t.w.d. the world distorted

by AVGNN VEXNN



ノイズが私達を覆っている。
全ての信号は歪められ、
あらゆる物がその影響下にある。

人間は元来、化学的、電気的、その他のものにおいて条件付けられた存在であり、
脳や神経組織での微弱な電気的信号や化学的な信号によって行動している。
また、知らず知らずのうちにその微弱な電気信号や化学的な影響を他者にも与えつづけている。

そして、これは人間の存在や行動のあらゆる階層において行われている。


また我々はその存在を知っている。
しかしそこに意識が向けられることはない。

我々は他者からの信号を、通常コミュニケーションの手段として利用する。
ただし、得た信号全てを有効に利用できるわけではなく、
むしろほとんどの情報は修正や補填が加えられた後に意識の届かない部分に葬られる。
しかし、意識下に葬られた情報でさえ我々は常に蓄積しており、
なんらかの理由で修正しきれなくなった際に噴出させてしまう。
それらは障害、疾病、摩擦などとしてあらわれる。

修正や補填は人間存在や行動のあらゆる階層で行われているが、
各階層での信号は必ず歪みを加えられ相互に影響しあう。
これを我々はノイズの相互付与と呼んでいる。


様々な歪みがあらゆるものに影響を与え、蓄積されていく。

我々の脆弱な精神が
外部からの意図的な信号によって個体の内面に影響を及ぼすことは実験で明らかにされている。
同様に内面において信号に歪みが加えられ、発信者の意図しない結果へと導かれる時さえある。
そして個人の内面での影響は更に歪みを加えられ集団へ、更に社会へと影響を与えることになる。
ここでもノイズの相互付与がおきているのである。


 歪みはまるで波紋のように広がっていくが、
それを意識するものはいない。

 個人の内面での影響は更に歪みを加えられ集団に、社会に影響を与える。
個人の内面の歪みが別な階層でも歪みとして反映されるのである。

各階層での信号は必ず歪みを加えられ相互に影響しあう。
これを我々はノイズの相互付与と呼ぶ。


社会の影響は個人に影響を与えるのだろうか?

与える。
歴史の本を一冊紐解いて見るべきだ。
個人によって引き起こされた社会の過去と、
社会によって引きずられた個人の過去とをそこに見つけることができる。
社会から受ける個人の内面の影響は表面には現れていなくても甚大である。
歪みは個体に影響を与え、集団に影響を与え、社会に影響を与えていく。
歪みは人間行動のあらゆる階層において生じ相互に影響を与え合う。


我々は情報と同時に歪みを受け取る。
どのようなテクノロジーであっても歪みから免れることはできないし、
どのような存在であっても免れることができない。


我々は化学的、電気的、その他のものにおいて条件付けられた存在である。
我々を構成する肉体はおろか、精神や記憶でさえ例外なく、この条件に従う。
故に我々はノイズを受け、信号に歪みを加えられる。
しかし、憂うべきではない。


我々は既に相互接続されている。

我々は「ノイズの相互付与」への参加者という形で社会に「接続」されている。
これはインターネットのように明確に情報のやりとりを可能にするわけではないが、
個人の存在自体が上位の階層に影響を与えるセンサーの一つとなっており、
また上位の階層からの信号を受ける端末の一つでもある。
しかし、信号は必ず歪みを加えられ相互に影響しあう。
信号を伝達する全ての手段は歪みを免れ得ない。


我々は情報に取り囲まれている。
我々一人一人が感覚器官として情報を受け取り、
歪みを加えてあらたな情報を生み出す。

人間の歴史は歪みの歴史でもある。
我々の祖先は様々な歪みを生じさせ、様々な文化を作り出した。
あらゆる物が歪みの影響下にある。


公開:06/21/99


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