第74話グラデ左 グラデ右KAO


TEN> このメッセージはいつごろ読むのかな夕食まえには読むのかな?まあいいや(09.23-17:24:11)

 ・・・あなたはどこでこのメッセージを書き込んだの?


TEN> 例のものはもう少しあとで渡すから(09.23-17:24:59)

 ・・・何か今渡せない理由でもあるの?
 やっぱり―――この屋敷にいるんじゃないの? 「TEN」さん。


TEN> 大丈夫、きっと成功するよ。絶対私のかわりにあのコのカタキをとってね(09.23-17:25:40)

 ・・・ここにいるんならなぜ、あなたがやらないの?

 分からない。
 分からない。

 このTENという人物は、自分のことについては一切語ろうとしない。

 私に約束をしてくれた。

「辻に逢わせてあげる」
 そんな馬鹿げたことがあるのだろうか。辻はあの武道館の事件で、雲の上の国へと旅立ったはず。
 TENは確固たる証拠を、私に示してくれたわけではない。
 簡単に信じることなどできない。その反面「もしハタチになった辻はどんな感じなんだろう」と想像する自分がいる。
 そしてTENが、その再会を実現させるために出した交換条件はひとつ。
「あの事件が起こることを事前に知っていながら、あなたたちの仲間を見殺しにしたメンバーが今日集まる中に存在する」
「そいつを、あなた自身の手で裁いて」
 ・・・それはTEN、あなたのことなんじゃないの。
 なぜそのメンバーを今になっても教えてくれないの。あれだけ綿密な計画だけ指示しておきながら。
「黒幕を知って、あなたの決心が揺らぐといけないから」
 TENはそう言った。
 あなたが、あなたこそが、あの事件を起こした黒幕なんじゃないの。
 そして関係ないメンバーを犯人にデッチ挙げて、私の手で殺そうとさせているんじゃないの。

 そしてあなたも元モーニング娘。のメンバーで今日、ここに来ているんじゃないの!

 TEN。
 KAO。
 辻希美。
 そして、爆破事件を黙認したとされているメンバー。

 この屋敷には、大きな蜘蛛の巣が張られている。
 たぶん私も(本当に生きているとすれば)辻もその巣に引っかかって、すでに身動きがとれない状態なんだろう。
 そして、巣の中央に身構えている蜘蛛。
 胸騒ぎがする。
 もしかしたら、蜘蛛なんていないのかもしれない。
 TENが外から、次々と私たちを巣に投げ込んでているんじゃ・・・?
 その真犯人と言われるメンバーですら。
 お互い仲間内で疑心暗鬼に陥って殺し合うのを、外野から薄ら笑いを浮かべ見いる。それがTENなんじゃあ?

 私は、とんでもない間違いを犯そうとしているのかもしれない。

 辻というカードさえ、握られていなければ・・・!

 こちらが主導権を握るには、どうしたらいいだろう?
 現時点では分からないことが、まだ多すぎる。
 これだけ用意周到な計画を私に託したTENの尻尾を掴むのは、正直難しいかもしれない。辻の居場所もこれだけ探して見つからないのだから・・・。


TEN> じゃ次のアクセスは10時ごろね。(09.23-17:27:16)

 私にひとつチャンスがあるとすれば、このNETによるTENとの繋がり。
 10時までに、そのヒントを見つけなければ。
 晩餐会で誰が仮面を被っているのか見当をつけなければ、それこそ都合いいようにTENの操り人形にされてしまう恐れがある。

 誰がTENなのか?
 辻はどこに隠されているのか?
 そして一番許せない―――「あの事件」をあらかじめ知っていながら見過ごしたメンバー。

 そんな奴がメンバーにいるというだけで・・・自分は、はらわたが煮えくり返りそうになる。冷静にならなければ。蜘蛛の糸が絡み付いて指一本動けない状態になったって、私はあきらめない。最後まで抵抗してやる。

 臨機応変。
 何か小さなことでも見逃さないようにしなければ。


<TENさんは退室しました(09.23-17:28:10)>

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