|
|
|
|
太平洋側で、数年振りの豪雪に見舞われた日だった。 静岡県のとある河川の鉄橋下で、ホコリまみれの毛布にくるまって震えている石川梨華が地元住民の通報で発見されたのは、家族による捜索願が提出されてから約1ヶ月後の夜のことであった。
髪はボロボロで、身体も何日も風呂に入っていないのか異臭を放っている。顔も毎日洗っていないのであろう、薄汚い。
衰弱した石川は、駆けつけた警官に名前を確認され、ひとこと「私たちは、モーニング娘。です」とだけ答えた。
真冬に野宿を続け、石川の体力は限界に達していた。
救急車の中で意識が朦朧としながらも、石川はしきりに 「だめ・・・ののと・・・りさちゃんを・・・殺しちゃ・・・だめ・・・」と口にしていた。 救急隊員には、その言葉の意味が理解できなかった。
ただ、石川の胎内(なか)に眠っていた小さな命は、結局この世の光を浴びることなく摘み取られていったという事実だけが残った。
それが、双子の女の子だったという事実が。 |
|
|
next to ... 第100話 石川と加護 |
|
|
最初に戻る ■ トップページ |