今お気に入りのCD
最近買い込んで、気に入ったCDを中心に感想を書いてます。
したがって、特に新譜だけってわけじゃないですが、お許しを。
BILLY JOE THOMAS/B・J・THOMAS(1972:Victor)
「雨にぬれても」で有名な、B・J・トーマスのアルバムの再発盤。何ヶ月か前に再発されてはいたけれど。ここんところ、ちょっとマニアックなやつは、買いそびれるとちっとも手に入らない。雑誌で見つけたとたん、すぐにレコード屋にすっ飛んでいったのに、どこの店を回っても手に入れられず。初回プレスだけで、すぐ廃盤になったらどうしよう、と心配してただけに、無事入手できてなにより。
さて。この歌手は前述の曲で日本では、ちょっとは有名のはず。どこのカラオケボックスにいっても、「雨にぬれても」は絶対ある。なのに、それ以外の曲のカラオケを見かけたためしがない。
輸入版でもそう。契約が入り乱れてるのか、似たようなベスト版はしょっちゅう見かける。だけど、オリジナルアルバムはちっとも再発されずじまい。今の時代には、こういうスムーズに歌い上げる歌手ははやらないのかなあ。
この人は、ほんとにいい声をしてる。僕にとっては、ロイ・オービスンと双璧といってもいいくらいのふくよかな声。これからの季節に、ステレオでそっと流すのにぴったりだ。
「雨にぬれても」の声を想像しちゃいけない。もっともっと、彼はいい声をしてる。ちょっとハスキーな声であの曲は歌われてるけど。先日、たまたまその「雨にぬれても」が入ったオリジナルアルバム(1969年発表)がFlavourから再発され、なんの迷いもなく買い込んだけど。ライナーノーツで、「雨にぬれても」を録音した時のエピソードが紹介されていた。なんでも、録音の前日、喉頭炎でドクターストップがかかってたのを、だましだまし歌ったんで、あんな声になったんだとか。
話が横に飛んじゃった。で、この自分の名前をタイトルにしたアルバム。企画としては、マン=ウェイル、スティービー・ワンダー、ポール・ウィリアムズ、ジミー・ウエッブといった、作曲家の曲を歌いつつ、そのレコーディングのときに、作曲家自身が参加する、というもの。
変なこけおどしなんかまったくない、ちょっとカントリー風味の聞いたアレンジのバックにのって、B・Jがさりげなく歌う。いいアルバムだな。もっとも「ロックンロール・ララバイ」が入ってるからね、こいつには。それだけで買いこんでも、絶対損はしないだろうけど。
door open at 8 am/merzbow(1999?:alien8recordings)
日本が世界に誇る、ノイズ王者メルツバウ。山のようにCDがでてるから、ついコレクター欲をそそられる。個人的には、あんまり興味なかったんだけど、以前RUINSの欄で触れたムック「NU SENSATIONS」を読んで、一枚買ってみた。
それが、TZADICから出た「1930」(1998)。聞いてぶっ飛んだ。確かにノイズだから、耳に心地よくはない。だけど、ギターのフィードバック感覚でなんとなく聞いてて楽しくなってきた。とくに、「1930」はいろんなタイプのノイズが入ってるから、退屈しないってのもあったかもしれない。
そんなこんなで、メルツバウに興味を持って、偶然にも近くのCDショップでメルツバウの特集をやってたんで、何枚か買い込んできた。今は10数枚くらいかな?持ってるのは。もっとも、何倍ものCDを出してて、中には50枚組みなんてのも出してるから、僕なんかは、ファンから見ればお笑い種だけどね。
しかし、レコード屋でメルツバウのCDを見るたびに、買うか買わないかを悩んじゃう。1枚買えば、メルツバウがどんな音楽をやってるかは十分にわかる。だけど、目の前にある聞いたことないCDが、僕にとって、とびっきりのノイズを聞かせてくれるかもしれないって。僕が音楽を聞くようになって、つぎつぎCDを買う根源的理由は「このCDには、ものすごくいい音楽があるかもしれない」って思うから。僕自身の好奇心の葛藤をメルツバウのCDを買おうと思うたびにそんな感情が剥き出しにされる。
ここでこのCDを紹介したのは、もちろん「いいなあ」と思ったから。ホワイトノイズの嵐だけじゃなく、バックにドラムやシンバルのパルスノイズが聞こえるから、ポップに感じられたせいかもしれない。
ちなみに、僕のノイズの聞き方はやっぱり邪道。本来、こういう音は大音量の中で聞くもんだろう。耳がはじけ飛ぶくらいでかい音で、体で音圧を感じてカタルシスを感じるのが正統じゃないかな。一方で僕のほうは。そういう聞き方があるのをしってるのに、やっぱりステレオで音を絞って聞くのが好き。寝る前に、音を小さく絞ってBGMにするとかね。秋の夜長に、虫の声を聞きながらビールを飲むのを楽しむのと同じように、僕はメルツバウを小さな音で聞きながら、のんびりリラックスしちゃう。こんな聞き方は、まずいのかな?
ニセ予言者ども/JAGATARA(1987:Doctor/BMG)
じゃがたらに興味を持ったのも、上とおんなじ。ムック「NU SENSATIONS」を読んでから。そういう意味で、このムックは僕にとって、今まで聴いたことない音楽をいろいろ教えてくれた。これまで、僕はほとんど行った事ない、ライブハウスへの興味もわいてきたし。あとは、このムックに「まぼろしの世界」一派をもうちょっと積極的に取り上げてくれるとうれしかったんだけどね。
で、じゃがたら。音をぜひ聞いてみたいと思ったんだけど、ちょっと前まで廃盤状態で、手に入ったのは「南蛮渡来」だけ。あ、あとベスト版もあったけど、オリジナルアルバムが、また再プレス(廃盤状態だと知らなかったんで)されるだろうから、そのとき買えばいいや、と楽観してた。
「南蛮渡来」もインディーズのこもった音で、ちょいと不満もあったど。「でも・デモ・DEMO」の強烈なファンクが好きで、何度も聞き返していた。
そうこうしているうちに、今年の9月末に、全アルバム再発。しかもリマスター。なんと廉価版。うれしくて、すぐに何枚か買い込んだ。ま、一気に全部買っちゃってもよかったけど、コレクトすることが目的じゃないからね。あくまで音楽を楽しみたいから、じっくり一枚一枚買っていこうかと思ってる。(のんきなことをいってるうちに、すぐ廃盤になるのが今の日本のレコード業界の常なんで、難しいところもあるけどね)
今回紹介するアルバムは、フルアルバムなのに4曲入り。5分程度の曲と、15分くらいの曲がそれぞれ2曲づつ収録され、ファンク大会を繰り広げられる。といっても、これを聞いてて、たとえばPファンクみたいな強烈な黒っぽさは感じられない。ファンクなんだけど、どこか軽やかに飛んでいく感覚がある。江戸アケミ氏の歌も、もうしわけないけど、いわゆる「うまい」って歌じゃない。リズムにあってないような部分もいろいろあるし、音程も危うい瞬間がある。だけど、勘違いするべきじゃないのは、その不安定さが間違いなくアケミ氏の魅力になっている。歌声自身にものすごい切迫感がある。その切迫感に引っ張られて、じゃがたらは疾走してる。
THE ROLLING STONS,NOW!/THE ROLLING
STONS(1965:LONDON/abuco)
恥ずかしながら、僕はストーンズはあんまりちゃんとは聞いたことがない。リアルタイムで聞いたのが「アンダーカヴァー」。それ以降のアルバムは、それなりに耳にしてたし、さかのぼって、60年代後半前後のアルバムは聞いてたけど。70年代後半と、なにより60年代前半のアルバムを、ぽっこり聞いていない。別に嫌いなわけじゃない。最近のストーンズこそ、積極的には聞かないが、今まで僕が聞いてきた60年代後半前後のアルバムは大好きだ。
ま、60年代前半のアルバムをあんまり聞いてこなかったのは、ひとつ理由がある。このころは、イギリスとアメリカのマーケットを完全に分けて考えていたのか、英版と米版で曲順や収録曲が微妙に異なったアルバムがいろいろでてて、ややっこしかったから。ヒット曲だけ聴くなら、ベスト版を聞けばいいんだけど、ベスト版がなんとなく気に入らなかったんで、つい聞きそびれてた。それに、当時の黒を基調としたジャケットデザイン。不良ぽいっていうか、素人おとこわり、って感じで、高校の頃の僕はつい気後れしてた。今考えると笑い話だけどね。
で、今になって聞きたくなってるってわけ。とはいえ、いきなりCD屋に行って全部一度に買い込むほどはのめり込めず。ふっと一枚、見つけたときに買うようなスタンス。昔ほどがっついて、買い込まなくなったかも。学生のときほど、聞き込む時間が取れないんで、買うことが目的になることが怖いから、あえてセーブするようにしてる。
いかん、余談が長くなった。CDの紹介がこの欄の目的だ。
でも、このCDは勢いのあるストーンズの演奏を楽しむのが一番。なんとなくストーンズは「墓足に片足突っ込んでロックしてるバンド」ってイメージが、最近の活躍のせいで意識に染み付いちゃってるけど。このころのストーンズはデビュー2年目。老成する気なんかカケラもなく、ただただ、好きな黒人音楽のコピーを中心に、自分らの音を固め始めたところ。あおりまくるチャーリーのドラムに乗って、ミックが咆える。オリジナルもかっこいい。「ハート・オブ・ストーン」のサビの部分が、今の僕のお気に入りだ。