【計画哲学について】


【計画哲学とは】
 「計画哲学」(plannology)とは、「計画行為」(人間が良い結果を求めて意図的になす行為)に対して、一般的かつ原理的な指針を与える哲学です。
 従って、「計画哲学」は、「計画行為の本質を明らかにする」という学問的な側面と「具体的な計画行為を規定する」という思想的な側面とを併せ持つことになりますが、ここで注意しなければならないことは、多くの場合、「学問」は「既に事実として明らかになっていること」を対象とした分析と考察が基盤になるという意味において事後論的(あるいは、結果論的)であるのに対して、「思想」は「これから自らが為そうとすること」を対象とした意志や覚悟が基盤になるという意味において事前論的(あるいは、目的論的)であるということです。
 ここから、「計画哲学」は、学問的な「研究」(あるいは、「評論」)の知的対象としての意義と、思想的な「活動」(あるいは、「運動」)の実践原理としての意義を持つことになりますが、大切なことは、我々人間が自らの未来を他人事のように語ることができないものである限り、「計画哲学」の主たる意義は後者にあるということです。
 すなわち、「計画哲学」は我々が信念を持って行動する際の拠り所となるものです。

【なぜ、今、計画哲学か】
 現在の日本は勿論、世界で、「真の人間哲学」が切実に求められています。
 特に、政治・経済・法律・教育・経営・労働・創造・生産など、社会の基幹をなす活動分野において「哲学」が無いための混迷状況が続いています。
 しかし、多くの人は「哲学」が無いと嘆くばかりで、それを自力で構築しようとする努力をしていません。
 私は、「真の人間哲学」を自力で構築すべく、人間と社会に関する観察と考察を30年余り重ねた結果、次の2つの結論を得ました。
 一つは「人間や社会に関するものごとと物質や現象に関するものごととは明確に区別されなければならない」ということです。
 これは、ギリシア哲学の時代から2000年を経た現代においても、人間哲学と自然哲学は区別されるべき大きな理由が存在し、かつ、それらが判別され得る根拠や基準が求められていることを意味しています。ここから「範疇論」の重要性が帰結されます。
 今一つは「人間や社会に関する哲学は事前論的でなければならない」ということです。
 これは、人間や社会の未来にとって真に意義のある哲学は、我々がこれから為そうとすることに対して、心から納得できる目標を示してくれるものでなければならないことを意味しています。ここから「価値論」の重要性が帰結されます。
 このような背景を持った「範疇論」と「価値論」を骨子とする人間哲学「計画哲学」です。
「計画哲学」は解決すべき問題の本質を明らかにし、かつ、為すべき行為の内容を示すという意味において、21世紀の日本と世界が最も必要としている人間哲学です。

【認識論的・存在論的】
 「計画哲学」(plannology)では、ものごとを見たり考えたりする時、対象の「範疇」(category)を重視します。
 計画哲学における最も根底的な「範疇」は「認識論的」(epistemological)・「存在論的」(ontological)というものです。
 それらの範疇の判別基準は次の通りです。
   <「1つのもの」についての範疇判別基準>
それが「信じる」(believe)ことによって受け入れられるものは「認識論的」「証す」(prove)ことによって受け入れられるものは「存在論的」です。
   <「2つ以上のもの」についての範疇判別基準>
それらを「異なる」(different)とするときは「認識論的」「同じ」(same)とするときは「存在論的」です。
 それぞれの範疇の特質を示す概念は、例えば、次のような言葉で表されますから、これらの言葉を手掛かりにしてある人の思想や言動が「認識論的」であるか「存在論的」であるかを推測することもできます。
   <認識論的な概念>
「精神」・「宗教」・「行為」・「霊魂」・「ひと」・「こころ」・「なさけ」・「うつくしい」・「ただしい」・「たのしい」・「主観」・「個別」・「特殊」・「絶対」・「順序」・「本質」・「価値」・「理想」・「意志」・「目的」・「徹底」・「良質」・「人間的」・「有機的」・「倫理的」・「献身的」・「一期一会」・「アイデア」・「シンボル」・「マナー」・「ローカル」・「ソフト」・「エレガント」・「ロマンス」・「モラル」・「ボランティア」
   <存在論的な概念>
「肉体」・「科学」・「現象」・「物質」・「もの」・「からだ」・「ちから」・「つよい」・「あかるい」・「ゆたか」・「客観」・「一般」・「普遍」・「相対」・「平等」・「形式」・「構造」・「現実」・「属性」・「結果」・「充実」・「効率」・「動物的」・「機械的」・「無機的」・「経済的」・「金銭的」・「大量生産」・「モデル」・「システム」・「ルール」・「グローバル」・「ハード」・「セクシー」・「セックス」・「ビジネス」・「マネジメント」
 ここで重要なことは、人間のその時々の行為は、意識が「存在論的」な概念で占められているときは「存在論的」になり、「認識論的」な概念で占められているときは「認識論的」になるということです。計画哲学では、このことを「範疇保存原理」と呼んでいます。
 また、人間や社会に関わる事柄は「存在論的」なものごとから「認識論的」なものごとへ移るのが自然な流れです。計画哲学では、このことを「範疇移行原理」と呼んでいます。
 このような計画哲学の成果を前提とし、人間や社会に関わる様々な問題について、「計画哲学的な見解」を述べていきたいと思います。



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