妖神学園

 パチパチパチとキーボードを打つ音が部屋に響いている。キーを打つ指の動きは、停滞することなく流れるように動いて、まったく無駄がない。
 コンピューターを操作し、入力をしているのは、セーラー服に白衣を引っ掛けた少女だった。眼鏡の奥の瞳には聡明な輝きがあった。少女の名は二階堂ひとみ。聖マリア学園の物理部部長だった。
 ひとみは学園でも一番を争う、秀才だった。校内テストでも何度も一番をとっている。そのために、物理の教師に認められ、今日も研究を手伝わされたりしている。
 ひとみは女子高生にしては珍しく、あまりファッションとか化粧とかに興味を持たなかったが、決してブスだとか、そういうわけではない。それどころか派手ではないが、大人しい美人の部類だった。ちょっと不格好な眼鏡を外して、コンタクトにすれば、街を歩いていたらナンパで声をかけてくる男たちもたくさん出てくるだろう。自分の美しさに気付いていないのは、本人だったのだ。
 地味な印象のためか、校内の他の美少女のように男子生徒からラブレターをもらったりといったようなことはなかった。しかし、多くの男子生徒が見逃しているが、ひとみのセーラー服で包まれたボディーはなかなかのものだった。ダイナマイトボディーとはいかないが、スレンダーでメリハリのついた体形をしていた。この点でも、本人が一番わかっていなかったが。
 すべての作業が終わったのか、ひとみは軽く息をついて、コンピューターにプリントの指示を出した。プリンタが音をたてて、紙を吐き出し始める。ひとみは椅子の背に寄り掛かり、大きく伸びをした。形のいい乳房のラインがセーラー服に浮かび上がる。
 窓の外を見ると、もう日はすっかりと暮れている。今日は土曜日だった。生徒たちは、午後は授業がないので、もうみんな家に帰っているだろう。ひとみは物理教師の今藤により、レポートを手伝ってもらうよう頼まれて残っていたのだ。同級生の女の子は今ごろ、ボーイフレンドとデートでもしていたりするのだろうか。ひとみは今まで男の子と付き合ったことがなかった。男の子から誘われることもなかったし、自分からアタックするほどの積極性もひとみにはなかった。
 気が付くと、プリンターはすべて印刷をし終わっていた。ひとみは立ち上がって、印刷された紙をとり、今藤の居室に向った。

 「ありがとう、ひとみくん。ごくろうさま。」
 受け取ったプリント用紙に目を通しながら、今藤は言った。