妖神学園

 「ああ、もうやんなっちゃう。」
 ぼやきながら、少女は地下への階段を下りていた。持っている懐中電灯で古びた階段を照らし、慎重な足取りで一歩一歩下りていく。
 夕方からの突然の雷雨で、さっきから学園は全館停電になってしまったのだ。暗闇の中、懐中電灯の描く光りの円だけが頼りだった。
 少女の名は一ノ宮静といった。この聖マリア学園の生徒会長だった。非常に聡明そうな顔立ちで、いつも人に好かれるような優しい笑顔を浮かべていた。人の世話見も良く、そのために生徒会長などに引っ張り出されたりしているわけだが。
 髪は肩ぐらいまでのストレートロングで、日本人らしい漆黒の色が印象的だった。背は170センチくらいと高めで、そしてスタイルはモデルのようなメリハリのとれた体形をしていた。胸はセーラー服の上からでも、その二つの大きな肉球の存在を主張して、スカートから伸びる脚も思わず頬擦りしたくなるような曲線美を誇っていた。事実、街では何回も芸能界へスカウトされたこともあったし、学園でも男子生徒の間では生写真が出回っているという。
 今日は放課後、生徒会の仕事に追われ、気付くともう夜になったいた。あとは今日中に地下の倉庫から、昔の資料を持ってこなければならなかった。この時間だと、学園には誰も生徒が残っていないだろう。静は人気のなくなった学園の中を地下の倉庫に向っていった。おまけに停電ときている。ぼやきたくなるのも無理はなかった。
 やっと地下のフロアに下りた。滅多に人が訪れることがない地下だったが、こんな日はいつもより一層気味が悪かった。早く用事を済まして帰りたかった。
 地下室は粘度を感じるようなねっとりとした闇に被われていた。声も遠くまで届かないような。静はゆっくりと倉庫を目指して歩みを進めていった。
 懐中電灯の光が「倉庫」と書かれたプレートを照らし出した。静はそのドアのノブを掴み、開けようとしたとき、地下の奥の方で微かな光が見えるのに気付いた。開いたドアのすき間から光が漏れている。誰かいるのだろうか。静はその光に向って、ゆっくりと近づいていった。
 光が漏れているドアの前にたどり着いた。そこはいつもは「開かずの扉」と生徒の間で言われている鍵が閉まっている部屋だった。誰もここに何があるのか知らない。静は好奇心に駆られ、中を覗いてみたくなった。しかし、何か予感めいたものもあった。ここを覗いたら、自分の運命も変わってしまうような予感が・・・。