死刑について
一光 輝瑛
大学受験通信添削講座
“小論文”コース
12月の課題
問 死刑制度の是非について,簡潔に論じなさい。(800字程度)
解答欄
現在日本では死刑制度があり,実際に刑の
執行も行なわれている。しかし,私は死刑制
度については反対である。
なぜなら,人間というものが死というもの
をまだ理解していないし,今後とも理解でき
ないだろうと考えるからだ。
人は死んだらどうなるのだろうか。これに
ついては様々な意見があり,文献も出ている
が,結局はよくわかっていないというのが実
際のところだと思う。当然,一度死んでから
戻ってきた人はいないわけだから,どこまで
いっても,死んだときにその人がどうなるの
かという事は誰にもわからないのだ。
こう考えた場合,私は死をもって刑の執行
とする死刑制度について疑問を感じる。つま
り,死というものが,その刑の対象となる人
物に対してどのような効果を及ぼすか,よく
理解できていないにもかかわらず,それを公
の刑として実行してしまうわけだ。極端な話,
死というものが本人にとって罰に値するもの
であるのかどうかも,わからないのだ。実際,
人は死ぬことによって幸せになると説く宗教
家も存在しているし,自ら死を選ぶ人だって
いるのだ。私個人としては死を幸せなものだ
ととらえることは出来ないし,一般的にもそ
う考えられることが多いだろう。だが前述の
通り,明確な結論は出ていないのだ。このよ
うな“死”を,刑の方法として使用すること
には,私は強く反対する。
もちろん,その人物を死刑に処することに
よって,その人物が消え去るわけだから,社
会から見れば一人の人物が抹消されるという
効果が生じる。しかし,それはしょせん残さ
れた側の理屈であって,本来刑の対象である
はずのその人物に対して罰を与える,という
ことになっているかどうかはわからない。つ
まり,その他の懲役とか,禁固とかと異なり,
死刑は執行する側の自己満足を得るための刑
なのだ。このような刑罰の趣旨に反する死刑
の存在を,私は間違っていると感じる。
以上の様に,私は死刑制度には反対であり,
廃止すべきであると考える。
講評欄
今回は死刑制度についての短い設問でした。参考文献等が一切ついていなかったため,かなり
自由な議論が展開できる反面,展開の作り方は難しかったかもしれません。
さて,○○さんの論文ですが,設問の死刑という議題から,論が“死生感”に飛んでしまって
いて,かなりずれてしまったという印象を受けました。
このような議題の場合,死刑制度についてよく論じられる論法,たとえば反対の立場なら
人道的な見地とか,誤審の可能性などを論じて行くのが妥当であり,あまり議論が飛んでしまう
のは危険なことであると感じます。
今回の論文については低い評価しか出来ませんが,今後も引き続きがんばってください。
以上 PN 一光輝瑛
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