耳コピの部屋
私の趣味のひとつに、ピアノ曲の耳コピーがあります。きっかけは、数年前の知人からの依頼でした。
そのころコード表を見ながらギターコードをピアノコードに直して好きな曲に伴奏をつけて遊んでいた私を見て、
音楽仲間の知人がこう言ったのです。
「中村一義の『いつも二人で』もやってくれない?」
その知人は私に中村一義を紹介してくれた人で、それ以来私は中村くんの曲に頭までどっぷり浸かっていました。
知人のくれた中村くんのテープを聴く毎日。
もちろん伴奏をつけて遊んでいたのも中村くんの曲がほとんど。
だけど『いつも二人で』はまだ聴いたことのない曲でした。
何も考えずに「いいよ」と軽く返事した私に、知人はまずメールで『いつも二人で』の歌詞を送り、
それから私に曲の入ったテープを渡しました。
先に歌詞を読んだ私は、「ふんふん、今度はラブソングね。中村くんにしてはめずらしいな」
などと悠長に構えていたのですが、渡されたテープを聴いて固まりました。
「・・・全部ピアノじゃん!」
そう、『いつも二人で』はピアノ伴奏のみの曲だったのです。
つまり演奏はピアノがメイン。それを取ったらボーカルしか残らない。
私は困惑しました。
だって他の曲と違って適当に和音をつけてごまかすわけにはいかないからです。
要するに知人は「ピアノ伴奏をまるごと耳コピーしてね」という注文をしてきたわけです。
もちろん私は耳コピーなんてそれまで1度もやったことがありませんでした。
だけどできないと言ってしまうのはあまりにもくやしい。
「ううっ、上等じゃー!やってやろうやないかあ!!」
というわけで私の耳コピー初挑戦が始まったのでした。
はっきり言って何から手をつければいいのやらさっぱりわかりません。
とりあえず楽器店へ行って五線譜を買いました。
まず、ピアノで確認しながら主旋律を拾って、歌詞と一緒に譜面に書き込みました。それはわりとすぐ終わります。
問題は伴奏です。さらさらと流しただけじゃとても聴き取れやしない。どうしよう・・・。
ひらめきました!
テープからMDに録音しなおして、トラック分けを行ったのです。だいたい4拍で1トラック。
それが終わったらポータブルのMDプレーヤを使って、1トラックずつのリピートをかけました。
これなら、ピアノに向かったままで何度でも何度でも同じフレーズを耳元で繰り返して聴けます。
聴きながら同時にピアノで音を確認することも出来ます。
この方法はかなり効果的でした。今でもよく使ってます。
何もかも初めてのことばかりでしたが、自分でも信じられないくらい夢中になって取り組みました。
眠るのも忘れて夜8時から夜中の2時までピアノの前に座り込み、聴いては書き、聴いては書き込む。
しまいには母親から「いい加減にしなさい」と怒鳴られる始末。
始める前は「いつできあがるかなあ」と思っていたのですが、予想に反して2日で出来てしまったのです。
これには自分でもびっくりしました。
ドキドキしながら知人のところへ持っていくと、すごく喜んでパソコンソフトを使って清書をさせてくれました。
完成したものを見て、「これは・・・人に配れるね」という話になり、中村くんのオフィシャルサイトで広告することに。
掲示板に
「『いつも二人で』の楽譜が出来ました。希望される方にはプレゼントしますので、まれすけまでメールください」
と書き込み。
翌日からメールがバンバン来て、うれしい悲鳴を上げました。プレゼントしたのはトータルで25人!
ものすごくうれしかったです。
その中の一人の方が、中村くんが大阪でやっていたFM802のラジオ番組の出待ちをしていて、
「今度楽譜を渡そうと思うのでまれすけさんの中村くんあての手紙を送ってもらえませんか?」
という話をしてくれました。
思いもかけない話に飛び上がって喜んだ私は、大急ぎで手紙の下書きを始めました。
なぜかと言うとその時中村くんがFM802でやっていたラジオ番組は次回が最終回で、
すぐに書き上げないと間に合わなかったのです。
私もちょうどその頃大学の夏休みを利用して毎日普通免許取得のために教習所に通っていて、
しかももうすぐ本免の試験が目の前に迫っていました。
結局、中村くんへの手紙は教習所で試験勉強の合間を縫って書き上げました。
出待ちによる手渡しは、ギリギリで間に合ったようです。その知らせを聞いて顔がゆるみまくる私。
一生の思い出です。
さて、耳コピーがすっかり面白くなった私は、それからも色々な曲を譜面に直して、弾いて遊ぶようになりました。
今では完全に趣味の一部です。
最近はどんな曲を聴いても、ピアノの部分だけを集中して聴くクセがついてしまいました。(笑)
次のページでは、これまでに譜面に直した曲の一覧を紹介しています。今後も増える予定です。
応援してください。
例の知人は、その後しばらくして身の回りの都合で連絡の取れない遠くへ行ってしまいました。
寂しくなりましたが、長く長く夢中になれる楽しみを見つけさせてくれたこと、今でもとても感謝しています。
師匠、今はどうしているのやら。(大槻ケンヂ風(笑)