しずかな午後でした
過ぎ去る消防車のサイレンに
気が遠くなりました

空を一本の白い腕が
半透明のくらげのように
ふわふわ泳いでいました

レンガ色のマニキュアの指が
ピアノを弾くように
僕に挨拶してくれました

ちぎれた腕の根元から
蒼い空へと
鮮やかな血が滲みだしておりました

それでも空を五線譜にして
彼女は音符のように跳ね
優雅なワルツを
シンクロナイズド スイミング
やがて薄れて消えていきました

迷宮入りの
全裸バラバラ殺人事件でしょうか
いいえ
だれかの美しい けれど 
悲しい思い出らしい



                   (2003.1.24)
センチメンタルキャメラ