准看護婦問題調査検討会
95(H07)年10月
1.趣旨
准看護婦に関する諸問題については、かねてより種々論議されてきたところであり、昨年12月にまとめられた少子・高齢社会看護問題検討会の報告書においても准看護婦養成のあり方等について、「准看護婦問題については、各方面において永年論議されてきたところであるが、本検討会においては、その養成を停止すべきという意見と制度の改善を図りつつ継続すべきとの意見があった。この問題については、現在准看護婦免許を有する者の将来や今後の看護職員全体の需給状況等を勘案しながら、准看護婦学校養成所等の実態の全体的把握を行い、関係者や有識者、国民の参加を得て速やかに検討し結論を得るべきである。」と提言されたところである。
そこで、こうした提言を踏まえ、今回、健康政策局長が各界の方々のご参集を願い「准看護婦問題調査検討会」を設け、准看護婦養成のあり方等についてその実態を調査検討するものである。
2.検討内容等
(1)准看護婦養成等の実態調査項目の検討
(2)実態調査の実施及び調査結果のとりまとめ
(3)実態調査結果に基づく諸問題の検討
3.検討スケジュール
平成7年10月4日 (水)に第1回の検討会を開催し、本年度内を目途に実態調査結果をとりまとめ、以後、実態調査結果に基づく諸問題の検討を行う。
(参考)
第1回 日 時 平成7年10月4日 (水)15時〜17時
場 所 中央合同庁舎5号館 (厚生省) 共用第9会議室(26F)
4.事務局
事務局は厚生省健康政策局看護課に置く。
5.検討会メンバー (五十音順、敬称略)
今 田 拓 (日本医師会 常任理事)
金 上 幸 夫 (弘前市医師会附属准看護学院 学院長)
神 尾 友 和 (日本医療法人協会 会長)
河 崎 茂 (日本精神病院協会 会長)
清 川 美 和 (全国准看護婦学校教育協議会 会長)
工 藤 敦 夫 (地域振興整備公団 総裁)
佐 川 英 美 (日本労働組合総連合会 生活福祉局次長)
佐 藤 仁 作 (全国看護高等学校長協会 理事長)
下 村 健 (健康保険組合連合会 副会長)
高 木 安 雄 (社会保障研究所 調査部長)
高 梨 昇 三 (日本経営者団体連盟 環境社会部長)
竹 中 浩 治 (厚生年金事業振興団 常務理事)
中 島 幸 江 (全国准看護婦・士看護研究会 会長)
似田貝 香 門 (東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
羽 田 澄 子 (記録映画作家)
秀 嶋 宏 (全日本病院協会 会長)
水 巻 中 正 (読売新聞社 解説部次長)
南 裕 子 (日本看護協会 副会長)
望 月 哲太郎 (つくば国際大学 学長)
諸 橋 芳 夫 (日本病院会 会長)
准看護婦問題調査検討会報告
1996.12.20
1. 准看護婦問題を考える背景
○戦後、急激に病院が増設され看護婦の需要が極めて大きくなったが、当時の女子の高校進学率が37%の状況の中では、高校卒業を資格要件とする看護婦を十分に確保することは難しい状況であった。准看護婦制度は、このような時代背景の中で、中学校卒業を資格要件とし、看護婦を補助するものとして,1951(S26)年に創設された。
○1951(S26)年に、中学校を卒業し、准看護婦養成所の門をくぐった第一期生約400名の人たちは、来年には60歳を迎えようとしている。この人たちに続いて、准看護婦免許を手にした人は、これまでに約100万人にのぼる。現在でも約40万人の准看護婦・士が医療や福祉の現場で活躍している。これらの准看護婦・士の活躍が、看護婦不足を補い、地域医療の向上に大きな役割を果たしてきたことを評価する。また、これら准看護婦・士の養成は長年に渡る多くの方々の努力によっても支えられてきたものであることを忘れてはならない。
○准看護婦制度は、創設後10年余を経過した頃より、そのあり方について再検討が必要との声が出始め、以後、准看護婦制度やその養成をめぐる議論が繰り返されてきた。
1982(S62)年の看護制度検討会では、准看護婦制度の存廃問題についての意見の一致は見るに至らず、1994(H06)年の少子・高齢社会看護問題検討会報告では、准看護婦養成のあり方について、「准看護婦の養成を停止すべき」という意見と、「制度の改善を図りつつ継続すべき」という意見の両論併記となるとともに、「現在准看護婦免許を有する者の将来や今後の看護職員全体の需給状況等を勘案しながら、准看護婦学校養成所等の実態の全体的把握を行い、関係者や有識者、国民の参加を得て速やかに検討し、結論を得るべきである。」と提言された。また、この問題の当事者である准看護婦・士からも准看護婦養成のあり方をめぐる議論に結論を見い出して欲しいという声があがっている。
○このような経過を踏まえ、95(H07)年10月に設けられた本検討会は、准看護婦養成所等の客観的な実態把握とそれに基づく検討を行い、准看護婦の養成のあり方等をめぐる長年の議論に終止符を打つことを目的としたものである。
○本検討会の設置目的の一つである実態調査については、調査対象、調査方法、質問内容について本検討会で慎重に検討を重ねた上で、本年2月に実施した。
6,000名近い対象者に調査を行い、その有効回答率が86%に達したという事実からも、この問題に対する調査対象者の関心の高さがうかがわれる。
また、この調査では3割を超える調査対象者が、自由記入欄への記入を行っており、准看護婦問題に寄せる関係者の生の声として、検討を進める際の貴重な資料となった。
ここに、この調査に御協力いただいた多くの方々に本検討会として、お礼と感謝を申し上げたい。
○本検討会は、設置以来、具体的な実態調査の実施の詳細について検討を行った5回の小委員会の開催を含めて、16回開催され、准看護婦養成をめぐる精力的な検討が進められてきた。
現在、我が国の高校進学率は96・8%に達し(女子は97・7%)、准看護婦制度が創設された時と状況は一変している。将来的には、看護職員の需給状況にも余裕が生じることが予測され、少子化・高学歴化の傾向も顕著な中で、今後の准看護婦養成の在り方について、決断を下すべき時を迎えている。
2. 准看護婦問題調査結果の概要とその考察
○准看護婦問題調査結果の概要は、この報告書の資料として付したとおりであるが、その中の主な論点を取り上げてみると、次のとおりである。
○准看護婦養成所生徒が准看護婦養成所を志望した理由では、「働きながらでないと進学できなかったから」と答えた者が3分の1あったが、この「働きながら学ぷ」ことの意味合いは、以前の准看護婦養成所生徒とはかなり異なっており、大学生等のアルバイトの傾向と同一機軸にあるものである。
また、准看護婦養成所の選択理由として「看護婦養成所の受験に失敗したから」、「看護婦養成所より受験が楽だから」と看護婦養成所の受験上の困難をあげている者が准看護婦養成所生徒の3分の1以上であった。
「准看護婦養成所が第一志望だった」と答えた者が6割を超えている。他方、8割を超える准看護婦養成所生徒が将来看護婦資格を取得することを希望していることと照らし合わせると、准看護婦養成所への入学は、准看護婦・士になることを目標とするよりも、看護婦・士になるための道の一つの過程となっている。
なお、少なからぬ者が、看護婦養成所との違いを知らずに准看護婦養成所に入所しており、このことは、現行の看護職員の養成の仕組みが国民にわかりにくいことを意味し、また、適切な進路指導の必要性を物語っている。
○准看護婦養成教育の内容については、病院関係者、養成所教員、准看護婦・士自身は不十分と考え、診療所の長は総じて十分と考えている。しかし、診療所においても、かかりつけ医機能をさらに充実し、在宅ケアの中核的な役割を果たしていくには、診療所で働く看護職員の資質の向上が不可欠である。
○准看護婦養成所の入学に際し、生徒が医療機関で働くことが原則となっている養成所は全体の3分の2を占めている。生徒は就労と学習との二重生活のため、過労や自由時間の不足などの訴えが多く、学習に集中できない様子がうかがわれる。教育の効果を上げるためにも、生徒が学習に専念できる環境整備に努め、就労を望まない生徒にまで医療機関への勤務を義務付けることは適切ではない。また、准看護婦養成所の入学条件として、特定の医療機関勤務を求めていることは、実質的に1年を超える雇用の強制となりかねず、労働基準法上問題となるおそれがあり直ちに改善すべきである。
○医療機関に勤務している准看護婦養成所生徒の勤務時間は、養成所の平均的な授業時間である週20時間以上の者が86%、そのうち、週40時間以上の者も17%(うち週50時間以上は4・2%)に上っている。また、
給与は月8万円未満が31%あり、時給でも600円未満が18%あるなど労働基準法や最低賃金法に抵触する状況も示峻される結果であった。准看護婦養成所生徒の中には夜勤や宿直を行っている者もおり、看護婦・士や准看護婦・士のいない中で夜勤を行うという状況もみられた。
○准看護婦養成所生徒が医療機関での勤務中に行っている業務の中には、血圧測定、浣腸、採血、注射、導尿、点滴などがあり、看護婦・士等の資格を持たない者が行った場合には保健婦助産婦看護婦法に違反すると考えられるものが含まれていた。
これらは即刻なくすように指導すべきであり、准看護婦養成所生徒の雇用主、管理者等の職能意識や管理能力の向上・改善を図るべきであると考えられた。
○准看護婦養成所生徒の4割を超える者が勤務先の医療機関から奨学金を受けている。全体の17%の者は、奨学金の受け取りが義務付けられている。また、奨学金の返済条件等の説明を受けなかったり、説明が不十分な実態も明らかとなった。こうした状態が返済にまつわるトラブルを生んでいると考えられる。
奨学金制度は生徒への経済的な支援として重要なものであることは論を待たないが、これは強制されるものではなく、返済条件等についても十分な説明がなされなけれぱならない。また、生徒が勤務する医療機関からの奨学金の貸与は、雇用契約と混同しやすいため、雇用契約と奨学金契約とを明確に分離する必要がある。
○准看護婦養成所生徒の56%は、将来の勤務先として一般病院及ぴ大学病院を希望している。しかし、病院の長及ぴ看護管理者は、将来の看護職員の採用方針として6割を超える者が看護婦・士を中心とした採用を考えている。その理由は「准看護婦では現在の医療や看護に対応できない」と考えている。一方、診療所の長は「准看護婦であっても十分業務に対応可能」として、35%が准看護婦・士の採用を中心に考えているが、「当面採用予定なし」も33%を占めている。このような生徒の勤務の希望と病院や診療所の採用希望とのミスマッチは、今後の准看護婦・士の就業先を狭めていく可能性が大きい。
○准看護婦養成所の運営上の問題点として、養成所の長は、現時点よりも将来において、「入学志願者の減少」と「生徒の就職困難」が問題になると考えており、18歳人口の減少と高学歴志向等への危機感がうかがわれる。また、准看護婦養成所の長の3分の2は、現状のままあるいは看護婦2年課程養成所を併設して准看護婦養成所を継続することを希望しているが、看護婦養成所への転換や廃止を考えている養成所の長は2割であった。
○この調査の自由記入欄への記入は、全体では非常に膨大なものであり、数値的な意義付けをもつ調査結果と相まって、貴重な検討資料であった。これを大きく概括してみると次のようであった。
・准看護婦養成の問題が人材不足問題として現れているが、これは単なる量的な問題ではなく、質的な問題を含んでいる。
・准看護婦・士は外見的には看護婦・士と同じ仕事を行っていても、待遇における格差により、無用の差別意識につながったり、准看護婦・士のプライドが傷つけられるという状況が医療現場で生じている。人材不足の根元の問題は、准看護婦・士の意欲を低下させかねない職場環境が見られることである。
・准看護婦養成所が教育機関として十分かどうかという問題がある。教育内容、就労原則、奨学金返済問題等の教育環境があり、これが看護職についている者の強い廃止論の根拠になっている。しかし、それ以上に、専門職にふさわしい教育とは言いがたい教育の在り方が見られたり、看護に関する職能意識の形成にとって好ましくない生徒の扱いがあったり、プライドを持って仕事をすることが難しい資格制度の現状があることが根本的に問われている。
3.准看護婦養成所の運営について直ちに改善が必要な事項
○准看護婦問題調査結果を踏まえると、准看護婦養成に付随する問題点の少なからぬものが、准看護婦養成所生徒が働くことを条件とされ、学んでいる実態に起因しているように思われる。
看護職員は、人の生命や健康に直接関わる業務を担うものであり、その養成の過程は、本来、しっかりと看護の知識や技術を身につける教育の過程として位置付けられるべきものである。
しかしながら、調査結果をみると、准看護婦養成所での就学と医療機関での勤務の両立に悩む生徒の姿が浮き彫りにされている。
○このような観点から、医療機関での勤務を准看護婦養成所への入学の条件とすることは、就労を望まない生徒にまで勤務を強いることになり、教育機関としては適切ではなく、また、ケースによっては労働法規に抵触する恐れもある。したがって、医療機関での勤務を義務づけることを直ちに禁止するための法令上の整備が講じられるべきである。
○また、医療機関が生徒に奨学金を貸与する場合には、純粋に経済的支援のためのものであるべきであり、将来の雇用の拘束につながるものであってはならない。このため、医療機関において、次のような取り組みがなされるべきである。
・奨学金の受給を准看護婦養成所生徒に義務付けることは、将来の勤務の拘束につながる恐れがあるので行わないこととし、奨学金の受給は生徒の自由な選択に委ねること。
・奨学金の受給者に未成年者が多いことに鑑み、奨学金契約の内容については望ましい標準様式を定め、生徒、保護者に対し、文書により十分な説明を行うとともに、第三者である学校教師等が契約書に副署する等、生徒の契約に参画する措置を講ずること。
・雇用契約は奨学金貸与契約と峻別すること。なお当然のことながら労働法規に適合したものとすること。
・奨学金の返還については、公的な奨学金と同様に違約金や損害賠償的な意味合いを持ってはならず、返還額は貸与額を基本としたものとすること。
○さらに、准看護婦養成所生徒が、看護補助者として医療機関で勤務している場合に、看護婦・士等の資格がなけれぱ行ってはならない行為を業務として行っている点については、論をまつまでもなく、資格制度の根幹にかかわる大きな間題である。この問題については、厚生省及ぴ関係団体からそれぞれ既に指導が行われているところであるが、医療監視等の機会に、無資格者による医療行為が行われないよう、引き続き、指導・監督を徹底していくべきである。
○准看護婦養成所生徒のうち、中学校又は高等学校において「准看護婦養成所に関する進路指導を受けた」としている者は約3割にとどまっており、また、進路指導を受けたとする生徒でも、看護婦・士と准看護婦・士の違いについて指導を受け、受験前に十分認識していたとする者は約半数にすぎなかった。
今後は、厚生省と文部省の連携を図りながら、進路指導用パンフレットの作成や進路相談窓口の開設等の事業に取り組むとともに、生徒や進路指導担当者に対する効果ある進路指導説明会を行うなど、看護に関する情報提供を積極的に行う必要がある。
4.21世紀に向けた准看護婦養成のあり方
○昭和26年の准看護婦制度創設当初は、この制度は、家庭の事情で高校に進学できないが、何とか働きながらでも学んで資格を身につけたいという向学心に燃えた人材の受け皿となり、それにより医療現場の充実が図られるというように有効に機能してきた。しかし、准看護婦養成をめぐる現状は、調査結果にも明確なように、制度創設当初の状況とは異なってきている。
○この間に、医療技術はめざましい発展を遂げ、医療提供体制も質量両面から充実向上が図られてきた。さらに21世紀に向けて、医療、福祉サービスの提供体制は大きく変革の時期を迎えており、これに伴い、看護の質の向上も課題となってきている。在宅看護の推進は、より自立的な判断のできる看護婦・士を必要とし、病院においても、速やかな家庭・社会復帰を実現するための患者への働きかけや他の医療従事者等と連携しリ一ダーシップを発揮できる看護婦・士が必要となってきている。
○このような状況を踏まえた上で、准看護婦養成所の将来を展望してみたい。
我が国の18歳人口は平成3年をピークに激減を続け、本年から平成20年までの12年間で、170万人から120万人に約3割減少する。今後の経済見通しや産業構造の将来を予測することは困難ではあるが、このような少子化傾向が強まる中で、高等教育を志向する傾向も併せて考慮すると、准看護婦養成を継続してもその志願者が減少を続けることはほぼ確実であると言えよう。また、21世紀初頭の看護職員の需給の見通しでは、最近の看護大学、看護短期大学、及び看護婦養成所の定員の伸長や育児休業制度や院内保育事業の充実等による看護職員の離職率の低下により、今後の介護ニ一ズの増大や看護職員の勤務条件の改善を見込んでも、看護職員全体の供給数が需要数をかなり上回ると見込まれる。このことは、調査結果において医療機関が准看護婦・士を採用する理由の一つとして看護婦・士の採用が難しいことが挙げていることを踏まえると、准看護婦・士の資格を取得しても地域によっては就職が困難となるおそれがあることを意味している。
診療所を中心に准看護婦・士雇用の二一ズがあることも、調査結果からうかがえるが、診療所にかかりつけ医機能の第一線機関としての役割が期待される21世紀初頭の医療提供体制を考えるとき、診療所で働く看護職員の業務も自ずと変わってくるものと思われる。
このように見てみると、調査結果において、准看護婦養成所の長は、現在に比べ将来においてより大きな問題となる事項として「入学志願者の減少」と「生徒の就職困難」を予測しているが、このことが、近い将来に現実のものとなる可能性は極めて高いと言わざるを得ない。
○このような展望を踏まえると、これまで地域医療の向上に大きく貢献してきている准看護婦養成所は、このままではいずれ入所志願者の減少により運営自体が成り立たなくなる可能性が高く、今の段階で、21世紀を担う若者たちにとって魅カある看護職員の養成課程に変革をしていく必要がある。
○この観点から、大きく2つの解決の道が議論されてきた。一つは、准看護婦養成の内容を改善して継続していく道であり、他方は、准看護婦の養成に終止符を打つという道である。
○このうち、准看護婦の養成の改善の方策として、准看護婦養成所の入所要件を高校卒業資格に改め、カリキュラム内容を充実し、国家資格化するという案について、具体的な議論を行った。これについて、現行の看護婦の養成課程の内容と比較すると、カリキュラム時間数を除いて、両者は一致している。
現行の准看護婦養成所のカリキュラム時間数は、規則の上では1,500時間以上であるが、実際の養成所では平均1,600時間を超えており、また1,700時間を超えている養成所も2割程度ある。他方看護婦養成課程においては、来年4月から、単位制が導入され、93単位(標準2、895時間相当)以上を履修することになっている。
これによれぱ、カリキュラムの1,000時間程度の差のみで、指示をする立場の看護婦・士とその指示を受ける立場の准看護婦・士という二つの資格制度が温存されることになり、二つの資格に起因する種々の格差が准看護婦・士の差別感につながり、准看護婦・士が自らの業務に自信と誇りを持って取り組むことができないという問題は解決されないまま残ってしまう。
○一方、調査結果においても、多くの准看護婦養成所の長が、現状のカリキュラム時間数では不十分と認識していることを踏まえると、この時間の拡充や教育内容の改善の度合いによっては、准看護婦養成課程は、限りなく看護婦養成課程に近づくことになる。本来、手法としては全く異なる准看護婦養成の「改善継続」と「停止」という2つの選択肢は、本検討会で具体的に議論を進めていくうちに、その隔たりは小さいという指摘もされている。
○したがって、本検討会としては、この問題の解決の道として、関係者の努カにより、現行の准看護婦養成課程の内容を看護婦養成課程の内容に達するまでに改善し、21世紀初頭の早い段階を目途に、看護婦養成制度の統合に努めることを提言する。
○ このために、国において広く関係者と十分な協議を重ねながら具体的な検討を行うべきである。
これまで、看護職員の養成の多くを民間が担ってきていることに鑑み、国は、今後の看護職員の養成にあたって、引き続き財政支援を行うべきである。また、准看護婦養成所の改革等にあたっての財政支援等を検討すべきである。また、地域医療の現場に混乱を生じさせないようにすることが不可欠であり、国において医療機関に看護職員を提供できる体制の整備に努めるべきである。
○また、現在約40万人の准看護婦・士が就業しており、今回の調査結果においても、これらの准看護婦・士は看護婦・士への道の拡大を切望していることがうかがわれる。
このことを踏まえ、准看護婦・士から看護婦・士になるための現行の養成課程を見直し、准看護婦・士としての勤務年数を考慮して実習時間を免除したり、衛星放送等を活用して働きながら学習することのできる自宅学習プログラムを組み込む等、教育のレベルを確保しながら、准看護婦・士資格を有する者が看護婦・士の資格を取得するための方策を検討すべきである。
○なお、高等学校衛生看護科については、この報告に沿って、詳細について別途検討がなされるべきである。
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