たて君の長い一日



期待・・・喜び・・・そして悲しみ・・・そして・・・


新たなる戦いの予感!

すべての始まりも終わりもギャランである。
それは世の中の摂理。
そして、人類創世の頃からの理(ことわり)でもある事は皆さんご承知のことでしょう。
次に語られることに衝撃を覚える者もあるでしょうが、静かに聞いていただきたい。


その日。12月11日に納車されるべく全てのことは進んでいた。
そして、6時にその物は現れた。
「こ、これが99年型ギャランVR4・・・」

SHADOW

その美しいスタイル・・・
輝かしく、眩しいほどのホワイトパール。
スーパーの羽は間に合わなかったけど、それでもやはり衝撃であった。
「とうとう・・・1年間の計画の成就だ・・・」
そう。私はこの車を買うに当たって1年前から計画を立てていた。
踏ん切りが付いたのはスーパーVR4が出たときだけど。
今しかない・・・そう思ったのだ。
ディーラーには6月からすでに足を運んでいた。
細かい調整・・・そして営業との度重なる打ち合わせ・・・
見積もりを出したのも10回じゃ効かない。
ちなみに値引き交渉は一切してません。
そこが味噌なんだけど。
ラリーアートに行って色々調べたり、サービスの人に色々聞いたり・・・
その月日が今報われようとしていたのだ。
レカロのシートもなかなかよく、モモステアリングのグリップもよかった。

SHADOW

そんな時・・・よく見るとナンバーが付いてない。
「ナンバーが無いじゃん・・・」
そう聞くと、「今から付けるんだよ」と一言。
私は生まれてはじめて自分で封印する機会を得た。
なんかどきどきした。

SHADOW

そして・・・この時点で、私のギャランとなったのだ。

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8時・・・ディーラーを出る。
遅い時間の納車になった。
それでもこれから乗り続けるんだ・・・かまわない。
一先ずガソリンだな。
ガソリンスタンドへ足を向ける。
17号で軽くアクセルを踏み込むと・・・どうだろうこの加速。
スムーズで気持ち悪いぐらいだった。
足回りは想像以上で「ここで膨らむ・・・」と思う所がぜんぜん膨らまず、想像どおりのラインどりができた。
「すげ・・・これが新型か・・・」
この一言に尽きない。
12日はギャランのオーナー会・・・
みんな驚くかなぁ・・・
そんな思いを胸に・・・ひたすら走るつもりでいた。
車の一つ一つを確認するかのように動き、反応、視界性・・・
その全てを楽しみながら走らす。
まるで新車のインプレをする感じで。
もちろん安全運転だ。
珍しく法定速度守っちゃったりして。
「あ、この瞬間がギャランだね☆」
幸せであった・・・

11時前後・・・
そして・・・事件は起こった。
それは大きな交差点。
高速道路下である。
国道298号を真っ直ぐ川越方面に行くと、さきたま大橋と言う荒川を越える橋がある。
その和光側・・・
私は川越方面から来ていた。
本当はそのまま真っ直ぐ行くつもりだった。
しかし、信号が変わって黄色になって私の前三台の車は停まってしまった。
右折信号が出るのは私も知っている。
方向的に友達の家があるので、右折した方が早い。
その交差点を右に行けば環8に出れるのを知っていたので、私は右折信号で右折したのだ。
その時である・・・
対向車線の車は信号を無視して私の車へ向かってきたのだ。
こちらもこのまま行くとまともにぶつかる・・・
運転席にもろに当たってしまう・・・ そう思いフルアクセル。しかし・・・
「ばかな!なんて速さで・・・」
と、言った瞬間・・・
ドーーーン!
まっすぐ・・・まるで親の敵を倒すようにギャランを吹っ飛ばしたのだ。
その瞬間のことは覚えていない。
後から信号まちでとまってた車の人から聞くと、私の車はぶつかった後回転しながら信号待ちでと待っていた先頭車の右サイドをすりながら止まったとのこと。
要するに三台の事故だったのだ。
相手は回避運動をしていなかったのだ。
橋から降りる方は視界もよく、右折車を確認することが出来るのだ。
しかし、橋の下にいる私からは直進してくる車は見えないのだ。
私の車のボディーはホワイトパール。
夜目立つようにと思ってこの色にしたのに・・・
本当はギャランは黒が似合うのだ。
なのに・・・
避けようとしないなんて・・・
ブレーキ操作も、ハンドル操作も・・・
橋を降りる所なのでかなりの急な坂道。
だけどもしもブレーキを踏んでいればかわせたのに・・・

「・・・なんで・・・ああ・・・俺の車・・・念願のギャラン・・・・・・」
車から出て・・・傷を見て・・・
泣いた・・・「すまない・・・ギャラン・・・」そう思いながら・・・

新車状態の全走行距離
56km


乗っていた時間
1時間20分ぐらい



破損状態は・・・それはすごすきた。
右リアタイヤは完全にハの字を切ってしまい、マルチリンクは破壊され、多分リアデフも死んでることだろう。

SHADOW 写真は翌日のもの


そして、信号待ちしていた車には左フロントをすってしまい、相手はかなりの傷が付いた。

SHADOW 写真は翌日のもの


「ここに置いておいても・・・邪魔だな・・・」
道端で立ち往生していた車は、完全に沈黙していた。
エンジンをかける・・・
駄目か!
と、そう思ったとき・・・息を浮き返したようにV6エンジンがふけあがる。
「よっしゃ」
そんな状態でも4駆のギャランは少しでも自走出来る所は、やっぱりさすがだろう。
WRCでよく片輪無しでも走ってるし・・・ やっぱり車は4WDだな・・・改めてそう思った。 それよりも何よりも・・・吹っ飛ばされたと言うのに、なんて剛性だ・・・
タイヤがまた新品でグリップしてなかったって言うのもまたよかったのかも・・・
吹っ飛んで衝撃を逃がすのもなんか恐いけど。
それに比べて相手の車はフロントぐしゃぐしゃ。
GOAじゃないのでかなりの速度で突っ込んできたと思われる。
でなければここまで潰れることは絶対にないのだ。


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写真は翌日のもの


反対に私の車がこれですんだって言うのが不思議なぐらいだ。 GDIだったならば間違いなくギャランに突き刺さっていた所だが、VR4はしっかりと相手を跳ね除けていた。
それに、シートのホールド性は抜群。
あの衝撃でも全然体が持っていかれることが無く、シートがしっかり事故から体を守ってくれた。

事故後・・・事情聴取で・・・
ぶつかった彼は私にそっと言った。
「嫌、こんな時になんだけど、車辞めようかどうしようか迷ってた時だから、いい機会になったよ。これは辞めろってことかな」
私は・・・悲しみの中に目覚めた怒りを押さえるのが大変だった・・・
相手の言い分では、橋の上で確認したときは青だったと言う。
事故った時の信号はよくわからない・・・そういう事だった。
しかも彼は地元だった。
警察官も言っていたが、降りてくるまで6.7秒係る。
それだけあれば信号は変わるよ・・・っと。
今思えばあの信号の右折信号はよく無視していく人が多かった・・・
しかし、なにも何故俺に当たる・・・
いつものように走っていれば当たらなかったのだが、新車でならしも必要だったのでゆっくり走っていたのだ。
そんな時に限ってこれだ。
そんなことを考えていたら・・・警官に事情を説明していたら・・・
今までの1年間がふと思い出されて・・・
くしゃくしゃに泣いてしまった・・・
まるで親に怒られて「ごめんなさーい!」と謝っているように・・・
我慢すればするほど涙が止まらなかった・・・
そんな時、なぜか友達から電話が来る。
事情を説明して迎えに来てもらった。

レッカーで運ばれていくギャラン・・・
納車後3時間・・・
乗っていた時間はそれよりも少ない・・・

私のギャランは・・・その新車暦の幕を下ろして・・・
事故車となった。


友達が迎えに来たのでそのまま帰路につく・・・
いつも色々二人で「ギャランーー!」と騒いでいる相方。
迎えの車もE39型ギャランだ。
「・・・大変だったね・・・」
「・・・・・・はは、無くなっちゃったよ・・・俺の車・・・」
力無く笑う私・・・
「右折信号で・・・曲がったら・・・向こうから車が来て・・・そして・・・そして・・・グゥッ・・・ウウ・・・」
そんな話を振り返って・・・また泣いてしまった。
車には友達しかいないし・・・思いっきり泣いた。
そしたらハンカチを貸してくれた。
あそこまで泣いたのは久しぶりだった。
それだけ私の悲しみは深かったのだ。
その後二人はファミレスに行ってお茶して帰ってきた。
行こうと言ったのは私。
何時までも泣いてばかりもいられない。
まだ私は蘇られる・・・
あのスーパーVR4の羽がある限り。

家に帰っても・・・なかなか寝付けなかった。
当然といえば当然だ。
家に帰ってきたのは2時ごろ。次の日・・・12日になっていた。
一先ずインターネットで欠席表明をする。
その時には結構落ち着いていた。
と言うか、今回の事故は怒りよりも先に悲しみが立ってしまい、事情聴取の時も、相手ともめる気さえ起きなかった。
あの時は私もかなりイッていたので、目の焦点が合ってなかった。
そんな訳で保険屋に言うだけ言って寝てしまった。
朝の5時頃までの記憶はあるので、その頃眠りに付いたと思う。


12日
不覚にも昼過ぎまで寝てしまった。
事故の後始末が残っているのに・・・
私は昨日納車したディーラーに足を向ける。
それほど遠くないとこにあったのですぐ着く。
私が椅子に座って担当の人を待ってると・・・
「立石さん・・・どうしたの?」
後ろから担当の人が来た。
どうやら私の顔色を見て、クレームだと思ったらしい。
「嫌・・・事故っちゃいました」
「・・・あ・・・ええ!!」
一瞬間を置いてから驚きの声。
そりゃそうだろう。
昨日2人して色々作業した車が、次の日に無くなってるんだから。
「嫌、いつもなら立石さんニコニコしてここに来るのに、今日はなんかくらーい顔してるからクレームだと思ってびくびくしちゃったよ・・・でもまさか事故とはねぇ・・・」
本当にまさかであった。


レッカーしてもらうつもりで来ていたのだが、出払っていた為、荷物だけとってきたいと言う私の要望に応えてくれて、旧ギャラン。
轟転号mrUの使用を許可された。
あれは昨日下取りに出したものだ。
5時には戻ると言うことなので、一先ず先を急ぐ。
牽引には私も立ち会いたかったのだ。
別に取りに行くのだから荷物を持ってくることもなかったのだけれど、じっとしていられなかったのだ。

使い慣れたシート・・・
見慣れたメーター。
そして使い込んだステアリング・・・
あの時のままだ。(当たり前だ)
エンジンをかけると、唸るように鼓動する4G63。
振動がシートを震わす・・・
「また・・・これに乗ってる・・・」
まるでしんじくんがエヴァに乗っているかのような言葉をつぶやく。
そして・・・一路レッカー先へと向かった。

場所は朝霞警察の側。
業者に許しをもらって駐車場へ行く。
それは・・・静かに止まっていた。
ぶつかって来た車と並んで。
複雑な気持ちだった。
なんで・・・こんなことになったんだろう・・・
やっぱり悲しかった・・・

一通り荷物をつんで、ディーラーへと戻る。
トラックはまだ来ていない。
ディーラーの中の一角のテレビが「オーフェン」を映し出していた。
思わず見てしまった。
終わってもまだ来ない。
まずい・・・時間が無い・・・
業者は5時で閉まってしまうのだ。
事情を説明して6時まで待ってもらった。
猶予は6時まで。
きびしい・・・
これを逃すと土日月の駐車代を取られる・・・
・・・とは言え結局6時半頃現場には着くこととなった。

トラックに積み込み・・・これがまた大変だった・・・
引っ張ってもなかなか動かない。
ドライブシャフトが曲がっているのか、リアが全ぜん動かないのだ。
仕方が無いのでまたエンジンをかける。
かろうじてフロントは生きているので、結局左サイドを引きずるようにトラックに乗っけてしまった・・・
「リアデフは・・・完全に死んでるな・・・」
乗せながらそう思った。

SHADOW

すでに辺りは真っ暗。
地元に帰って来て三菱の駐車場に下ろす。
その時がちょうど8時・・・
皮肉にも納車の時間だ。
11日の8時に受け取って・・・12日の8時にまた三菱へ渡した・・・
まるでレンタカーだ。

足がないと困るだろう・・・との事で、轟転号mrUはそのまま私の代車となった。
・・・名義は変わっていないので、まだ私の車だけど。
ま、ディーラーとしても利用価値が無いので後は潰すだけだったので、これでよかったのかもしれない。

こうして・・・長い・・・ながーい一日は幕を閉じた。

今はまだ眠れ・・・
何時の日か飛び立つまで・・・



SHADOW


体のあちこちが痛いが、こればっかりは仕方が無い。
致命傷がないのが救いともいえる・・・あと怪我人がいなかったことかな。

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