一光 輝瑛
「うわああぁぁぁ」
「!」
黄金の剣から,真っ白な光がほとばしり,すべてを無色に変えた。
「何!…」
「何を…」
グワワワァァァ
《テリウス,きさまやはり》
《立山ぁあ》
《これで,世界は…》
『うわぁぁぁ,あぁぁぁ』
《図ったな…》
《運命は繰り返すか…》
《愚かな,愚かだな》
『うわあぁぁぁ,ぎゃあぁぁぁぁ』
《立山…》
《…テリウス,お前はなぜ…》
《欺瞞だ,すべて…》
《何を求める,何を…》
《立山…》
『あぁぁぁあぁ』
一面のホワイトアウト。が,確かに光は回転していた。秩序無く,狂い死ぬかの様に。
光,その上に光…
「はぁ,はぁ,はぁ,ふぅ,はぁ」
「よくやったよ,テリウス」
「図ったな,ニムル」
「おや,人聞きの悪い。すべてテリウスの仕業ですよ」
「…」
「きさま,この世界を」
「どうだっていいでしょう。選択はなされた。この男の手でね」
「この世界は…」
「…」
「さあ,われらは再生する。イリーザ様とともに」
「虚偽だ,その先に何もありはしない」
「さあ,どうだろうな」
「…」
「しかし,選択はなされた」
「…」
「イリーザ様は,われらの元へ」
「そう,あるべき世界へ」
「そう,われらはあるべき姿へ」
「欺瞞だ,偽善だ…」
「あなたもそれを望んでいる」
「違う!」
「…」
「選択はなされた,さあ,われらの世界へ」
「……」
白い世界,そして,無色の撹乱が過ぎ,ようやくやさしい陽がやってきた。
「ここは…」
「」
「誰も,いない…」
「」
「!」
はるか遠く,どこか見覚えのある街が見える。が,そこまではすべて白い砂の大地。
「これが,あの街,その姿…」
「」
白い砂の中,立山が一人。疑問に応える者はない…
立山に,しばしの平穏が戻った。が,街はすでに無く,友人達もすべて消えた。
「…」
さらさらとした砂の感覚。破局した大地が,はるか遠くまで続いていた。
「はぁ,はぁ,はぁ」
息だけが続く世界。そして,太陽は西に傾く。
「ごくろうだったな,テリウス」
「!」
ビュゥッ
風,風のような来訪。
「くぅっ!」
立山は,とっさに身構える。そう,彼が体で覚えている,負の襲来であった。
目の前に,黒衣の集団。中心の男,深いフードの奥で,赤い目が光る。
「さすがだな。あれだけの破壊をもたらすとは,さすがに強大な力を持つだけのことはある」
「…何のまねだ」
「ふっ,時にはお前と話すのも一興だと思ったまでだ。なにせ,最大の功労者だからな」
「何ぃ」
「はは,そうだろう。破壊により座標軸をねじ曲げ,さらに襲来を容易にしてくれた。
邪魔なイリーザをはじき出し,その防御の要すら放棄してくれた。そのお前のことだ」
「…」
「相変わらず愚かだな。異世界でも,テリウスはテリウスだったようだ」
「畜生!」
立山は,右手に黄金の剣を出現させる。光の宿る棒は,常に持っていたのだ。
「その力が使いこなせるかな」
「…!」
「お前が一番良くわかっているはずだ。自分に何ができ,何ができないかをな」
「うるさい!」
立山は,極大まで伸ばした光の剣を,渾身の力で振り下ろす。
たちまち,数人の黒衣がこなごなに引き裂かれるが,中心の男はうまく避ける。
「相変わらず荒々しいな。が,こちらも遊びに来たわけじゃないんだ」
「何」
「われらの望みは,この世界の掌握。そのためには,まずお前の死だ!」
黒衣の首領は,右の手を大きく振り上げる。
「出でよ,白銀の騎士よ!」
ビュゥッ
「あっ!」
立山は思わず飛びのく。が,気配は後ろにも。右,左,あわせて4体。
「これは…」
美しい,そこまでの描写がふさわしかった。全身銀色の鎧に包まれ,
同じく銀色の長剣を上段に構えたその姿。
「う…」
「今度こそ,お遊びは終わりだ。われらの誇る精鋭,白銀の騎士だ」
「!」
立山も,黄金の剣を上段に構えなおす。光はさらに強さを増す。
「これがお前の死だ!,かかれ!!」
「ガレア様,救いますか」
「いや…」
「しかし」
「…まさか,白銀の騎士が生き残っていたとはな」
「あの戦いで全滅したのは」
「生き残りがいたか,再生したか…」
「テリウス様の力があれば…」
「いや,無理だ」
「…」
「少なくとも,今のテリウスでは無理だ」
「世界の終焉,ですか…」
「そうだろうな,セータ。我々は,ここで見ておくことしかできない…」
「どりゃあぁぁぁぁ!」
黄金の剣が振り下ろされる。が,銀の長剣がそれを受ける。
バチバチィッ
はじけとぶ稲妻。
「うっ」
立山は苦悶に顔を染める。だが,銀色の剣は,容赦なく振り下ろされる。
バチィッ
火花,そして血しぶきが飛ぶ。
「無駄だ。今のお前では,白銀の騎士には勝てぬ」
「畜生ぉ」
「さあ,あきらめて死ぬのだ!」
ガガァッ
四方から振り下ろされる銀色。とっさによけた立山,しかし,さらに赤いしぶき。
「!…」
「最後まで見苦しい男だ。もはやお前に生き残る道は無い。死ぬのだ!」
《テリウス,あなたの力はイリーザに引き出されているにすぎないのです》
《テリウス,…》
バチバチィッ
「お前など,恐れるに足りない。この世界はわれらのものだ」
「ぐわぁっ」
ほとばしる血しぶき。
ガクゥッ
膝から落ちる立山。音をたてて崩れる何か。
「…」
「」
前方から,容赦ない白銀の騎士が迫る。が,立山はもはや立ち上がることもできず,
ただその姿を見ている。すばやく銀色の長剣を振りかざす敵。
だが,その動きももはやスローモーションに見える。
陽を受け,白く輝く鎧,そして,ほのかに返り散った彼自身の血潮。
「綺麗だ,本当に綺麗だ…」
以上
PN 一光輝瑛
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