけて放し、再び捕まったときの大きさと比較して成長を計る方法もあります。アブラツノザメはサメの中でも長寿命とされている種類で70年以上生きるとされています。またイコクエイラクブカでは33年前と34年前に標識放流したサメが捕まったことがあり、それぞれ53歳と41歳だろうと推定されています。このように書くとすべてのサメが長く生きるようですが、沿岸の小型のサメや外洋に棲む大型のサメのなかには、寿命も大人になる年齢も短く、成長の早い種類も知られています。
サメの結婚・出産、サメの恋?
「サメってなに?」のページにも書きましたように、サメは体内受精ですから交尾をします。交尾をするためには他の動物と同じように求愛行動(プロポーズ)をします。ただサメのプロポーズは傍から見るとかなり荒々しく、オスはメスをかじったり、噛み付いてつきまといメスに交尾をせまります。サメの交尾は水族館などで数種について観察されています。カリフォルニアネコザメではオスがメスを追い回した後、胸びれに噛み付いて交尾し、35分間じっとしていました。
さて交尾を終えたメスはやがて妊娠します。サメの子供の出産には種類によって3種類の出産方法があります。これは子供を卵で産む卵生、卵をお腹の中で孵化させて生み出す卵胎生、人間のようにへその緒を通じて母親から栄養を補給する胎生です。ミズワニやアオザメといった卵胎生の種類では、子宮内で先に孵った子ザメがあとから孵った兄弟や卵を食べてしまう、子宮内での共食いが知られています。
サメの生存競争は母親のお腹の中から始まっているのですね。
サメの住みか:真っ暗な深海から大洋を旅するものまで
約400種類もいるサメはどこに棲んでいるのでしょうか?サメの棲み家は種類によって、浮きザメと底ザメに分けられます。これはマグロやサンマ、イワシなどのように泳ぎ回る種類とカレイやアンコウのように底にいて生活するものという意味です。またさらに、沿岸性、外洋性、深海性に分けられます。これを組み合わせて、沿岸の浮きザメ、沿岸の底ザメ、外洋の浮きザメ、深海ザメの4つに分けるのが、妥当でしょう。
広く外洋を回遊するヨシキリザメでは、北大西洋で、海流にのって時計周りに一回りすると推定されています。これは距離にして18,000km(地球の半周弱!)といったきょりになります。サメの中には長い放浪の旅をする種類がいるのです。