ナベサダが来た ・・・・・・・・・・ 5TH DEC., 1996
| E−MAIL 7TH DEC., 1996 TO MR. 辻垣 卓也 殿 原稿 タイトル ナベサダが来た ご無沙汰しております、お元気ですか。 JAKJAZZがジャカルタで行われており、それに出演するために渡辺貞夫氏がインドネシアに再び来ました。 12月5日に彼と日本大使と西平さんがゴルフをして、その帰りの車の中で西平氏が音楽の話、とくにバンドマスターとしてバンドを率いることの悩みを伝え、それに対するアドバイスなどもらったとのこと。 その時、「今夜もブラスがパート練習をするのです」と言ったら「じゃあ、ちょっと見にゆこうかな」と、あの甲高い声で答えたそうな。さああ、慌てた西平さん、帰るや否や八方手を尽くしてバンドのメンバーに緊急集合CALL!!! |
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| そんなわけで夜の7時には8割方のメンバーとその家族、噂を聞きつけて一目ナベサダを見ようと駆けつけたミーハーも含めて西平邸宅は熱気ムンムン、家族が連れて来た子供らは走り回るや、楽器を持ったものは段々緊張が高まるなか、妙な、でもとてもワクワクする空気が漂っていました。皆が揃うより早く到着していた渡辺氏は近くにある打楽器類をメンバーに持たせて初級パーカッションクリニックが始まっています。 |
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| そんな中、バンドの用意が整い、カチコチになるのをアルコールで飛ばす西平氏が「じゃあー一曲聞いてもらえますか」でニコニコする渡辺氏の前で緊張の演奏開始 =OPUS−ONE= 慣れた曲だけどギコチないことこの上なし、漸くエンディングまで辿り着きホットしつつ渡辺氏の顔を伺う。ニコニコしつつ、でも喋るより先に立ち上がり、手を動かしつつ、渡辺氏のクリニックが突然始まりました。 「じゃああ、27のサックスのフレーズだけ、やってみましょう、ここは跳ねないでズーザ、ズーザとね」 といった風に、まあなんと、全くの公開クリニックです。感激するや緊張するや、体全体を使って説明をする渡辺氏に皆が食い入ります。 |
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私なりに理解した渡辺氏の指摘ポイントを並べると次のようになります。 AAA: スイングするためには、フレーズは跳ねてはいけない。体を気持ちよく揺することができるように、ズーザズーザと唄うように吹く BBB: シンコペーションは必ずタンギングにて音を出す。それによりシンコペーションの直前に一瞬の空白が現れるはずで、これがフレーズのノリを作り出す CCC: 高音になると喉が締まって細い音しか出ていない、音が高くなればなるほどお腹の底から音を吹き下ろせるように普段から練習する DDD: 原曲、もしくは見本となる演奏(レコード)を聞きそれを真似るよう に努めてみる EEE: 八分音符はほぼ前後均等の長さのつもりで吹く方がよい FFF: 唄うようにフレーズを理解して演奏すること。我バンドは譜面をなぞっているだけで、唄えていない。力強さ、元気がない。譜面は単なる規範であり、譜面だけで演奏は出来ません。 |
GGG: メンバー一人一人がバラバラにフレーズを理解していても、それぞれが唄えても、バンドとして唄うことはできない。それぞれのフレーズをバンドとして、パートとして唄えるまで徹底して繰り返す練習が必要である。例、先のBBBのシンコペーション前の空白はそのパートが息を合わしていなければノリのある、唄えたフレーズにならない等 HHH: バンドはリーダーで決まってしまう。リーダー以上のバンドにはなれない I I I : ある時は彼女に語り掛けるように、あるときは小錦の土俵入りのように曲とそのフレーズが表現するものをメンバーが共有していなければならない JJJ: このように練習して、唄うことが出来るようになったバンドでは、演奏しているひとも、聞いているひとも深い感動を得ることが出来る KKK: それを目指して皆さん一生懸命練習して下さい。音楽は楽しくて、力強くて、感動出来るものです |

| 渡辺氏は唄うフレーズを実際に口で表現し(唄い)、そして体全体でも表現してくれました。もちろん、アルト(阿部さんの奥さんの新品ヤマハ)を持ってお手本も見せてくれましたし、ドラムセットに座ってトップシンパルとハイハットでリズムをとってくれました(ドラマーの中川さんは日本へ帰国中でした)。こうして指導を受けていると我々もそんな風に唄う演奏が出来そうな気がしてくるから不思議です。後で渡辺氏に聞いたところでは、東京にてプロのメンバーによるビッグバンドも指導しているのだけれど彼が口すっぱく伝えることは我々に指導したのと同じ事だというのです。つまり我々はハイレベルの指導を受けていたといえますし、また最も基本的な、普遍的な要素を教えてもらったとも言えます。 |
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なによりその暖かな語り口と懐の深さにとても感銘しました。世界のナベサダはその豊かな人間性故に「世界に通用する人」なのだと合点しました。クリニックは=TAKE−THE−A−TRAIN=にも及びました。最後の講評は「まだダメなんだけど、みんな頑張って下さい」というとっても正直なものでした。演奏のあと、サインを希望する人たちは楽器や、ノートや、T-シャツ等、みな思うところにサインを戴き、いっしょに写真も撮影しました。食事をし、ビールを飲み、 いろんなお話を伺いました。そして4時間にも及ぶ滞在のあと松尾さんの車でホテルに帰られました。 ほんとに楽しい一夜でした。 辻垣さん、羨ましいでしょう。 次回のGALAXYコンサートは12月21日(土曜日)です。 このコンサートの後、バンマスは西平氏から名井氏に引き継がれます。 それではまた。長々と失礼しました。 志方 |