冬が近づき、空気が乾燥してくるこの時期、NAOの手はてきめんに荒れる。それも、半端じゃないくらいに。思えば、北海道の牧場で牛の乳拭きしてるときも、雑きんが絞れず困っていたっけ。隣町、弟子屈の薬局まで軟膏を買いに、よくバイクを走らせたものだった。
今日の話、手の荒れがピークに達したNAOは、洗髪を私にせがんだ。二人で風呂に入って、向き合ってNAOの髪を洗う。しみじみ思ったが、黒くて長くて、きれいな髪だ。無防備に裸で頭を下げ突き出している姿をみると。なんか、かわいいとかそういうのをすっとばして発狂するんじゃないかと思う程、いとしさが込み上げてくる。
あの北海道で初めて出会ったとき、どきどきしながら軟膏を手渡した時、まさか、こんな未来がくるなんて思いもしなかった。
あれから、八年経ったけど、いささかも、君のかわいさは衰えないね、それどころか、今日みたいに新しいかわいさを垣間みせる君は、いつまで私を狂わせるつもりなのか。
なにがなんでも愛しつづけ、荒れた君の手をかばいつづけるよ。否、そうさせてくれ、そのためだけに生きたいから。