短語録    ...すべてフィクションです。念のため。

 

「えー」 と言ったきり、

そのあとが続かない。

 

ぐらぐらする頭を押さえて

5×5のマスにむかうと

一足飛びに、眠気がやってくる。

 

「がっぷり四つ!」

どこかで、のんきな実況中継。

人事だと思いやがって、とすこし

むっとしたりもする。

 

5×5、もとい

50×50、センチの座布団を

それぞれが手に手に持って

そのときを待っている。

 

ためらいと眠気のあいだには

まだ何も出てこない。

(20040904)

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あなたは優しいので

プレーンオムレツの上に

半分に切ったプチトマトを乗っけてくれます。

 

あなたは優しいので

家中の本棚を

あいうえお順に並べてくれます。

 

あなたは優しいので

サボテンのとげを

こまめに抜いてまわったりします。

 

あなたは優しいので 私は

地下鉄のホームでまた

ため息をつくのです。

あなたは優しい。

(20040607)

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あれ、あなた

くちばしから 何か

はみだしてますよ。

 

なんていうか まったく

お行儀がわるい。

心の叫びなんてやつが、べろりん、とまた

しまいきれないで飛び出してますよ。

 

なんともはや、まったく

お行儀がわるい。

そんなもの、早く飲み込んで

コースを進めましょう。

 

デザートはこれから、

お楽しみはこれから。

(20040519)

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昨夜 きみがあんなこと言うから

対比する苦悩 という名前の

カクテルの夢を見てしまった。

ああ 僕ってなんて平凡。

(20040502)

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昨夜から 屋根の上に

マンゴスチンがいるんだ。

息を殺して 潜んでいるんだ。

(20040423)

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眼底にうごめく色を

真っ青と呼んでいいのか

真の青と

 

真なる青とはいかなるものか。

真なる青と誰が呼ぶのか。

真なる青とは何物の名か。

 

そのものの名を呼ぶ一瞬に

そのものはたちあらわれる。

 

真の青とは

鏡の中に移り込む空

真という名で呼ばれたその

(20040419)

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出会うたびに 何度も

名付けてあげよう

忘れるために 何度でも

名付けてあげよう

(20040415)

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窓枠で 何とはなしに

ゆびさきが 触れているのが

ひどくうれしい

(20040325)

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あずさゆみまゆみつきゆみとしをへて

わがせしがごとうるはしみせよ

 

駅の階段に青い百円ライターが二つ置かれてある。

誰かのものではないあくびが、

洗面台の上にぽっかり、と。

(20040317)

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とかげの姉妹がやってきて

ひとしきり愛について語って帰る。

聞き役に徹しながら、

「――何が分かるってんだ」

と、ときどき考える。

(20040316)

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春の兆の雨が降る。

 

「試験範囲は、

教科書20ページから105ページです」

だってさ。

春の兆の雨が降る。

(20040315)

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雨が降る夜の扉を開けたら

窓際のおばさんに

「あんたもうちょっとしまりのある顔をしなさいな」

などと

理不尽な怒りかたをされる

 

降る雨を眺めるのをやめた今となっては

夜毎鏡の前に立って

美顔マッサージをするのが日課だ

(20040221)

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『檸檬』 へのオマージュ

 

そんなふうに満たされて見えるのは

動かないものであるからだろうか。

動くという在りかたを知らぬものであるからだろうか。

 

かくのごとく満たされたがるのは

動くものであるからだろうか。

動くという在りかたが、

求めるという在りかたと、

あまりに近いものであるからだろうか。

 

その露をもつ塊のなかに

いかなる魂があるのかも知らぬ

我等動くものたちの

あまりに身勝手な言い分。

 

(20031218)

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わたしのちいさな友人はこのごろ

妙な癖を身に付けた。

とりあえず闇雲に噛んでみる。

おかげでカーテンはぼろぼろだ。

(20031010)

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「泣いたりなんかしないんだよう」 と

赤いランドセルを揺らした。

フデバコの中でがらりんじゃらりん、

三色のボールペンとシャーペンと芯の折れた鉛筆が

行ったり来たりする。

歩いているというのはこの音に尽きる、

などと口ずさむかどうかはともかく、彼女の朝である。

(20031008)

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最近気付いたことだが、

木曜日になると僕はどうやら

サイキッカーになっているらしい。

そろそろ身を固めろと、母が電話をかけてくる。

(20031005)

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昨夜友達の部屋で、

小惑星をひとつ飲んでしまって、

それからねむれない。

いまんとこそれほど、困ってないけどさ☆

(20030929)