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ねえ矢口は憶えているかな? 加護は忘れらんないだろうけど・・・。 例の武道館のコンサートの時にね、私らタンポポのラストステージが終わって更衣室に引き揚げていく時に、その前にのんちゃんが待ち構えていたの。 そうそう、あの時。 あの時さぁ、ののとあいぼん喧嘩してたんだよねぇ。 おっとっと。あいぼん、そんな泣かなくていいよ。 でね、そこでひと悶着あって結局仲直りできなかったんだけど・・・うん。でね、矢口とあいぼんはミニモニ。も控えていたからそのまま着替えるために更衣室に入っていって、舞台裏で私とのんちゃんの二人きりになっちゃって。 あのコったらまだ泣いているし、まいったな〜どうしよう〜と思っていたらすぐに 「れへへ、いいらさんありがと」って言って涙を拭きながらも笑顔を見せてくれてね。これからどうやって、のんちゃんをなだめようと考えていた矢先だったから、正直ホッとしたの。立ち直り早いコだったよね。 安心してあのコの頭を撫でてやると、私の手の中でジタバタしながらこう言うの。 「こどもあつかいしないでよぉ」って。その仕草がすでに子供っぽいのにね。おかしいでしょ。
それ見て・・・今だから言えるけど、思いきり抱きしめてやりたくなった。もちろん「リーダー」という立場でなかったら、とっくに抱きしめていたのだろうけれども。
・・・私ね、ののとあいぼんが解散を間近にして、チョットぎこちなくなっているの知ってた。
でもね、本当はののだけでも充分だったの。
5期のコはあまり知らないかもしんないんだけど・・・4期メンバーと初めて「ご対面」したの今でも結構鮮明に憶えているんだ。緊張感なかったよねぇ、アンタたち。
でもね、一生懸命なのんちゃんを見ていると不思議と癒されたんだよね。
リーダーに就任したあたりからかな? ミニモニがポンってブレイクして裕ちゃんが卒業したあたり。徐々にののと二人きりで話すってことも少なくなっていってね。あのコはそのことについてどう思っているか分からなかったし、割とどんな人にも甘えるタイプだったし。ただ私にとっちゃあ故郷を離れて、上京しているということもあったんだろうけど、のんちゃんにに実の妹の姿を重ねて見ていたのよね。なんか自立して嬉しいのが半分、ちょっぴり寂しいのが半分、みたいな気持ちだったのかもしれない。
だからね、二代目リーダーとかそんな名誉よりも、のんちゃんを独占していたかったなー・・・みたいなのは少なからずあったんだ。
話がズレちゃったね。
えーっと、どこまで話したんだっけ。 「いいらさん、たんじょうびおめでとうございます」うん、あの日は私の誕生日でもあったしね。 何かなって思ったら、よくあるプレゼントの箱。1辺5センチぐらいの立方体の小さい奴だったけど。 カワイイ大きなリボンが結んであってね、白いプレゼント。
私言ったの。 「こないだのコンサの打ち上げで誕生パーティもやったじゃん」って。 ツアーの地方公演の最後でね、それ終わった後のパーティって私となっちの誕生会も兼ねていて、そこでみんなからプレゼント貰ったんだよね。 のんちゃんからは、ディズニーアニメのキャラクターのぬいぐるみを贈られた気がする。だから誕生日プレゼントはその時もう貰ったから、無いと思っていたの。 「ちがうんれす。いいらさんには、つぃ、いろいろ教えてもらいました。これは、つぃの3年間をみまもってくれた、いいらさんへのきもちです」 「そんな・・・気持ちだなんて・・・ののに、私けっきょく何もしてやれなかったよ・・・」 「そんなことないれす。何度もつぃは自信がなくてやめようとおもったこともあります。でもいいらさんにめいわくがかかるとおもうと、がんばれました」 「のの・・・」結局、それで泣いちゃった。 だってホント、無邪気な笑顔で言い切るんだもん、感情が爆発して・・・。 ガマンしていたのに、思いっきり抱きしめてた。もう涙があふれてきたし。
私も同じ気持ちで、娘。を続けていたから。 「いいらさん」 「何? のの」 「5年たったら、どうそうかい・・・?をしよ」 「ぷっ・・・何で5年後なの?」 「この1年で、3センチ背がのびました」 「・・・そっか・・・最近ちょっと大きくなった気がする」 「だからこの計算だと、あと5年ぐらいすれば、いいらさんとおなじぐらいになるのれす。それまで待っていてくらさい」 「ふふふ。そだね、同じ背の高さになったら、同窓会で何しよう? 「やくそくれすよ」私、解散とか喧嘩とかあって正直滅入っていたんだけど、ホッと胸をなで下ろしたんだ、当時は。その言葉を聞いて。 大丈夫だ、ののだったら。これからも。
そう。この同窓会は、あのコとの約束みたいなものだったの。二人だけの。
ののってサ、マイペースなように見えて結構みんながケンカにならないように、とか険悪な雰囲気にならないようにとか気を遣っていたんだよ。何かの番組でリーダーに向いているのは、辻だっていう分析があったじゃない? あの時は意外な感じしたけど、もし今でもモーニング娘。が続いていたら、ののがリーダーだったかもしれない。あのコがいるだけで殺伐とした雰囲気も一変するってこと、よくあったからね。
え?
でもね、その時は思いもよらなかったなあ。私、その時はののにプレゼントのお礼を言って、まあ舞台裏だし時間も限られていたし、箱を開けないまま楽屋の自分の鞄にしまい込んだのよ。
だから本当に思ってもみなかったわけよ。 |
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