こんにちわ。P4です。  P4は正式には「セクシュアリティと人権を考える会P3・アクションブランチ」 という名前の、セクシュアリティと人権を考える会P3での話し合いの中から出てき た、さまざまな問題の解決のために行動する部会です。Power+People+Pride=P3な ので、アクションブランチはP4(+Politics)と呼んでいます。  P4のある岡山では、今月の24日告示、31日投票で、岡山市長選挙があります。候 補者のビラや街頭演説では、P3でいつも話し合われている性的な人権についての各 候補者の考えを知ることができないので、公開質問状をだしました。  今回の行動の結果をP3にかかわりのあるみなさんと共有するために、P4が出し た質問と、各候補の回答をお送りしますのでご一読ください。  また、P4では今後も、4月の県議会議員・市議会議員選挙、夏にあるかもしれな い総選挙のおりにも、公開質問状を出す予定ですので、今回の質問状をお読みになっ て、「こういう質問をつけたしてみたら?」とか「この質問はこう書いた方が効果的 なのでは?」等のアドバイスがありましたら、ぜひお寄せください。よろしくお願い します。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ●公開質問状は1月7日の深夜に岡山中央郵便局から、安宅敬介、宇野武夫、萩原誠司 の3候補(そのうち安宅候補は現職)に、切手を貼った返信用封筒を同封して、速達 で出しました。回答期限は1月14日必着ということにし、1月16日にP4の私書箱をチ ェックしたのですが、萩原候補からの返事は来ていませんでした。今後萩原候補から の返事が来ましたら、追ってお知らせいたします。 ■教育に関する質問■ 1 性教育に使われている教科書を読んだり、参観日などに授業を参観したりしてい ると、現在行われている性教育は、性の多様性を無視しているように思われます。そ ういった教育(人は全員異性愛者で、半陰陽の人も性同一性障害をもつ人もいない、 男子は男らしく、女子は女らしいということが前提とされている教育)を行うことが 、性的な差別やいじめを生む原因のうちの一つであると考えますが、この点をあなた はどう考えますか。 【安宅】 学校での性に関する教育は、心身の発育・発達とその男女差を正しく理解 し、自己の性的発達に正しく適応できる能力や態度を養うとともに、生命尊重の精神 、男女相互が敬愛し協力する態度の育成、健全な社会を形成するために必要な力を身 につけさせることを目標としている。      ご質問のような性的差別やいじめをしない人間、許さない人間づくりを目 標としている。 【宇野】 性教育は人権を守り、一人ひとりの人生を豊かなものにするものであるべ きで、性の多様性を無視したり性差別を助長するものであってはならないことは当然 です。ご指摘の点は、実態を良く把握した上で改善していきたいと考えます。 2 .小・中・高校といった教育の場に性的被抑圧者の生徒がいることを前提とした 教育がなされていないため、その生徒たちは孤立し、自己肯定をするのも困難です。 それを改善するために、教職員が性的被抑圧者についての偏らない知識を得るための 研修を実施することを必要と考えますか。 【安宅】 学校での性教育については、発達段階に応じた指導を行っており、教職員 においても、職員研修等を通して研修を行っているが、今後さらに研修を深めていき たい。 【宇野】 教職員の研修は、性についての科学的な知識を得ることがまず必要であり 、その中で異性愛者でない人等についての正しい知識を得られるものにしていきたい と考えます。 3 異性愛者でない人、性同一性障害の人が小中学校の職員になることについて制限 する必要があると思われますか。 【安宅】 制限の必要性は考えていない。 【宇野】 制限する必要はないと考えます。 ■「青少年保護育成」に関する質問■ 1 「岡山県青少年保護育成条例」(岡山県条例第29号)の第20条は青少年に対する 淫行およびわいせつ行為を禁止しています。「岡山県青少年保護育成条例の制定につ いて」(通達:青第101号)によれば、淫行およびわいせつ行為とは結婚を前提とし ない不純な性行為とされています。この定義に従うなら、青少年が関わる同性どうし の性行為は、いかに真剣に愛しあっていようとも、全て淫行およびわいせつ行為とな り、禁じられてしまいます。なぜなら、現行法下では同性どうしが結婚することは認 められていないからです。  この条例の不平等性についてあなたはどう考えますか。 【安宅】 社会通念上、不平等であるとは思わない。 【宇野】 ご質問の点に矛盾があることはそのとおりと考えます。現行の条例には多 くの問題があると指摘されており、市民的に論議、検討されるべき問題だと考えます。 2 いわゆる淫行条例により青少年を有害な環境からただ遠ざけて保護するのではな く、青少年の自己決定能力を育成していく教育プログラムこそが必要だという考えが 宮台真司さん(社会学者)らにより提唱されています。「岡山県青少年保護育成条例 」は、いわゆる淫行条例であると思われますが、青少年の自己決定能力の育成につい てあなたはどう考えますか。   またその上で、「岡山県青少年保護育成条例」の改正および撤廃について検討し ていく考えがありますか。あれば、詳細も教えてください。 【安宅】 青少年が自ら考え、判断して行動する力を養成することは大変大切なこと だと思う。市教育委員会では、その事を最重要目標として学校その他あらゆる場を通 じて、取り組んでいる。 【宇野】 「子どもの権利条約」は、子どもを十全な権利主体、独立した人格として とらえており、青少年の自立を進める上では、性の分野でも自己決定能力を育ててい くことは大切な課題と考えます。  県の条例は直接には市長権限はありませんが、市民の皆さんの多様な声をお聞きし ながら。県とも協議していきたいと考えます。 ■異性愛者でない人の権利に関する質問■ 1 職場で異性愛者ではないことをカムアウトしたり、または、たまたま異性愛者で ないことを知られたためにいじめ、中傷などにより仕事をしづらい状況が生じること があります。この場合、職場の責任者にはどのような対処が求められると考えますか 。また庁内では何らかの対策を考えますか。 【安宅】 お互いの人権を尊重し合うよう、人権教育の徹底を図ります。 【宇野】 基本的には職場内の民主的な人間関係をどう作っていくかが大切です。性 の多様性を前提に、不当ないじめなどの発生をなくしていく努力が求められると考え ます。市役所内でも研修等の強化を検討します。 2 職場や学校で、同性愛嫌悪的な冗談(「ホモ」「オカマ」といった言葉でからか いの対象にするなど)があたりまえに交されていることがあります。これは明らかな 環境型のセクシュアルハラスメントで、同性愛者でない人にとっても不愉快ですが、 セクシュアルハラスメント対策の中でふれられていることはほとんどありません。こ の環境型のセクシュアルハラスメントについて教育し、なくしていくことに取り組み ますか。また庁内では何らかの対策を考えますか。 【安宅】 悪質な冗談は人権問題であり、誰もが気持ちよく仕事に従事できるようセ クハラの防止等就業環境の整備に努めます。 【宇野】 セクシュアルハラスメント対策を進める中で、性の多様性についての学習 の機会を増やしたいと考えます。 3 公務員の採用時に本人の性的指向を調査することは必要だとあなたは考えていま すか。 【安宅】 考えていません。もちろん、調査もしていません。 【宇野】 公務員の適格性と性的指向は関係がありません。そうした調査は人権侵害 にもなりかねず、必要はないと考えます。 4 ドメスティックパートナーシップ制度(サンフランシスコ市提案:同性、異性を 問わず婚姻外で親密な関係にあるカップルのために設けられた制度)というものをご 存じですか。この制度は税金の控除、遺産相続、入院時の面会権、医療保険の適用を 婚姻外のカップル(同性どうしのカップルを含む)にも適用するためのものです。こ の制度についてあなたはどう考えますか。   また、2人単位でなく、3人以上でパートナーシップを築いている人たちの権利 についてはどうですか。 【安宅】 知りません。  価値観の多様化(結婚観の変化)に伴い、さまざまな家族形態が生じており、そう した人たちの権利についても今後何らかの考慮をしていく必要があるものと考えます。 【宇野】 市民の皆さんの多様な論議の中で、検討していきたいと考えます。 ■性暴力に関する質問■ 1 当事者が同性愛者であるなしにかかわらず、同性への性暴力は起きます。しかし 、このことは広く知られておらず、同性間(女性男性を問わず)の性暴力は問題化さ れにくくなっています。相談窓口などでも、きちんととりあってもらえるかどうか不 安です。特に男性の被害者は性暴力の相談窓口が女性用のような名称であったりする ため、相談するところがありません。相談窓口を同性間の性暴力、男性が被害者であ る場合、加害者が女性である場合の性暴力も考えたものにし、相談員の教育もするこ とに取り組みますか。  また、このことに取り組んでいるNGOの支援をしますか。 【安宅】 家庭内暴力等、性暴力に相談件数が増え、教育内容も多様化していること から、専門的な知識を有する相談員を配置する必要があると考えます。  また、NGOに対する支援は、今後の検討としたい。 【宇野】 同性間・異性間を問わず、性暴力は人間の尊厳を侵す重大な問題です。ご 質問のような場合を含め、相談機関や相談員はどのようなものとすることが必要か、 市民の皆さんの意見を聞きながら検討していきたいと考えます。  NGOと協力し合うことも必要と考えます。 ■性同一性障害に関する質問■ 1 性同一性障害をもつ人にとって制服のある学校は苦痛です。なぜなら制服は戸籍 上の性別によって男女で違うものを着なければならないからです。制服のない学校、 性別でデザインの違わない制服を採用している学校もほとんどないようです。性同一 性障害をもつ人にとって耐えがたく、不登校にもつながっているこの学校制服の男女 別の問題についてあなたはどう考えますか。 【安宅】 制服は、男女のステレオタイプを助長する要因のひとつとなっているので 廃止すべきであるとの考えがある一方で、制服を廃止すると服装が派手になりやすく 、また、経済的に低位におかれている世帯の家計を圧迫する等賛否両論ある中で、現 在検討中の学校もあります。 【宇野】 岡山市における学校制服は全国でも数少ないものであり、自由服化・基準 服化や男女共用化の動きがしだいに広がりつつあることは、好ましいことと考えます。  制服をどうするかは、基本的に各学校の教師・保護者・子どもたちの自主的な論議 によるべきものであり、ご質問の観点も含まれるよう検討していきます。 2 市役所でも男女で制服が違うのを見かけますし、また看護婦/看護士で制服が違 ったりと、職場でも、戸籍上の性別に基づいた服装の押しつけがあります。このこと は性同一性障害をもつ人にとって大変苦痛です。それだけでなく、このことが性別役 割分業の強化につながり、性差別構造を補強することになるとも考えられます。この 問題についてあなたはどう考えますか。 【安宅】 すべての職種について制服(作業服)が必要とは考えていません。また、 制服(作業服)が必要な職種についても、できれば男女とも同一のものとするのが望 ましいと考えます。 【宇野】 制服については市民の中には多様な意見があります。基本的には社会全体 の民主主義の問題と考えますが、「違いを認め、互いの人権を尊重していく」流れを 進める取組みを検討していきます。 3 性同一性障害をもつ人は公衆トイレに入ることが困難です。多くのトイレが男女 別だからです。男女別でなく、全個室にしてあるトイレはまだまだ少ないので、現在 は性別で分かれていない障害者用のトイレを使用したり、「間違って男(女)の方に 入ってるよ」と注意されたり、痴漢扱いされるのを覚悟で戸籍上の性別の方に入って います。新しい、豪華な公衆トイレが次々に作られますが、性同一性障害をもつ人の ことを考えた公衆トイレは作られていません。このことをあなたはどう考えますか。 【安宅】 今後の検討課題と考えます。 【宇野】 今後の公衆トイレ整備において、ご質問の観点も含めて検討していきます。 4 現在、埼玉医大の倫理委員会や日本精神神経学会で性同一性障害をもつ人に対す る性転換の手術が承認され、実際に手術も行われています。しかし、手術をしても、 戸籍の性別が変更できないばかりに、性再判定手術(性転換)後の性別で就職するの が困難な状態に追いやられています。職業選択の自由の権利が全ての人に与えられて いるにも関わらず、性同一性障害をもつ人は戸籍の性別欄が変更できないばかりに結 局やむを得ず接客業に就くといった、限られた職業しか選べずにいるのが現状です。 戸籍に性別欄があることで職業選択以外でも支障をきたす原因になっています。性再 判定手術後の戸籍変更についてどう考えますか。   また、戸籍の性別欄そのものの必要性についてどいういう考えをもっていますか。 【安宅】 男女雇用機会均等法の改正により、平成11年4月から、性別により採用・ 不採用を決定することは禁止されます。  戸籍の性別欄については、現行法制度上はやむを得ないものと考えます。 【宇野】 市民の皆さんの幅広い論議の中で、検討していくべきものと考えます。  なお性同一性障害については、全体としてどういう対応が必要とされるか、市民の 皆さんの知恵も集めながら研究していきたいと考えます。 ■HIV感染症に関する質問■ 1 現在配られているHIV感染症のパンフレットはそのほとんどが異性愛者のための パンフレットです。同性愛者について書かれていることがあっても、差別はいけませ んということだけです。HIV感染は性的指向には関係ありません。どんな性的指向を 持つ人にも役立つパンフレットを配布するべきだと考えますか。 【安宅】 岡山市が配布しているHIV感染予防を啓発するためパンフレット類につき ましては、性的指向に関係なく、「HIVに関する基礎知識」「HIVの予防法」「もしHI Vに感染した場合」「HIVとの共存への取組み」等についての市民の皆様の理解を深め るために活用しているものです。 【宇野】 ご質問の観点を含めたパンフレットは必要だと考えます。 2 HIVの相談窓口などに異性愛以外の性的指向について知識があり、偏見を持たな い相談員がいなければ、異性愛者以外は、相談をすることが困難です。窓口の担当員 にそのための教育をすることが必要と考えますか。  また、そのことに取り組んでいるNGOの支援をしますか。 【安宅】 人間の性を考える上で、人の性的意識が同性、異性、両性のどの方向に向 いているかという性的指向の概念を考慮することは重要であると思いますが、HIV相 談の担当者のみならず保健所・保健センターでは、多様かつ複雑な市民のニーズに対 応した各種の相談事業や地域保健事業に取り組むにあたり、事業に関連した研修を深 めるとともに、「プライバシーの保護と人権への配慮」を十分踏まえて実施している ところです。  また、平成10年11月末に「HIVと人権情報センター岡山支部」が実施した「36時間 エイズ電話相談」事業は、市が取り組む事業に沿った活動であることから岡山市地域 福祉基金による支援を行ったところです。 【宇野】 性の多様性を踏まえた職員の研修を進める必要があると考えます。そのこ とに取組んでいるNGOがあれば、協力し合いたいと考えます。 3 98年4月1日にHIV感染者の障害者認定がスタートしました。申請をすれば、認定 を受けることができ、医療費が無料になりますが、申請をすることでプライバシーが 漏れることをおそれて、申請をしない感染者が多くいます。HIV感染者の障害者認定 でのプライバシーの保護について何か具体的に対策を考えていますか。 【安宅】 HIV感染者の障害者認定事務については、プライバシーの保護に十分配慮 するよう通知等により職員への啓発、周知に努めております。  具体的な対策としては、拠点病院等指定医師のいる医療機関に身体障害者手帳の申 請に必要な診断書を常備し、申請書も郵送による方法、及び本人に代わって関係のあ る者が福祉事務所に申請書を提出できることとしており、HIV感染者が直接福祉事務 所に来られなくても身体障害者手帳の交付が可能になっております。  また、当市の手帳は専用のケース(定期入れのような形)に折り畳んで入れており 、通常サービスを受けるために必要な呈示面は、氏名・年齢・障害等級・写真の貼付 のみとなっております。  HIV感染者のプライバシーの保護に関しましては重要な問題であり、今後とも、職 員研修等を通じて、より一層正しい認識と啓発に努めてまいります。 【宇野】 プライバシーは当然保護されるべきものであり、職員の意識向上を含めて 具体策は検討していきたいと考えます。 ■少子化対策についての質問■   少子化対策がいろいろあげられていますが、そのほとんどが、産む能力があり、 しかも結婚している人のための対策です。産む能力のない人、産みたくない人のため の対策は提示されていません。今出されている提案は「安心して出産/育児ができる 世の中こそがすばらしい」と読めるような提案ばかりです。このことは、産む能力の ない女性や、出産したくないと考える女性、子どもを持つことがむずかしい同性愛者 を、差別することにつながります。少子化対策の中で、産む能力のある、結婚してい る人のみのための提案にかたよらないものも出していくべきだと考えますか(例えば 「自分では育てられないけれど、産みたい人のための相談窓口をつくる」や、「子ど もがほしいけれども産めない人のための養子縁組の紹介をする窓口をつくる」など)。 【安宅】 近年、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利 )に関する議論が高まる中で、“産む”(産まない)ことをめぐっての考え方も多様 化してきていることを承知しております。 【宇野】 子どもを産まないことも一つの生き方として認められつつあることは大切 です。ただ小子化対策としては、産みたいのに産めない状況にある人が「安心して産 める」ようにする施策が基本と考えます。  ご指摘の養子縁組を支援するシステムなど、産む能力のない人、結婚しない(でき ない)人たちも視野に入れた施策については検討していきたいと考えます。 <補足> 私自身、不勉強のため、ご質問に十分答え切れていいない点が多いと思い ます。市民の皆さんのご意見をよく聞かせていただくことがスタートです。様々な立 場の人の意見を出し合い、性的指向、性、年齢、障害などに関わらず、人の尊厳を保 障する社会を作るために努力していきたいと考えます。