2006年5月・虻な句会・撰句結果                兼題・・抽斗・・


1・・一燦の風のほころび五月来る    秀彦

特撰・・麻子評・・ 一燦の風が季語と合い過ぎかも知れませんがこのはっきりくっきり明らかな言葉が良いです。 綻びなのか笑う方なのかどちらにしても吹き過ぎる風です。


並選・・百花評・・ 上五中七の措辞に、五月の清清しさと明るさが感じられます。気持ち良い。
2・・抽斗の噛み込んでゐし新樹光    麻子

並撰・・園を評・・ 「噛み込んでゐし」は無理に擬人法にしなくてもとも思いますが、真っ直ぐに届く光が見えます。


並選・・美代子評・・ 「抽斗の」 は 「抽斗に」 のほうが良いような気がしましたが、噛み込むという表現が詩的ですね。
3・・紫陽花の泡立ちてゐる莟かな    百花

並撰・・麻子評・・ 写生が行き届いている句と思います。莟の字に口中の意を思います。粟立つでも良いくらいです。


4・・サガン読む紅ひなげしを濃くしつつ 園を

並撰・・麻子評・・ 「毒薬となる寸前の芥子の花 麻子」失礼致しましたサガンはカンブリア紀に読了致しました。


並撰・・秀彦評・・ まあその、イマサラであるサガンが、イマサラゆえに貴重に思えて。
5・・抽斗にいのちの満ちて冷蔵庫    百花

並撰・・園を評・・ 最近の冷蔵庫は抽斗付きが普通になりましたね。「いのち」というには冷えすぎかな。相当いっばい入ってるんですね。


6・・蛇殺す遊びに飽きるまで遊ぶ    園を

特撰・・百花評・・ 社会時評というか、人の持っている本能の何かにぞっとします。


並撰・・秀彦評・・ 不気味な句で、ちょっとどうかなとも思ったのですが、この句の前に立ち止まったことは間違いなく、そのひっかかりを重視しました。
7・・抽斗に懐剣錆びる青嵐       美代子


8・・帯封も〆て十円五月晴       麻子

特撰・・園を評・・ 文庫本でしょうか。思わぬみつけものに出会ったんでしょうか。五月晴で気分が伝わってきます。


9・・ハーブ折る枝より夏の匂ひかな   百花

並選・・美代子評・・ 素直な句で好感が持てました。


10・たそがれが抽斗に鳴る薔薇地獄   秀彦


11・爪がよく伸びる五月のいなびかり  美代子

並撰・・園を評・・ 爪が急に伸びるわけではないのに、爪が伸びていると気づく。理由もなく、ふいに襲ってくる不安。特撰でもよかった。


12・花の雨隻眼の赤犬が来る      秀彦

並選・・美代子評・・ 花の雨を座五に持ってきてはいけないでしょうか。そうすると句が引き締まるような。。。物語性のある秀句ですよねぇ


13・窓辺にハヤシライスを青葉風    麻子


14・抽斗の中に夏野を隠しをり     園を

特撰・・美代子評・・ 「夏野を隠す」という表現が詩的ですね。余韻を巧みに残していると思います。ただ、隠しをり はこれで良いのだろうか。。。


並撰・・麻子評・・ 抽斗の中の夏野を駆け巡る奔放な馬の姿が彷彿といたします。
並撰・・百花評・・ 読者も小さくなってその抽斗の中の夏野に遊びに行きたくなる。どんな思い出かしら。ちょっと漠然としているが。
並撰・・秀彦評・・ 「抽斗」の句は難しかったですね。この句も類想が山ほどありそうで困りましたが、致命的な傷のない句でした。
15・葬終はる柿の若葉に肩触れて    美代子

特撰・・秀彦評・・ 今月はこちらのパワー不足か、きちんと鑑賞できませんでした。今回の句の中では、この句に最も詩情を感じましたが、無難といえば無難かもしれません。


並撰・・百花評・・ 個の命の終りと個の命始まりを作者が繋いでいる自覚、のような鑑賞もしてみたい。

☆・・・・・ありがとうございました。虻なBBSにて、もっと採りたかった句についてのお話など、どうぞ。・・・・・☆

最高点句・≪園をさん

参加者・あいうえお順
・麻子・園を・秀彦・美代子・百花・