
| サンパスが壊れた TAJホテルから出て、右折してインド最南端のTTを目指した。 朝、ドジを踏んでしまったサンパスが、時間のことを気になって、スピードを上げて車を飛ばした。 彼が頻繁に追い越しを行うようになった。前が車があると必ずそれを追い越さないと気がすまない。いつしか彼も長距離バスのクレージー運転手と同じく、追い越し野郎となった。 助手席に座っていた私が、やがて車教習所の教官の役に演じざるを得なくなった。 「スピードを落とせ!」 「車間距離を保って!」 「カブで追い越しちゃ駄目!」 口酸っぱく言っても、あまり効き目がなかった。前は車が走っているのに、サンパスがスピードを落とさずに、ギアチェンジもしないで、その車の直後まで接近し、そしてブレーキー。どうしてこういう運転になったのか分からなくて、私が首を傾げるばかりだった。 後部座席に座っている杉村さんも加勢して、「何度言ったら、分かるか」。つい私たち二人の口調が少々荒くなった。 風力発電 インド最南端の町に後五、六十キロのところ、一基の風力発電機が目に飛び込んだ。その姿はアメリカの映画などで見かけたことがあるが、実物を見るのは始めてだ。 そいつが二十数メートルがあろうと思わせる柱を持ち、その上、3枚の羽がついている発電機がある。そして、杉村さんもそれに気づいて、 「風力発電機があるよ。しかも一基じゃない。」 何?よく見ると、なんと谷一面に数え切れないほどの風力発電機が立っているではないか。おっと、そっちだけじゃないぜ、こっちも一杯ある。 「インドもやるね。」 「こういう事業なら、いくら援助してもいいぞ」 「そうですね。」 「しかし、すごいな、これじゃ300基くらいあるね。」 「もっとよ。」... 見渡す限り何百基の風力発電機が悠々と立っており、その羽根がゆっくり回している姿が、なんという壮大な光景だ。 実際、この風力発電機の林が延々と10キロも続いた。インドでこんな意味のあるプロジェクトを見たことがない。失礼だが、それがすべてインド人の手によるものだったとはとても信じられない。しばし、感動し、感情が高まっていた二人であった。 最南端 風力発電機地区を駆け抜け、車窓の隙間から入ってくる風も、だんだん海の匂いをし始めた。海、近いぞ。 車が小さいな町に入った。町人より旅行者の格好をしている人の数が多いみたい。ここか。インド最南端の町、TT 町に一本しかない大通りでひたすら南へと進んだ。そして、大空に下は緑上がブルーの「幕」が掛けられているように見えるのは、海だ! 道もここで行き止り、つい到着。 世界で唯一三つの海を一辺に見ることができる町として、ヒンズ教の聖地でもある。その名前はローマ帝国の古典にも聖地として記述されていた。私たち今ここにいる。 海岸までほんのわずかだが、行きたい気持ちを抑えて、まず腹ごしらえだ。三つの海がすぐそこにある。海が逃げない。 近くの駐車場で車を止めて、ノートパソコンにデジカメの写真を転送し、撮影の準備を整えた。駐車場の裏にはホテルがあり、地下にレストランがある。ここでもインド人の不思議の発想が見られる。レストランを一階もしくはそれ以上の階にすれば、海を見ながら、食事できるのに、地下じゃ周りの壁以外何にもない。インドに来て3ヶ月近くになるが、インド人がどうやら同時に二つのことをやるのはできないのが分かった。食事は食事、それ以外の付加価値は一切いらないのだ。まったく。 食事の後、足早に海岸へ向かった。正面にヒンズ教のお寺が建っており、そこに入るのは靴を抜かないと無理だ。そしてたいした寺ではなさそうで、諦めた。左に曲がって、お土産屋がずらりと並んでいる。中にはサリーを売っているお店もあった。こんなところまで来て、サリーを買う人が果たしているのだろうか。 細い道を歩いて、また左に曲がって、まっすぐに行ったら、砂浜が見えてきた。そこに大勢のインド人がいる。ときには大きな歓声も聞こえてくる。砂浜まで階段で降りなければならない。数段降りたら、そこに大きない展望台見たいなスペースがあり、そこから左がベンガル海、正面はインド洋、右がペルシャ湾である。正面に向かって立っていれば、270度範囲内全部海だ。もちろん、三つの海の境界線などあるはずもなく、自分の中で気持ち的にあそこから左にベンカル海だな、あそこなら、ペルシャ湾かという具合だった。しかし、ここの潮のかおりが何かが違う。気のせいかもしれないが、何かが調和されていて、ほんわかと感じる。 インドの人にとってここは単なる観光地ではないようだ。年寄りの教徒らが随所見られる。展望台の低い壁に婆ちゃんたちが座り、その後ろはインド洋は天の届くところまで伸びている。海風にあおられて、婆ちゃんたちの銀色の髪は激しく踊っている。まるで、これまでの人生を神に訴えているようだ。人生は限られているが、神への信仰、家族、友達へ愛情が永遠不滅... そして、ベンカル海側に、小さいな島が二つほどある。右側の島の上にでかい土台の上に大きな鎧を被っている古代武士の彫像が建てられていた。その大きさは信じられないほどのものだった。少なくとも十階ビル建ての高さがある。が、ここにもインド人の不思議な発想が見られる。その武士が町のほうに向いているからだ。じゃ、彼が町ではなく、その後ろの海を守るのか。何かが違う気がする。 その武士が立っている小島の横にもう一つ小さいな島がある。そこまで船で行くことができると聞いて、杉村さんと船乗り場へ向かった。船乗り場は漁船などと隣り合わせていた。若い船乗りたちはパンツ一丁だけを身に付けて、巧みに船を操作し、船と船のわずかの隙間を利用し、自由自在に往来していた。 私たちの渡り舟は想像していたより結構大きかったから、少し安心した。入口には係員が立っていて、人々の手を取って、乗船を手伝っていた。船の上でも船員は3、4人がいた。乗客が立ち上がらないように注意したり、カメラの写真撮影禁止を強調したりしていた。船の上では、なぜ写真撮影は禁止されているか、まったく見当が付かなかった。 ようやく船が動いた。島までわずか5分ほどで到着した。 船が接岸し、また揺れていたのに、インドの方は皆すでに立ち上がり、競い合うように入り口に殺到した。まるで、後1秒、2秒も経たないうちに、船が爆発するみたいだった。 船を下りて、小さい山の頂上にあるお寺に行きたいが、出来なかった。ここでも、インド流儀に従い、靴を預けなければならなかった。靴を脱ぐには少し抵抗があったが、せっかくここまで来ていたから、脱がないわけには行かなかった。頂上には左右二つの建築物があり、左側にお寺、右側に女神の足跡が中にあるとされている建物だ。 先に女神の足跡を見たいが、係員に止められ、彼が示してくれた「道順」に従うように言われた。 |
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