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クリスマスの恋人 第1章 今年もこの季節がやってきた。お決まりのクリスマスソングが街に流れている。 どこもかしこも、赤と緑と白でコーディネートされていて、嫌でも目に飛び込んできる。 去年の今頃もなんだかロンリーな気持ちを抱えていたっけ。あはは、相変わらずロンリーな 自分にがっかりしている。今日は、クリスマスイブの一週間前。友達の智代の彼氏の働いている バーへ飲みにいく約束で待ち合わせしている。智代は、昔から遅刻魔だ。今日もすでに 15分遅刻している。 「あの・・・理沙?」 男性の声、ナンパ?振り返ると、幸浩がいた。 「えっと、お久しぶり・・・」 言葉に困るよ、約1年ぶりの再会。なんとなく、今日は気合入れてきてよかったと思ってしまう。 「あの時は、ごめん。」すまなそうな幸浩。まだ思い出すと心が痛む。 「これから、デート?」話をそらしたいがために変なこと聞いちゃっている。別に聞きたくないのに。 「違う。彼女いないから。部活の先輩と飲みいく約束あって。ここ待ち合わせ場所なんだ。」 よかった、ほっとしている自分が切ない。私だけいないのは淋しすぎるもの。 「理沙は?彼氏できた?」4つ年下の幸浩にいないというのも情けない。 「まあ、彼氏はいないけど、気になる人はいるわよ。」なんで嘘ついちゃうかな。 「うそ〜初耳。信じられない。聞かせて聞かせて。あのクリスマスの彼を忘れられないんじゃ なかったの?」タイミング悪い智代の登場。しかも、本人いる前でそういうこと言わないでよね。 頭を抱える私を幸浩が笑っている。智代が私の耳元で 誰?と言っているそばからニヤニヤしだし、 例の彼 といって幸浩に会釈なんかしたりしている。 「一緒に飲みませんか?」智代が切り出す。 「先輩にちょっと確認します。」といって幸浩は携帯をもって、少し離れた。 幸浩も、智代も軽すぎる。去年は、相当傷ついたんだから。ほとぼりが冷めたわけじゃないのに・・・ 第2章 去年のクリスマスイブの3日前、私は友達と飲みにいっていた。 結構飲んでいて、気がついたら終電なくなっていた。 どうしよう、タクシーで帰るお金もない。途方にくれた私は、近くにいたロープにつながれた犬と 遊んでいた。 「シロ、お手。どうしようかねえ。」 「この犬、シロっていうの?」3人組みの男の子たち。でも全く怪しい雰囲気がない。 「知らない。私が勝手に決めたの。ご主人はどこいっちゃったんだろうね。」 「お〜い、シロ。こっちだぞ!」男の子のうちの一人が妙に無邪気にはしゃいでいた。 私も一緒になってはしゃいだ。それから10分後ぐらいにシロの主人がきた。 「ああ、シロいっちゃったね。」私はがっかりしてみせた。男の子のうちの一人が話しかけてきた。 「これから、帰るの?」 「う〜ん、終電のがしちゃった。タクシーで帰るかなと思っていたところ。」 「ちょっとカラオケでも行かない?」 年下の男の子たちと遊ぶなんて、初めてだった。3人の男の子は、同じ大学の卓球部の先輩・後輩トリオ だった。一人は私と同い年で22歳。来年、大学卒業だけどまだ就職が決まってないらしい。自称キムタク。 髪型だけ一緒だった。もう一人は、20歳。来年成人式の若者。そしてもう一人が、幸浩だった。まだ、大学 1年生。カラオケでは、ほとんど幸浩と私が盛り上がっていて、他のふたりは寝ていた。もう2時回っていたし。 カラオケを出たとき、もう3時を回っていた。 「おうちは大丈夫?」二十歳君が心配してくれた。 「うん。明日、帰ってから、遅くなったから智代のうちに泊まったっていえば、大丈夫。」 「うちで飲みなおす?」幸浩が言った。なんとなくまだ一緒にいたくて、どんな人かもわからないのに ついて行った。彼らじゃなかったら、間違いなく殺されてる私。。。 幸浩のうちは、さすが大学生の部屋といったボロアパートだった。 「ごめんね。汚いところで。」部屋に入るとすぐに広末涼子のポスターが部屋の壁のほとんどを占領していた。 寒かったけど、石油ストーブでなんとかしのいだ。しかし、この石油ストーブすぐに石油がなくなってしまった。 「やっべ。石油ない。直行さんの部屋のストーブって、石油ありますか?」 「あるけど。」 「それじゃあ、理沙さん泊めてあげてくださいよ。」え、まあいいけど。私は幸浩の独断により、直行さん =二十歳君の部屋に泊まることになった。案の上、彼には彼女がいて、私と彼との間ではまったく何もなかった。 直行さんの部屋に行く前に、幸浩は私に携帯の番号を聞いてきた。私はもちろん本当の番号を教えた。 クリスマス前の出来事に私は少し胸をときめかせていた。 続く |