本の感想

ゆうべ、もう恋なんかしないと誓った。 唯川 恵 ハルキ文庫
 久々に読む恋愛小説。とりあえず勧められたので試しに読むことにした。

中身は24つのショートストーリーから構成されていて、おそらく二十代後半から三十代後半の女性が主人公となっていた。

ここに出てくる主人公たちは、いかにもいそうな感じでリアリティのある話だった。普通のサラリーマンのような社会人になることができず、いつもふらふらしている男友達をなぜか愛してしまう女。美人であるために下手なプライドが邪魔して「昔はきれいだったんでしょ」といわれ若さという武器を失った女。

と、まぁいろんな女の人が出てくる。

 めったに恋愛小説は読まない自分にこれを勧めてくれた友人には感謝している。恋愛について結婚について女の人がどう考えているかを知るいい機会になった。

 女の人が陥りがちな恋愛での葛藤がよく描かれていると思う。女の子から受ける恋愛相談なんてこの手のものが多い。
 
 この本は男の人にも結構面白いかもしれないと思う。相談を受けたとき似たパターンに出会うことはきっとあると思う。これのどれかに当てはまると決めてかかってはいけないが、話をうまく引き出していけば、結局この中のどれかにたどり着く可能性は高い??

 この本のよいところは、ショートストーリーであるために、結局その後の彼女たちがどうしたのかということをすべて読者の想像に任せてしまっている。ここに出てくる人生の一ページを彼女たちはどう捕らえどう変わっていったのか、そのままいってしまったのかそれは読者次第。

 基本的にハッピーエンドの話はないので、その分もし自分に当てはまるとすれば、自分を振り返り新しい自分を見つけられるのではないかと思う。

『マネーロンダリング』 橘 玲  幻冬舎文庫

 この本を読むきっかけとなったのは、同じ著者の『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計入門 (幻冬舎)』を読んで日本にあるお金をめぐる面白い制度を知ることとなり、社会保険制度、税法やら金融というものにすごい興味を持った。
 
自分はきっとお金がすきなんだと思う。そんなこんなで著者が実は小説家であることを知り、本当はこのベストセラー『マネーロンダリング』で有名になったということを知った。

 この本の冒頭は日本の中小企業社長が主人公工藤秋生を頼りに香港上海銀行に講座を開設するところから始まる。はっきりいってこの序盤で自分はすでにこの小説にはまってしまった。単行本にしては結構分厚い本で前フリが長くなるのを多少覚悟していたがそんな心配は要らなかった。とにかくお金に興味があるのならぜひとも読んでみてほしい。
 
 この本のすごいところは何よりも全体を通して出てくるさまざまな金融手法を使った脱税・節税のテクニック。小説の中に出てきた言葉で妙に印象に残るのは「確実により多くの利回りを得たいなら、合法的に税金を払わない」といった趣旨のないようだ。これは『お金持ちになれる〜』と同じスタイルですんなり受け入れられた。

 銀行に預ければ利息の20%は自動的に課税される。でもそれは日本に限った話で国が変わり銀行が変われば状況は一変する。非課税の国などいくらでもある。要するにそこに預けていれば日本で預けるよりも課税が区分だけ利回りが大きい。

 お金持ちでもなく、今の日本の金利を考えたら、今の自分にはまったくこの知識を実践する機会はないが、こういう考え方をもてるようになっただけでもこの本に感謝している。
 
 最後にひとつだけ。この本は金融手法の紹介本ではなく小説である。金融の世界を題材にしただけである。金融を知り尽くした主人公が何か秘密を持った美女と出会ったことからおきるさまざまな出来事が物語としてとても面白い。はっきりいってとてもハードボイルドな小説である。

 徹夜してでも読みたくなるそんな作品だとおもう。