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劇の練習をしている。

父との絡みのシーン。

はじめに私が父の頭を棒で殴り次に父が棍棒で殴るというシーンだ。

私は、手加減をしながら殴った。

次に父が棍棒を振り下ろす。

強烈な衝撃を感じる。

頭の中央にすごい勢いで振り下ろされた棍棒。

ここまで真剣に殴る必要があるのだろうか・・・。

私も手加減などせずに力一杯殴ればよかった。

──痛い!!──

頭に手をやると、ものすごい大きさのたんこぶが頭の側面に出来ている。

頭の後頭部にも大きなたんこぶ。

そうだ!これも昨日・・・・・なぜ出来たのか思い出せない・・・

 

自分の部屋でぼーっとしてる。

痛い!どんどん瘤は大きくなっている。

冷やさなくっちゃ─。

タオルを手に台所の水道に向かう。

途中で母に会った。

「どうしたの?」

「うん、すごい瘤が出来てる。」

ほら、といって手を頭からどけると母は納得し、病院に行きましょうと言って健康保健所はどこに置いてあったかしらと探しに行く。

すぐ水分が飛んで乾くから少し緩めに絞った方がいいかななどと考えながらタオルを水で濡らす。

濡れたタオルを頭にのせると、少し頭の痛みが和らぐ。

やっぱり冷やした方がよかったんだと思いながら自分の部屋へと戻る途中、父にあった。

頭にタオルをのせ手で押さえている姿を見て「何してるんだ?」と父が聞いてきた。

「うん、すごい瘤になった。母さんが病院に行った方がいいって」といってタオルを退けて見せる。

「ああ、病院に行った方がいいな」

少し、すまなそうな顔をしている。

冷やすと瘤が少し小さくなったような気がする。

父への嫌がらせに冷やすのよそうかな・・・・などと考えてる。

母はなにやら電話してる。

電話が済むと「用意できたから病院に行くよ」

ああ、病院に電話してたんだな。

車の運転席に母が乗り込む。

母が運転してくれるのか──。

車に乗り込むと、向こうから父がやってくる。

それを見て母が助手席に移る。

父が運転するのか──。

──怖い!!──

車は信号で止まらないといけないのにスピードを落とさない。

直前まですごいスピード。

ブレーキ。

車はぎりぎりの所で止まる。

決して止まるとは思えなかった──。

──怖い!!──

何度となく同じ思いを感じながらも病院に着いた。

「ここらへんでいいわ。終わるまで待ってて」

「ああ、あそこの駐車場にでも入れておく」

近くに広い駐車場があった。

母は車から降りるとスタスタと病院へ歩いていく。

小さな個人病院のようだ。

母が手続きをしている。

就職もしているいい大人が母親同伴で病院か・・・。

──なさけないような、みっともないような想い──

名前を呼ばれ診察室へ向かう。

診察室には向かい合った形で置かれたゆったりとしたリクライニングシートが二つある。

一方に座ると毛布のようなものを腰の当たりまで掛けられる。

向かいのシートには中年の女性が座っている。

手には大きな宝石のついた指輪をいくつもしている。

「貴金属は外して下さい」とアナウンス。

中年女性は指輪を外していく。

私は貴金属はつけていないななどと考えながら向かいのシートの女性の動きを見ていた。

中年女性は「はい、これで全部」といっているが、でっかいペンダントが残っているがなどと思いながら、またレントゲンでも撮る気かななどと考えている。

シートとシートの間は少し離れて向かい合わせになっており、シート同士の空間の両サイドにはテレビ画面が置いてある。

今、撮っている映像が映し出されているようだ。

私はなぜか右の画面を見なくてはいけないと感じているが見にくい。

無理をせずに左側を見ることにした。

画面に映っている映像はサーモグラフのようだ。

中年女性の座っているシートの後方の離れたところの少し上の方にガラスの見学窓にいた男の先生が近づいてくる。

35.6歳だろうか?

男の先生は近づき、私の腕、腋からほど近い当たりに注射器を刺す。

痛いという感覚なのか、なにか得体の知れない苦痛を感じる。

画面の映像は、向かいの女性の顔を刃物のような物で斬られていく・・・刃物自体は見えない

画像が移り変わっていく。

今まで見たこと読んだことのある醜悪な映像。

両目をつぶされ、手足の機能を奪われた這いつくばる英雄と呼ばれたことのある男性の映像は特に見たくなかった。

なぜだか、体を痛めつけられ這いつくばっている姿事態より、彼が彼の意志が犯され、屈服させられ地に落ちた所を見るのがたまらなく嫌だった。

─映像で私の感情レベルの動くのを観察されている様な気がして、私は自分の心を静めようと躍起になる。

画面の映像─右の画面には男女の姿が映っている。

左の画面には成人した男性天使が映っている。

右の画像の男性が左の天使に向かって、

「お前のその厳粛な顔の下には醜いものが巣くっているのを知っている。」

どうやら、女性の方は天使のことを神聖視しているようだ。

天使は男の繰り出す言葉に対して反応せず穏やかに笑っている。

─なんか いやだ─

「俺は知っているのだ、彼女が大勢の者に蹂躙され恥辱を受けている所を笑ってみていた貴様の事を」

─女性は知らなかったらしい─

画面に映る男性と天使は会話をしているようだが、どこか遠くて何をいっているのか聞こえない。

天使は画像とは別に現実に具体かし、邪悪な笑みを洩らしながら、

「ふふ、あれは大変おもしろかったですよ」

─おぞましい─笑い顔─

──いやだ!見たくない── 

闇。何も考えられない。

 

意志の浮上。

体が重い。

自分の意志で動かせない程におもい。

目はやっと片目だけ薄目を開けるのが精一杯だ。

必死で手の指を動かすことに神経を集中してみる。

指が動いた。

周囲の状況がある程度頭に入ってくる。

病院の一室に寝かされていたようだ。

部屋は薄暗く、誰かがいる。

若い、学生のような男性と女性のようだ。

「間違いらしいよ」

「幻覚剤かなんかを注射されたらしい」

主に男性がしゃべっているようだが、私のことを言っているようだ。

二人の話す声に意識を集中する。

男性がこちらに近づいてくる。

「まだ、目を覚まさないようだね」

私はかろうじて開けていた目をつぶり意識のないふりをする。

─なぜだか、目を覚ましたのを知られてはいけないような気がする─

闇。

意識の浮上。

片目しかやはり開けられない。

体は重く動かせない。

同じ所に寝ているようだ。頭の方には見ることは出来ないが、ビニールに水を入れた水枕よりも大きい柔らかいものがあてがわれているようだ。

瘤を覆っているのを感じる。

あてがわれた、ビニールのぶよぶよとした物は濡れているようだ。

目の前には女の先生が立っている。

─院長先生の奥さんだ─

手にはガラスの丸い容器を持っている。

中には濁った水のような物に血の混じった液体が入っている。

─ああ、瘤の中身を吸い取ったんだと思った瞬間、痛みを覚える──

 

目が醒める。

?私は夢を見ていたんだろうか・・・・。

頭に手をやってみた、すると瘤が存在していた。

夢ではないのか・・・・。

自分の身体を見ると、手術を受ける前に着せられるあわせのようなものを着ている。

腋に近い腕には注射針を刺したままかき回されて出来たような傷に血がこびり付いている。

─ああ、夢じゃなかったのか・・・。今まであったことを思い出す。─

室内にいた男女がよってくる。

「目が覚めた?」

─ああ、さっきの人だ─

「うん」

突然の嘔吐。

すごい勢いで水のような物を吐き出し続ける。

近くまで来ていた男の人の腕を掴みながら・・・

「止まらない」

吐き出し続ける。

「後遺症だね」

──幻覚剤の?──

全て吐き出し終わると誰かが部屋に入ってきた。

─院長先生だ─

「どう?」

頭に手をやる。

なんだかブヨブヨしてる。

瘤の中に水でも入って水疱のようだ。

瘤が動くたびに揺れる。

フィードバック

どこかで、話している声が聞こえる。

母と院長夫人のようだ。

「瘤の中にこのボールをいれると丈夫になりますよ」

婦人が持っている半径2センチほどの金属のボール意外にもいくつかのボールがあるようだ。

手に持っているボールは銀色。机には青銀と白と黄色。

黄色のボールは他のボールよりも少し大きくボールの表面に苦悩と刻印されている。

院長夫人の会話はまだ続いている。

ボールの値段についてらしい。

「みんな結構な値段ですが、これならかえってお金を5000万払いますよ」

彼女は黄色の苦悩のボールを指している。

母は「ふ〜ん、どうしようかしら?」といったまま顎に手をあてて考えているのか考えていないのか解らないような顔をしている。

──あんなもん、埋められてたまるか!! いやだ── でも声が出ない。

現実に引き戻される。

院長先生がなにやら言っている。

「揺れるたんこぶは流行ですよ」

─そんなこと、あってたまるか!!─

院長は部屋から出ていく。

向かいの部屋では、院長、婦人、男の先生の話し声が聞こえる。

「2リットルほど吐きましたね」

──ああ、そんなに吐いたのか──

母が部屋に入ってき、後ろに姉の姿がある。

「大丈夫?なにか手違いがあったらしいは」

私は診察室の方へふらつきながら歩いていく。

─服をきがえなくっちゃ─

服を着ようとするが手が震えて思うように出来ない。

姉は、携帯で電話をしている。

時間がかかるので、父は帰り替わりに姉がここに来たようだ。

父に電話をしているんだろうと思いながら見ていた。

私は吐いた事を母に伝えようとさっきまで寝ていた部屋に連れていく。

私が吐いて水浸しのようになっていたのに跡形もなくなっている。

ただ、ベットはじっとりを水分を含んでいる。

「念のため訴えておこうか?」

母の声が遠くで聞こえる。

気がつくとさっき寝ていた部屋で寝ている。

文字が空中に浮かぶ。

『早く家に帰りたいと言え』

─私の意志をねじ曲げようとしている圧力を感じる─

─嫌だ!!─

だが、家に帰りたいという想いが私の中にあったこともあり、私は部屋の外の母に向かって

「早く家に帰りたい」と叫んでいる姿をどこか離れたところから見ている。

身体は思うように動かない。

反対方向へ引っ張られているのを必死で抵抗しながら違う方向へ歩いている。

家への道を母と姉と一緒に歩いている。

すごい抵抗、引っ張られているのとは違う方向へ向かっている。

身体だけじゃなく、私の意志が必死に何かに抵抗しているようだ。

声を出すことも出来ない。

意識が他に向かったとたんに抵抗できなくなる。

すごい勢いで引っ張られた方向へ引き寄せられ、引き寄せられる勢いできっと壊れてしまう。

どうなってしまうかわからない不安を感じる。

母と姉は私の心の叫びが解るようだ。

「頑張ってるね」と言われた。

瞬間、頬に一筋涙が筋をひく。

必死に声を出そうともがく。

──くやしい──

一言言葉が吐き出された。

 

眼が覚める。

また、片目しか開かない。

周囲はかすれている。

─私はどこで目覚ましたんだろう?─

周囲を見渡す。

一人暮らしをしている私のマンションの一室。

いつも寝ているベットの上だ。

私は思わず頭に手をやってみた。

瘤がない。

・・・・・・・夢だったのか。

変な夢だ。

朦朧とした意識の中で、時計を見る。

6時30分。

今日は土曜日だしまだ十分に寝る時間はあるが、このまま寝てしまうときっとこの夢のことを忘れてしまう。

私は、ベットからすこし這いだしプリンターから幾枚かの紙をとペンを手にベットに戻る。

暗闇の中、意識が完全に覚醒しないように目をつぶりながら、紙に今までの夢を綴り始めた。

 

この夢は私に何を伝えたかったのだろうか・・・・・。