一光 輝瑛
十二月五日 晴れ
目覚まし時計がけたたましく鳴って,ようやく目が覚めた。
いつもながら,三つの目覚し時計による波状攻撃は心臓に悪い。
だが,このくらいやらないと起きられないのも事実だ。
六時半,やはりいつもと同じ時間。ほっとした気分で寝床から出る。
寒い!さすがに師走ともなると,突き刺すような寒さが身を撃つ。
慌てて上着を羽織って立ち上がる。どうも,寝起きは苦手だ。昔から…
テレビでは,朝のニュース。見慣れた女子アナが今日も朝刊の内容を伝えている。
むしょうに化粧が厚く見えるのは,テレビカメラ越しのせいか。
まあ,そんなことはどうでもいい。
春から夏の,プロ野球が盛り上がる頃は,毎年必死に見るニュースだが,
この時期はどうでも良い。
いつも通り,妻が焼き立てのトーストを準備してくれる。
その他に,スクランブルエッグと,ソーセージと,ヨーグルト。
そして,インスタントではあるが,コーヒー。
この香りが朝の定番になったのは,いつの頃からなのだろうか。
軽くすすると,全身に暖かさが伝わってくる。ああ,ようやく,体が動き始める。
朝食の途中から,新聞を手に取る。大まかな内容はテレビが伝えてくれたが,
それでも活字は貴重だ。ぱらぱらとめくって,たいした内容が無いことを確認する。
ああ,このくらいの記事なら予測の範囲内だ。ただ,社説の見出しがちょっと刺激的だ。
続きは,行きのバスで確認しよう。
ああ,刺激的といえば,週刊誌の広告が妙に気になる。
帰りに立ち読みでチェックしておこう。
歯を磨く。この頃,無性に虫歯が気になる。
別に葉が痛いわけではないが,なぜか気になるのだ。
確か,次の歯科検診は春か。それまではしっかりと磨いておくことにしよう。
顔を洗う。三回洗う。朝食で温まった体が,一気に引き締まる。
これから,本当に一日が始まるのだ。時計を確認する,七時十分。いつも通りのペースだ。
髪の毛をセットする。今日の寝癖はちょっとたちが悪いか。
それでも,スタイリングフォームでうまくごまかす。そろそろ散髪しないとな…
ワイシャツに,スーツに,ネクタイ。いつものことながら,結構面倒だと思う。
でも,これをしているから,会社に行く気分になるのもまた事実だ。
二十五本のネクタイ(自慢の品揃え?)の中から,今日の気分と,
過去数日のローテーションを加味して,これぞという一本を引っ張り出す。
今日は,緑色のやつ。確か,八千円のネクタイを半額セールで買ったものだ。
さあ,七時半。テレビのスイッチを切って,いよいよ出勤だ。
妻が見送りに立っている。いつもながら,ほほえましい光景だと思う。
軽く手を振って,バス停に向け,歩く。
「あ!」
突然だった。前方の空が光って,信じられないようなことが起こった。
きらきら輝く,
UFOが出現したのだ!これほど驚いた事はない。
以上 PN 一光輝瑛
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