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 普通自動二輪免許取得記

   01.07.01記

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 今は昔、2000年5月16日のケダルイ午後のこと、郵便受けをフト覗いた私は、警察から一通の手紙が届いていることに気づいた。何事かと思いさっそく開けてみると、初心運転者講習会に出よととのお達しである。寝耳に水のことで、びっくりした。
 どうやら、前年の10月に原付免許を取ってからの違反点数が、許容範囲を超えたようなのだった。そういえばはじめの一年間に3点以上取ると講習、と聞いていたような...。しまった、すっかり、忘れていた。
 思えばこれまで二度、原付に乗っていて違反で捕まったことがある。一度は二段階右折をしようと思って左折の表示のでていた左はじの車線を直進してしまい、横断歩道を渡りきったところで捕まった。もう一度はスピード違反。でも、正直なところ原付の最高速30km/hなんて守っちゃいられない(守っていたら身の安全が守れない)ので、白バイに目をつけられたのを不運としか思えなかった。だからアマリ反省もなかったし(スミマセン、でも本当です)、どちらも罰金ちゃんと払ったし、もうナシになったと思ってたのに...ガッカリした。しかも講習料金が結構かかるらしい。
 もしも講習受けない場合は再試験で、それに落ちると免許取り消しらしいのだけど、もう警察に貢ぐのはマッピラなので、なんとか逃げ道をさがすことにした。
 原付を買って以来つきあいのあるバイク屋に行って、教習所を紹介してもらった。
 初心運転者講習は、該当免許より上位の免許を取得すれば帳消しになる、と通知に書いてあった。そこでこの機に中型免許を取ってやろうと決めたのだった。
 うまくいけば一ヶ月足らずで取れるらしい。
 バイク屋の口車に乗り、ジェベル200というオフロード車をすごく安くしてもらって買うことにもしてしまった。えらく安くなっていたので、たぶんこれはモデル・チェンジ前の型落ち品投げ売りなんだろうか。それでも次買うとしたらオフ車と前から決めていたし、足が短いから車高の低いジェベル200かセローにしよう、好みとしては丸目でよりゴツい印象のジェベルかな、と思っていたのでこの選択に悔いはなかった。金もないんだけど、何とかしよう。
 そのころ、オーストラリア等で使われているオフロード仕様の赤いカブ「CT110」(いわゆるハンターカブ)というのに魅せられていて、バイク屋でもそれを扱っているかどうか聞いてみたけれど、逆輸入車ということでかなり高くつくようで、しかも乗っている原付はリトルカブだし、CTはいささか趣味的か...と思って今回は見送ることにした。リトルカブを乗りつぶして買い換えることになったら、これにしよう。
 原付免許を取って半年、アッという間に原チャリ・ライダーを卒業することになった。まあ、いずれはこうなると思っていたけれど、意外と早く転機が訪れたという感じだ。
 きっかけをくれた警察に感謝!かな...。
 なんとなくウキウキした気分になってきた。

 --以下は当時の日記からの抜粋です。

 

5月17日

 昨日バイク屋で紹介された埼玉県保谷市の「レインボーモータースクール」に行って手続き。今日は手続きだけして帰った。

 

5月18日 第1段階 第1、第2時限

 今日から実際の教習に入る。
 午前中、入所説明会と適性検査を受けてから学科を1コマ。午後ずいぶん間を挟んで(マクドナルドで時間をつぶした)、4時から2コマ連続で技能だった。(以後学科教習は省略)
 最初は教習車のホンダ「CB400SuperFour」とご対面。バイクの取り回しについて説明を受け、実際にスタンドを外したりかけたり、横転させたバイクを立て直したり、押して歩いたり。
 力任せにやればなんてことはないが、それにしても実に重たいので驚いた。このバイクはいかにもバイクらしい普通のオンロード車で、水牛のような、ミジンコのような(?)でっぷりした体つきをしている。僕はこの種のバイクを見てもさして心を動かされないので、あんまり面白くもなかった。もともとデカいバイクは趣味じゃないのだ。細身ですっきりしたオフロード・バイクが好き。でも仕方ないか、たぶん免許取得後は当分オンロードのバイクに乗る機会もないだろうから、今のうちに見聞を広めておこう...と殊勝な心がけで、腰だけは傷めないよう気をつけようと心に誓う。
 2時限目はエンジンをかけて実際に乗ってみる。1時限目にも乗ったが、今度はギヤ・チェンジ付きの発進、走行、停止の練習。クラッチの操作は初めてだし、ギヤの入れ方が馴染んだカブと逆に、ペダルを跳ね上げねばならないので混乱して全然うまくいかない。出発時、アクセルの加減がうまくいかずに凶悪な空ぶかしの音を響かせてしまう。半クラッチも難しい。で、出発したらクラッチを切ってペダルを跳ね上げてギヤ・チェンジ...こんなにいっぱい一度にできん!!という感じ。まあじきにうまくいくようになるでしょう。とりあえず外周をぐるぐる回ってバイクに慣れるというところまでで終了。
 出来たという手応えが全然なく、いささか不安だ。クラッチとギヤの部分だけでももっと練習したい気がした。

 

5月23日 第3、第4時限

 間に四日を挟んでの教習。
 カブでイメージ・トレーニングをかさね、「停止直前にギヤを一速に戻して足つきは左足で」とかはまあ習慣的に出来るようになったが他は実際のところ心もとない。どだいカブではモノが違いすぎてたいした練習にはならんのであった。
 今回からは、はじめに全員で外周をぐるぐる回る準備運転にも参加する。これすなわち前回やった課題なわけで、こうして比較的気楽に練習できるのは有り難かった。
 周回を済ましたのち実際の教習に入る。今回は一本橋と、急制動。一本橋は幅30cm長さ15mの板状の部分を、ローギヤのままアクセル、クラッチ、ハンドルの操作等で出来るだけ長い時間をかけて渡るというもので、スリヌケの名手たる僕としては得意分野であった。はじめアクセルを開いて勢いをつけ、橋に渡ってしまったら半クラッチにしてバランスを取りながらタラタラ進めばいい。まったく問題ない。
 急制動もカブと同じ要領でやればいいので何ということはなかった。一本橋よりもまだこちらの方が楽だった。
 これをひたすらやり、第4時限からは坂道発進とスラロームも加わる。こちらはいささか難しくて、手の内に入った感じのないまま終了。

 

5月24日 第5時限

 前回と同じく、一本橋、急制動、坂道発進、スラロームの練習に明け暮れた。なんとなくまだパッとしない感触のまま、放任されてぐるぐる回って終わり。

 

5月25日 第6、第7時限

 第6時限は初のシミュレータ。
 話に聞いていたとおりゲームセンターに置いてあるようなキカイで、ずいぶん精巧なものだけど、やっぱり本物とはずいぶん違う。三人の教習生が交代で乗り、最初はサーキットのようなコースを5分間ぐるぐる、次は海沿いのワインディング・ロードをカーヴ一つ抜けるごとに10キロ速度を上げて走る練習、次は「限界速度で走る」ということで、出来る限りスピードをあげて走って事故る練習。
 どんなもんかと思っていたけど、実に退屈なものでありました。
 二人になっての続く第7時限は、やることは第5時限と同じく一本橋、急制動、坂道発進、スラロームなどだったけれど、「この時間はチェックさせてもらいます」との教官の言葉に動揺したか、シミュレータのあとで失敗癖がついてしまったものか、まったくガタガタで、いいところなく終わった。
 大得意の一本橋を、よりによって教官が脇で見ているところで二度連続失敗!! いままでは一度も失敗したことなかったのに...。しかしそんな言い訳が通用するはずもなく、けっこう厳しく注意を受けてヘコんだ。
 急制動の方は問題なし。ところがスラロームがまたダメで、あろうことか見事に転倒してしまった。一緒に受けていた水商売風の少し年のいった女性もコケていて、二人で一から指導を受ける。しかしこれが良くて、いままでなんとなくよく分からなかったスラロームのコツが、言語化されて分かった!という手応えが得られたのだから収穫だった。
 何本か一列に並んだパイロンを車体を傾け、蛇行して避けながら走るというものだが、途中で一瞬アクセルをふかして勢いをつけ、車体を浮かす。これをやるタイミングがどうもよく分からなかったのだけれど、ちょうどバイクが前のパイロンと次のパイロンとの中間にさしかかったところでほんの一瞬軽く加速する、ということだった。やってみるとまあ、なかなかいい感じで出来る。
 でも、この時間はクリアならず。次回も引き続き同じ課題を命じられる。

 

5月26日 第8、第9時限

 一夜あけた今日も教習生は二人、昨日と同じお水っぽい茶髪のオネエさんだ。一瞬イヤな予感が胸をよぎる。
 前回の補習の第8時限はしかしもうあまり問題なく、一周ごとにうまくなっていくのが感じられるのが楽しい。もちろん問題なくパス。
 続く第9時限はいよいよコース走行。はじめに教官が走るのを見学、次にあとについて走り、それから自分たちで...という順序。
 ここでのポイントは8の字とクランク(ジグザグの細道を直角に二度曲がる)で、こちらについてはスラロームと一本橋の応用編ということでさほど問題なかった。ところがどうも、コースの走り方がうまくなかったらしい。でもちょっと納得できなかったのは、はじめ「ウィンカーなどは第2段階できちんとやるから今はまだ、あまり気にしなくていいです」と言っていたはずの教官が、「ウィンカーの指示がうまくできてないし、ギコチないから、もう一回ね」と言って教習原簿を返してきたときには正直いって「このウソつきめ!」と詰め寄りたくなった。後味悪し。

 

5月28日 第10時限

 前回の補習。今日のことなんだが、前回よりはよほどうまく走れた。8の字とクランクはもともとさして問題ないし、前回よりも気をつけて走ったし...と思っていたら、原簿が帰ってきた段階で「もう一度」との宣告!!!! なぜ? ほとんど放任で注意もされなかったのに...。
 どこが悪いかというと矢張りウィンカーの指示がうまくできていないということなので、それも道理、前回「マダいい」ということでろくに教わっていないままなのだ。具体的にどの位置で指示をして、というところまで指定があるようなのだが、聞いてないものな〜。普段走っているとおりに出しているつもりなのにダメなのは、公道でも危険を冒しているということなのだろうか? そうも思えない。
 今日は前回の続きということで説明は受けずにすぐにコースに出されたので、これもいけなかった。始まりの時点で「まだよく分からないのでもう一度教えて欲しい」と言えば良かった、と悔いが残る。

 この調子で少しずつ歯車のずれた悪い方向に進みつつあるようなイヤな感じがしなくもないのだが、パチンコで負けが込んできた時みたいに途中でやめられない気分になってしまっている。明日は休むつもりだったのだが、学科とのかね合いもあるので2時限分の予約を取った。明日一度に第一段階を終えられれば、と思っている。ハ〜どうなることやら...。

 

 -interlude-

 教習所通いを始めてから10日あまりたった。
 この間東京の気候は、さして大きな崩れがないのは良しとしてもおおむねじっとりした薄曇りの日が続き、しかも夏を思わせる暑さ。白いコンクリートの照り返しに蒸され、立ちこめる排気ガスに喉をイガイガさせながら、汗まみれで苦闘の日々を送っている。
 学科教習と技能教習を並行でやってるのだが、学科教習は涼しい部屋で1コマ1時間足らずの講義をきいて、あとはテキストを見て独習するだけなので楽この上ない。もう原付の時におおかたはやってあるから、効果測定なる模擬試験だって楽勝だ。
 問題は技能教習で、当初は「バイクってったって原付とそうは違わないだろ、まあ問題ないでしょ」などとあなどっていたのだが、実際にやってみると全然違った...。何が違うって、なによりその「重さ」。教習車のホンダ「CB400SuperFour」は乾燥重量166キロ、実際は200キロ近くもある代物で、僕の乗ってるリトルカブより100キロも重い(予約してあるスズキ・ジェベル200だって乾燥重量108キロ)。この違いはあまりにも大きかった...。あとパワーもウサギとウマくらい違う。まるでモノが違うのだ。
 あと、教習所のコースのイヤッタラシイ作りにもかなりとまどいがある。教習所で初めて車を操作する人って、ここをうまく走れないと「この調子で危険いっぱいの公道に出て大丈夫なんだろうか...」と不安を覚えたりするんじゃなかろうか。もちろん公道の方がずっと走りやすいのである。
 さて、今日までで技能教習、10時間受けた。でも、悲しいことに、最短なら9時間で終わるはずの第1段階が、まだ終わってない...あと最短でも2時間はやらなければいけないのだから泣けてくる。やっぱりトシだもんな、運動機能とか衰えてるんだろうな、ハア〜、と、かなりヘコんでいる今日この頃である。(5/28)

 

5月29日 第11時限、第2段階 第1時限

 今日の同教程は自分一人だけで、他の教程の人たちと一緒の教習。まず外周を回ってから、それぞれの課題をやるようにとのお達しで、またもや放任だ。まあいいや、やることだけやっとこう、と気楽な気分で一人、もう馴染みのコースを回る。しかしこれ、もう全然問題ないのである。
 10分くらい走った頃、教官から、「それじゃ、課題やる?」と声をかけられる。課題というのは例の坂道、スラローム、一本橋、急制動のことで、それじゃ後退じゃんか! と思ったがいい加減3回目のコースにも飽きてきていたので練習のつもりで課題に移った。
 課題の方も問題なし。やればやるだけ慣れて上達するのが分かるので面白くないことはない。結局、課題の練習を楽しんで時間が終わった。
 待合室に戻り、原簿を受け取る。教官「じゃ、これで第1段階終わり。次からは第2ね」
 「え、見極めは....?」
 「見極めもOKです、今見てたから!」
 と、いうことで、知らない間に見極めもパス! 1時間飛び越える形でついに第1段階終了。ヤッタ〜!! 
 「見極めです」と言われて緊張してやったらこんなにうまくはいかなかったかもしれない。遊び半分で楽にやってたのが良かった。あ〜ホッとした。

 第2段階 第1時限
 前回までのコースを拡大し、信号付きの交差点もついた新しいコースを走る。卒業検定のコースでもある由。いよいよ本格的な教習になってきた。
 事前に今回は細かいところまで説明を受ける。教官のあとから2周ばかり、チェックを入れられながら走ってから自由走行へ。
 きっちり指定されたものをなぞるのは別に難しくはない。別段問題なく何周か走り、終了。続きは明日。

 〜 以降省略 〜

 

6月9日

 今日、待望の普通自動二輪免許を手にした。教習開始からおよそ三週間、暑くて長い日々がようやく終わって感無量だ。

 上では第1段階の終了までを書いて、以降省略としたのだが、もちろんその後も教習は進んでいたので、けれどあれからはなんということもなく、2時間つまずいてヘコんだのがウソのような順調さでコトは進んだのだった。
 学科の方は講義を受けていればいいわけだし、技能の方は、第1段階で苦労したのでどうなることかといささかオゾケをふるっていたのだけれど、バイクの操作に慣れ、ある程度の走行技術を身につけるのが第1段階だとすれば、第2段階は実践編で、より公道に近い環境のコースを交通法規に従い安全に走れるようになるというのが目的のようで、こうなると一応公道を走り慣れてる原チャリ・ライダーは強みを発揮する。
 教習の内容としては、第1段階でやった課題と、第2段階のコース走行の練習を毎回半々くらいの割合でこなすという感じだった。
 第2段階3時限目には学科と込みのシミュレータがあって少し目先が変わったが、これは突発的な事態に対応する訓練で噂では必ず事故るようにできているという話だったのだけれど、3人いた教習生はみな実に慎重に操作したおかげでだれ一人車にひかれたり、子供をはねたりせずに終わった。ただでさえ退屈なシミュレータ、ツマラナサもここに極まれりという感じであった。
 以後も実技は停滞なく進み、補習を見越してちょっと無理して3コマ入れた6/5には予期に反しすんなり見極めももらって、残すは卒業検定だけとなった。検定は日程の都合で6/8の木曜日、二日間があいてしまうのはちょっと不安だったが、仕方ない。ソワソワして過ごした。
 卒業検定は朝8時半集合だったので朝に弱い身としては辛かったが、なんとか遅刻せずに行った。大型4名、普通8名というなんとなくまとまりの良い人数で、大型と普通2組の計3組に分かれ、それぞれの組から同時に一人ずつコースと課題をめぐる。課題は第1段階でやった坂道発進、スラローム、一本橋、急制動、コースは法規走行用の、信号とか踏切とか障害物とかいろんな標識などの配列された道を順路に従い走る。パイロンに触れたり、一本橋で脱輪したり、信号無視したりしたら即座にアウトだということなのでかなり緊張した。
 僕は2グループの2番手で、特に上手にと気負ったりすると失敗しそうなので、一通り全部走れることを目標に慎重に走った・・ところが慎重を期しすぎて、S字クランクを抜け、徐行しようと一段シフトダウンしたところ、いきなりエンスト!! 道の真ん中で立ち往生してしまった。
 まあ、たいした減点にはならなかったようで、検定もなんとかパス。卒業と相成った。ほぼ相棒のようになっていた、補習仲間の茶髪のオネエサンも一緒だったが、惜しくも一本橋で脱輪して不合格だったのは人ごとながら残念だった。
 で、一夜明けた今日は強風と雨の中、江東免許試験場に出掛けて学科試験の本番を受ける。なんだかイラスト問題が妙に難しくて心配したが、こちらもなんとか受かって、長かった免許取得の日々が終わったのだった。
 新しい免許、若葉色の線だったのが青になっていて少し気をよくした。また、前の免許証のよりも写真が幾分フテブテシク、バイク乗りらしい不敵な面構え(単に悪党面に写っただけ...という話もあるが)になっていて気に入った。

 明日、雨でなければいよいよ新しいバイク納車だ。今日はオフロードバイクのテクニックの本なんかも買ってきてしまった。教習は終わったけど、これからが始まりだもんな〜。本当に、楽しみだ。

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