高校教育研修講座第3回

環境教育 授業実践

「国語表現」授業におけるエコ・ロールプレイの取り組み

授業案作成・授業者  安斉 廉

授業日 1999年11月9日火曜日 6校時

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授業クラス

 普通科 3年 「国語表現」選択クラス21人(男子5名、女子16名)、ただし当日は時間割を変更し本来、特講の時間に授業をするため、音楽の特講を受けている2名が参加できない。


クラスの実態

 3年生の選択授業「国語表現」受講者のうち四大・短大の希望者が集まったクラスである。ただしT類型と言うこともあり受験に対しては比較的のんびりしており、和気藹々とした雰囲気で物怖じせず発言することが出来ものが多い。ただ、現在ちょうど推薦受験の試験時期と重なっており、神経質になっている生徒がいる。また、中に数名、発言に対して消極的な姿勢を見せる生徒もいる。

 なお、このロールプレイの導入として一学期には「ディベート」を授業で扱っている。その際「食品添加物は私たちの食生活を豊かにしたか」というテーマで討論を行っている。


環境教育について

今日、環境問題は温暖化現象・大気汚染等地球的規模の問題から、ゴミ問題・省エネ等、身近な問題まで様々である。これらの問題は私たちの生活のあり方や生き方に深くかかわる問題となっており、環境問題の深刻化に伴い、学校・家庭・地域社会それぞれの場における環境教育の取り組みが急務となっている。環境教育は、環境問題について正しい理解と認識を得て、一人一人が環境保全の意識をもち、環境に配慮した生活に必要な実践的な行動力を身につけることが重要とされている。

学校教育では、現行の学習指導要領で環境や環境問題に関する項目や内容が大幅に取り入れられており、環境への理解を深め、環境保全に対して主体的な取り組みができる態度の育成を図るよう示されている。

1998年7月に発表された教育課程審議会答申では、各学校段階を通じた課題のなかに、環境問題への対応として「環境の保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動する実践的な態度や資質、能力を育成することは今後ますます重要なものとなってくる。」と述べられている。また「総合的な学習の時間」が教育課程上必置とすることが示され、その具体的な学習活動として、「例えば国際理解、情報、環境、福祉、健康などの横断的・総合的な課題などについて」と述べられている。このように環境教育は、今日大きな関心をもたれている教育課題の一つとなっている。

本市では環境教育について、小・中学校で市の委嘱研究や校内研究などで、研究・実践が積み重ねられてきている。市立高等学校では、一部の教師によってその教科・科目で個別に取り組まれているのが現状である。環境教育の必要性は認められながらも、その取り組み、具体的な実践や指導の経験がまだまだ十分とはいえない状況である。


市立高校生の実態

環境あるいは環境問題に関する、中学生・高校生の意識等の調査が先行研究でなされている。ところで我々の身近な生徒である市立高校の生徒の意識や実態はどのようなものであろうか。

先行研究の調査項目などを参考に「環境問題についてのアンケート」を予備調査として実施した。 (詳細については後掲資料を参照のこと)

調査の結果では、

◇環境に関する知識はある程度もっているものの環境保全を意識した行動に結びついている生徒は少ない。

◇意識が行動に結びつかない理由には、「特に気にしていない」という理由が多い。

◇環境問題についての関心はある程度あり、環境学習に対する関心は高い。

など、市立高校生の多くは、環境に関しての知識や関心、環境保全に対する意識はある程度もっているものの、環境問題と日常生活との関わりについての理解や認識が不足している。ということが明らかになった。

小・中学校での環境教育の基礎の上に立ち、環境についての認識や理解をよりいっそう深めるためにも、高等学校での環境教育を発展・持続する必要があると考える。


授業のねらい

環境教育の目的には、「環境への責任ある行動が取れる態度を育成すること」とある。しかしその「行動力」あるいは「思考力」や「判断力」を身につけるための前提に「人間活動と環境の関わりについて総合的な理解と認識」が必要となる。予備調査(後掲資料参照)の結果から、生徒の多くはこれまでに何らかの環境についての学習を経験しているものの、環境問題と日常生活との関わりについての認識や理解がまだ不十分であるということが明らかになった。生徒がこれまでに学んだ環境についての基本的な知識を土台とし、環境問題と日常生活の意識との接近を図ることが必要である。そのためには、生徒が学習したこれまでの知識や経験およびこれから学習する知識や経験を総合し、環境に関する理解と認識を深めていく必要がある。


環境学習単元について

◇単元名

「食」の選択〜21世紀君は何を食べるか〜

◇単元のねらい

人間が生活していくためには、多くのものが必要である。衣食住の中でも、食は特に生命を維持し健康を保持していくために欠かせないものである。しかし、私たちの食にまつわる日常の消費行動や選択が、実は様々な形で環境に影響を及ぼしている。

そこで、その「食」を通した社会や自然に対する影響についての理解や認識を深め、環境問題について考え、これからの食の選択を考える。また「食」にまつわる過去から現在にいたる、社会や自然の変化・変遷などを振り返り、自分自身の日常生活を見つめ直す。

そして、日常生活と環境との関係について、理解や認識を深め自分自身が環境にどのように関わっていったら良いかを判断し、これからの未来に向かってどのような行動選択が可能なのかなどを考えることから、自分自身のライフスタイルを見直す良い契機となることを期待する。

 また、「国語表現」で生徒が身につけるべきものは単なる「読み書き」でなく、「聞く話す」力を身につけることである。こうした対話によるコミュニケーションの能力はこれまでの講義式の授業では身に付きにくい。授業内で生徒が主体的に議論をする機会を作るべきなのである。とはいうものの、自分自身の価値観を他者の前に披瀝することは生徒ならずとも難しく抵抗感もある。

 今回、授業で扱う「ロールプレイ」は与えられた役割を演じながら議論をするというものである。かえって自分の価値観を入れることなく演じきることが求められるのである。これによって上記の抵抗感が取り除かれ、楽しんで気軽に議論に参加できるようになっていくのではないだろうか。また、自分以外の立場に立つこと、役割になりきって発言することは疑似体験となり、「他者の発見」に繋がっていく。これも「ロールプレイ」の醍醐味である。それらの結果として意見を交わすことのおもしろさ、「自分の無知を自覚する」ことの意味をつかみ取ってもらいたい。これら「他者の発見」や「無知の自覚」は小論文を書く際のきわめて重要な認識であるが、通り一遍の講義式授業では理解はできてもなかなか身について来ないものなのである。

◇教材化にあたって

現在の私たちの食生活は、じつに様々な品物で満ちあふれている。24時間営業のコンビニエンスストアーが町のあちこちにあり、ファミリーレストランを代表とする外食産業が大きく成長し、インスタント食品、レトルト食品、を代表とする調理済食品が数多く販売されている。いつでもお金さえ払えば好きなものがいくらでも手に入る大変便利な生活が送れるようになっている。また、おなかが一杯になったら残った料理も「もういらない」といって食べ残して捨ててしまう。しかし一方で世界の中では、飢餓に苦しむ人々が数億人もいる。私たちが一見豊かで便利な生活を送ることで他者(人、社会、自然、その他自分以外のもの)にどんな影響をおよぼしているのか、自分自身にはどんな影響があるのか、などを考えたり気がついたりする機会は少ないのではないだろうか。

時代や社会の変化とともに、生活習慣や文化も大きく変わり、それが様々なところにいろいろと影響を及ぼしている。ところが、日常生活の中で極めて身近な「食」にまつわることがらに、私たちはひどく鈍感になってしまっているのではないだろうか。世界の中の飢えた地域と私たちの豊かな生活との関係、どこでどうやって作られたものなのか、どんな添加物が使われているのか、日本の伝統的食文化は、その他様々な普段何の疑問も持たずにいつのまにか当然と思い込んでしまっているようなことが多々あるのではないだろうか。

そこで、私たちにとって身近な「食」をテーマに取り上げて、「食」に関する問題意識を掘り起こし、日常生活の「食」と環境との関係についての理解や認識を深めていきたいと考えた。自分自身が食にまつわる環境にどのように関わったら良いのかを判断し、これからの未来に向かってより良い選択をするために何が必要か、どのような選択が可能なのかを考えるきっかけとなればと願うものである。

環境問題は、きわめて多様で複雑な広領域・多分野にわたる総合的な問題である。「食」あるいは「食生活」と環境についての問題も、食糧問題、食品添加物、食品汚染、遺伝子組換、農業、経済、健康、家族、生活、習慣、文化、その他様々な問題がある。そこで、これらの「食」にまつわる環境問題に対して国語科の立場から多面的・総合的な事象をとらえる方法として「ロールプレイ」を取り入れてみることにした。複数の立場に立って意見を交わす「ロールプレイ」は複数の要素が複雑に入り組んでいる環境問題を考える際に好適な特性を持っていると考える。本来の自分とは異なる立場に立ち発言するとともに、対立する立場の意見の持ち主と議論する「ロールプレイ」という体験的な方法でアプローチしていくことは、とかく他人事として扱いがちな生徒の環境問題についての理解や認識を深化し総合化させるものと考えた。


エコ・ロールプレイとは

 「設定された架空の環境と開発に関する課題に対して、日ごろの個人の立場や考え方や価値観とは関係なく、与えられた役割を演じること。そしてそのことによって、その立場にある人の考え方や心情などを理解し、日ごろの自分とは違う様々な立場や価値観が存在することを認識する。その上で、地域や地球環境の保全・創造という広い視野から、よりよい問題解決のための方策を生み出すことが出来るようになる、そのための能力を育成する学習法の一つ。」である。(参考文献@より引用)


授業の目標

 以上のことを整理すると、この授業の目標は次の二点に絞られる。

エコ・ロールプレイを通じて

@二十一世紀を生きる社会人として、現代人が置かれている環境問題について、バランス感覚のある主体的な考え方を身につけること。

A「国語表現」の年間目標である「小論文」が書けるようになるための基礎として、一つの事象について複数の見方が出来るということを「体験を通じて」身につけること。


授業展開(三時間扱い)

 第一時 【学校図書館の閲覧室で授業を行う。】

@エコ・ロールプレイの説明

     Aテーマが書かれた「条件シート」の配布、朗読。

  B21人を7グループに分ける。抽せんにより役割を決定する。

     Cグループ討議及び資料調査【閲覧室内の図書雑誌を利用させる。】

 第二時(本時)【3−1教室】

     @前時の確認

     A自己紹介

     B全体討議

     Cまとめと予告

 第三時 【3−1教室】 

@小論文作成「21世紀の私たちの食生活」

【50分、600字】


本時の展開

(表がうまくタグでかけなかったので残念ながら割愛します。)


評価

@討論において積極的に参加し活発に発言できたか。

A討論において他の発言をふまえた建設的な発言ができたか。

B小論文において主題を明確にして自分の意見を述べられているか。

C小論文において議論の内容をふまえたバランスのある論の展開ができているか。




参考資料

条件シート

第一時のAと第二時の@で生徒に提示するもの。

 今回の議論の共通の土台を確認するために示すものである。

【 二十一世紀を間近に控え、私たちの生活、特に食生活はコンビニエンスストアやファミリーレストランなどの進出によって大きく変化している。世界各国の食材を用いた各種の調理済み食品が四季を問わず二十四時間簡単に手に入る。こうしたコンビニエンスストアや外食産業は若者だけではなく都会近郊に生活する多くの人々に支持されて、ますます私たちの食生活を「便利」に「豊か」にしてくれようとしているように見える。

しかし、その一方では日本人のこうした食生活について、多く方面から警鐘が鳴らされている。食品添加物などに代表される食生活が身体に及ぼす影響(健康)。ゴミや食べ残し売り残しなどによる問題(環境)。家族の食事の「場」と「文化」の喪失(文化)。さらに、流通に強く依存した構造による弊害(自給率)など。

 これらを考えあわせたとき私たちは今後どのような食生活を選択すべきなのだろうか。

 そこで、<コンビニエンスストアやファミリーレストランとどうつき合って行くべきなのか>を問題の中心に据えて、「このままで良いのか私たちの食生活、市民会議」を開催することになった。



参加者

 市民代表(若者)

 市民代表(老人)

 コンビニエンスストア代表

 ファミリーレストラン代表

 栄養士

 東南アジアの農林水産業に従事する若者

 未来から私たちの子孫(二千五十年から来た人達)

 それぞれの立場からこの問題について十分に討議していただきたい。】

役割シート

 第一時のCの参考として生徒それぞれの理解度合いに応じて生徒に示すもの。

「役割シート」は準備の段階で方向性を示すものとして提示するものである。これを読んで生徒が理解を深めさらに独自に発展させていく手がかりとなるものである。

 もちろんこの通りやらねばならないというものではない。したがって必要がなければ生徒には提示しない場合もあってよい。


市民代表(若者)

 「私たちのライフスタイルからコンビニやファミレスをなくしてしまうなんて考えられないな。まず便利だし欲しいものがそこに行けばいつでも手にはいる。味やメニューも私たちの声を敏感に反映しているね。よく研究していると思う。値段はそれなりに高いけれど、一人分の材料を揃え作る手間を考えたらかえって無駄もないんじゃないの。忙しい現代人にとって生活の一部になってしまっているね。食事を作るのに時間がかからない分色々なことに時間が使えるのは有り難いし。とにかくお母さんの家事が楽になったよね。食べるものそのまま買ってくればいいし食べに行けば良いんだもの。インスタント食品ばかりでは身体もダメになってしまうと思うけれど、コンビニやファミレスはそれなりにカロリーとかバランスとか考えているみたいなので良いんじゃないかな。みんな食べ物の好みも違うし家族一緒に食べていてもどうせテレビを見ていたりしてろくな会話もない。儀式みたいなものだものね。だったら一人で食べても対して変わらないんじゃないの。一人なら好きな時間に好きなものを好きな格好をして食べられるからね。楽でいいわけよ。ただ、食品添加物は怖いって感じるしゴミがたくさんでる点についてはまずいなって思うこともあるけれど今自分たちがしていることがどうかって言うとみんなしていることだから悪いことしているって言う自覚はないな。」

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市民代表(老人)

「私たちが若い時分は、食事というのは自分の家でお袋さんが作ってくれるのが当たり前だったので今のこのご時世には少々戸惑っているね。一家揃って茶の間で食事をすればそりゃ色々な話もするし、そこで箸の上げ下ろしからしつけられたものさ。親父が稼いでくれたお金でお袋がこさえてくれたご飯だもの、粗末にしたら罰が当たると思うのが当然だった。好き嫌いなんて言っていられない世の中だったんだよ。外でご飯を食べるなんて言うのは大人になって勤めるようになってからするもので、子どものうちは年に何回あったかな。それぞれの家にはそれぞれの家のおふくろの味があってさ。季節季節で旬の味を食べることがまあ、贅沢だったよな。でも今じゃ私もコンビニやファミリーレストランにはよく行くよ。私たちが一生懸命働いたから戦後の貧しかった日本をここまで豊かな国に出来たんだって思えるしね。人に作ってもらったものを食べるって言うのは気分が良いもんだよ。今は子ども達も出て行ってしまって年寄り二人で暮らしているから、たくさんは食べられないし年取ると買い物もけっこう大変だし、はじめは抵抗もあったけれど慣れれば便利なものであることは間違いないよ。ただ、どこに行ってもどの店に行っても同じ様なものが同じ味付けで出てくるのは寂しいような気もするし、味付けが若者向けで脂っこいものが多くて私たちに選べるメニューは少ないように思うね。工夫して欲しいもんだな。」

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コンビニエンスストア代表

 「私どもは、よりよい商品を供給するために食材の産地まで管理して大量購入、大量加工する事でコストを抑え、また、お客様が欲するものを市場調査して常に提供できるように努力いたしております。季節ごとに商品を替え、出来るだけ旬の食材をお客様に美味しく安く提供できるように心がけております。冷凍技術や電子レンジの登場で鮮度を保ちながらあつあつのものを食べていただけるようになって、コンビニのお弁当は、それまでのお弁当やさんに対抗できるようになりましたし、おにぎりは今でも当社の主力商品で最も商品開発に力を入れております。また、若者のニーズに応えてインスタント食品やファーストフード、スナック菓子なども取りそろえています。飲み物もペットボトルの登場で大型サイズの商品も並べられるようになったことから商品が爆発的に増え、お客様に喜ばれています。どの年齢層のお客様がどの商品をどれだけ買っていただいたかという情報はレジを通してコンピュータにデータとして送られます。その結果として無駄がなくなったと思います。その日にその店で売り切れるだけの量を作り、輸送し並べることが出来るようになったからです。ただ、コンビニ店が増えてきたので、他の店と競合することから、店ごとの特色を出して行く必要に迫られています。その結果、大量に作ることとのバランスが難しくなっています。また、安さの面では大型スーパーマーケットの方がストックが出来る分安いですしかないません。お弁当などはどうしても色合いや見た目の美しさで売れるかどうかが決まってしまいますので包装に凝ったり、食材も色持ちを良くするための発色剤などを使っています。また食べ物ですので賞味期限を重視するお客様が多いので商品の入れ替えは一日二回行っています。トラックが商品を運び込むところを良くご覧になると思います。ただ古い商品から前に並べて置くのですがどうしても新しいものが入れば古いものは敬遠されてしまいがちで、結局、売れ残りを出してしまうことになります。まだ食べられるものを廃棄しなければならないのは私どもとしてもとても残念なことなのですが。 

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ファミリーレストラン代表

 「いつも当店をご利用いただいて有り難うございます。皆様方のご愛顧のおかげを持ちまして経営も順調に伸びております。不況とは言うものの食べることを止めるわけには参りません。よりよいサービスと味をご提供する店にはお客様が来ていただけるものと信じて努力を重ねております。ファミリーレストランというとどうしてもハンバーグやスパゲッティという洋食のイメージが定着しがちですが当店では和食、中華などのお客様の要望にもお答えするよう努めておりますし、特に最近では若いお母様方のランチのご利用も増えておりますので連れていらっしゃる小さなお子さまにも安心して召し上がっていただけるメニューを豊富に用意させていただいております。また、食材は当グループが契約した生産地から直接買い付けておりますので安価に良い物を使えるようになっております。最近のお客様の健康志向を反映して有機野菜、無農薬野菜なども積極的に導入し、カロリーの表示なども積極的に行わせていただいております。朝は忙しいお勤めの方達の朝食。昼は奥様達のご利用。ビジネスのランチ。また、お年寄りの方達の御会食も増えて参りました。午後からは高校生、大学生の利用が増え、夜は若いファミリー、夜はカップルでのご利用、また、夕食を食べて帰られるお勤めの方も多くなっており深夜まで客足の途絶えることはございません。季節ごとにメニューをかえて旬の食材を美味しく召し上がっていただけるようメニューには工夫しております。調理もほとんどが当社の工場で加工を済ませておりますので素早くお出しできますし、どの店でも安心して当店の味を楽しんでいただけるようになっております。皆様の楽しいひとときを当店でお過ごしいただきますようこれからもお願いいたします。」

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栄養士

 「私から申し上げたい点は、まず栄養のバランスの点です。食事は何を基準に選ばれるべきなのでしょうか。まず身体を健康に保ちさらに増進させるべきものでなければならないと考えております。まず、ご自分の身体のことを第一に考えて何を食べるべきかを決めていただきたいと思います。その面から現代の食生活を見ると大変心配な点があります。まず、美味しいもの、または美味しそうなものに手が伸びてしまうと言うことです。母親が夫や子どもの健康を考えて作る食事から、自分が店で選ぶ食事への変化は片寄りを生みだしがちです。野菜などから取るべき栄養素が十分に取れなかったり、塩分の取りすぎになったりすることも多いです。スナック菓子やインスタント食品によって空腹を満たしているということはありませんか。最近の若者の無気力や骨が折れやすいことなどと食事の問題は密接に関連しています。皆さんは口当たりの良いもの柔らかいものばかり食べているのではないでしょうか。そのために子どものあごの発達が阻害され、歯並びの悪い子どもが増えているというデータもあります。
 次に添加物の問題です。流通の過程で食品が変質しないように様々な添加物が使用されていることを知らなければなりません。そして添加物の中には発ガン性の指摘されているものもあります。もちろんすべての添加物がいけないなどとは申し上げませんが出来るだけご家庭で調理された方が安心して口に出来るのではないでしょうか。味付けまですべて他人任せである事実をもう一度見直していただきたいと思います。自分の口に入るものを他人にすべて任せているというのはどう考えても危険が伴うことだと思います。
 家族が健康でいられるためにも食の選択はお母さんの重要な責任ではないかと思います。家庭の味を受け継ぐことも大切な文化ですし、ともに食卓を囲むことは何より心の健康のために大切なことではないでしょうか。」

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東南アジアの農林水産業に従事する若者

 今日はお招きいただきありがとうございます。僕らは東南アジアのある国から参りました。私の仕事は漁業です。15年前に父親から仕事を受け継ぎました。毎日、海でブラックタイガーというエビを養殖しています。私の親父の頃は自分たちで食べるためだけの漁でした。マングローブの根の下にはとっても取りきれないほどの様々な種類のエビがいました。親父はそれを捕って生活していました。しかし、僕らの世代になって生活は大きく変わりました。日本からエビの買い付けに来る人が増え、僕らのエビを今までの倍や3倍の高値で買い取っていってくれるようになったのです。生活は一変しました。現金収入が得られるようになったので私たちも文化的な生活を楽しめるようになりました。テレビやステレオ、最近ではビデオも買いました。そういう私たちを見て、それまで漁をしなかった人までが漁を始めました。豊富にいたエビがだんだん捕れなくなりました。しかたがないので私たちは知恵を絞って海岸で養殖を始めました。これによって日本人に喜ばれる品質の良い形の揃ったエビが計画的にとれるようになりました。ブラックタイガーというエビが最も人気が高く、そればかりを今、養殖しています。私たちはエビによって大きな収入を得るようになりました。
 しかし、もちろん良いことばかりではありません。養殖をするためには海岸に生えているマングローブの木などはあってもじゃまなだけですからすっかり伐採してしまいました。大したことではないと思っていたのですが、大雨の後、海岸の様子は一変してしまいました。土が根こそぎ流されてしまったのです。マングローブの根がそれを抱きしめるように支えてくれていたのです。そこに棲んでいた天然のエビもまたすべて流され絶滅してしまいました。私たちが生産しているブラックタイガーというエビは冷凍され日本でみなさんが毎日のように食べていらっしゃるわけですが、実は作っている私たちにはとても高くて口にできないのです。私たちも努力して日本人のように豊かな生活をしたいと思うのですが、失われていくものも少なくないと最近では考えています。親父の世代の方が幸福だったような気もするのです。でも、もう後戻りはできません。マングローブの林は私たちが切り取ってしまったのですから。
 あなたがた日本人の生活が私たちの生活の姿まで否応なく変えてしまっているということを知っていて欲しいものだと思っています。

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未来から私たちの子孫(二千五十年から来た人達)

「二千五十年から参りました。あなた方の孫です。私たちの食生活はずいぶん変化しました。信じてもらえないかもしれませんが私たちの時代にはファミレスもコンビニもほとんどないか姿を変えてしまっています。出来るだけ自給自足の生活をしようというのが私たちの合い言葉です。別に核戦争が起こったわけではありません。平和は奇跡的に現在まで保たれています。原因はあなた達のライフスタイルにありました。二十一世紀になっても、日本人のライフスタイルは余り変化しませんでした。一度覚えてしまった便利で簡単な生活をそうたやすく手放すことなど出来るはずはなかったのです。
地球の温暖化、オゾン層の破壊、熱帯雨林の消失については既に警告があったはずですが、それは地球のごく一部のことで少なくとも日本にいる自分たちには関係ないことと思っていたのでしょう。生活を変えようとした人もいたようですが残念ながらごくごく少数でした。そして、リーダーとなる政治家達が最もこの問題を甘く見ていたのではないかと思います。
 二千三十年頃から温暖化は確実に地球を蝕み始めました。自然界の植生というものは何千年という単位でその土地固有の姿になるわけですが数十年という短い間に急激に気温が上昇しました。だからといって植物は動物のように足で涼しい土地へと移動は出来なかったのです。干ばつはやってきました。天候の異常も続きました。かつて世界の食料庫といわれたアメリカやロシアでそれが起きたのです。同時に発展途上国の人口は爆発的に増え続けました。どの国もその国で生産したものはその国で消費するようになりました。こうした国々からの輸入に頼っていた日本は思いもよらぬ食糧難になり食品の価格は一気に高騰しました。かろうじて国内で自給されるのは米と野菜と卵くらいでしょうか。今は誰もが自宅の庭で食べられるものを育てています。ガーデニングなどという半端なお遊びではありません。
 また、石油の埋蔵量も残りが少なくなり原油価格は上昇し始めました。、輸送機関の主力は割高につく自動車から鉄道に戻りました。そして、私たちの交通手段の中心はなんと言っても自転車です。トラックやマイカーに依存していたコンビニやファミレスが立ち行かなくなるのは当然でした。
 この話を聞いてあなた達は私たちの生活を豊かではないと考えるかもしれない。可愛そうにと思うかもしれない。しかし、同じように私たちもあなた達の続けている生活が豊かだとは思いません。
 なぜならば私たちは生活を維持していくために家族の絆や社会の連帯を手に入れたからです。その結果、生きている実感はより深まり心はとても豊かになったからです。
物質的には確かに不自由で貧困かもしれませんが、精神的にはかえって豊かさを取り戻すことが出来たのではないかとあなた達の話を聞いていて思いました。」

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参考文献

@「環境学習実践マニュアル(エコ・ロールプレイで学ぼう)」

 藤村コノヱ著(国土社、1995年) 

A 総合教育センター高校教育研究会議

 「高等学校における環境教育についての研究

    −複数教科で連携する環境学習− 」宮津健一 、松本芳弘、堀込達也、安斉 廉(1999年)

以下は上掲書Aより調査部分を抜粋したものである。

(なお、実際の授業案にはそれぞれのデータが表の形で添付されているがここでは残念ながら割愛した。)



1.生徒の意識・実態予備調査について

身近な生徒たちの意識、実態を手がかりとするために、先行研究の調査項目などを参考にして、「環境問題についてのアンケート」を予備調査として実施した。

実施時期:1998年9月

対 象:市立高校3校の2年生129名


(1)スーパーやコンビニなどで牛乳パック、トレー、ペットボトルを回収していることについて

78%の生徒が「スーパーやコンビニなどで牛乳パック・トレー・ペットボトルの回収をしていること」を知っており、68%の生徒が「なぜこれらを回収しているのか」を知っている。しかし、回収していることを知っている78%の生徒のうち「回収に協力」したことがある生徒は43%であり、行動にまで結びついている生徒は多くない。


(2)家庭・学校での生徒自身の行動について

家庭で生徒自身が、「節電・節水」「缶ゴミの分別」といった環境保全につながるような行動を「やっている」と回答した生徒は、「ときどきやっている」を含めていずれも約60%である。実践している理由として、節電節水では「節約」と回答した生徒が約50%、缶ゴミの分別では「分別が決められているから」と回答した生徒が約40%であり「環境保全」を理由として回答した生徒(約25%)より多かった。そのためか、学校で「節電・節水」を実践しているという生徒は27%と少なくなっていた。また、環境保全につながるような行動を「あまり実践していない」「実践していない」生徒の理由は「特に気にしていない」という回答が約40%で「面倒くさい」と回答した生徒(約25%)より多かった。環境問題と日常生活との関わりについての認識や理解が不足しているのではないかと考えられる。


(3)環境学習について

「ゴミ問題」「リサイクル」「地球温暖化」「オゾン層破壊」などの環境問題を、今まで(小・中・高)に「学んだことがある」と回答した生徒は60〜70%であった。生徒は、環境問題に関する基本的な知識はある程度もっているものと考えられる。しかし20〜30%の生徒が今までに「学んだかどうかわからない」と回答している。これまでの学習活動に主体的に取り組めていない生徒が少なくないと考えられる。

「環境問題について学ぶこと」については、「興味や関心がない」と回答した生徒は約10%であり、80%以上の生徒は「最低限のことは知っておきたい」と回答した。環境についての学習に対する関心や意欲はある程度高いと考えられる。


(4)環境保全に対する意識について

「将来、私たちの生活が少し不便になっても、環境を守るためにはやむを得ない」という意見に対して「反対」と回答した生徒は約10%であった。環境保全に対する意識はある程度高いものと考えられる。

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