今のおすすめCD(番外編)

ライブテープを聴いた感想です。
的外れな点があったら、ぜひご指摘お願い致します。

曲の区切りやタイトルは、いろいろ異論があるかもしれません。
とりあえず、聴いた音源の区切りを尊重しました。

01/12/31 New York, NY Roseland Ballroom

出演:Vida Blue
(Page McConnell:key,vo、Russell Batiste:ds、Oteil Burbridge:b)

 活動休止中なphishのメンバー、ペイジ・マックネルが新バンド「ヴァイダ・ブルー」を結成した。
 同じくphishのギタリスト、トレイ・アナスタシオのオイスターヘッド同様、継続的に活動するかは不明。
 ちなみにヴァイダ・ブルーのアルバムは、02年晩春にリリースされるらしい。

 メンバーのラッセル・バティ−スト(ds)は"Funky Meters"なるバンドの出身。
 オテール・バーブリッジ(b)はオールマン・ブラザース・バンドに所属しているそうだ。

 今回ぼくが聴けたのは、昨年末のニュー・イヤー・コンサート。
 音源はオーディエンスだと思うが、それにしてはけっこう分離がいい。
 オーディエンス・ノイズもふんだんにミックスされている。
 録音はかなり低音が強調され、アンプで低音を下げめで聴くと耳になじみやすい。

<セットリスト>
1. Jam 4(11:30)
2. Bubblehead(7:50)
3. Jam 15(9:34)
4. Piano Mel(11:35)
5. Get Ready (Pay by the Pound?)(7:01)
6. Peg (New Year's Countdown Jam) >Auld Lang Syne(5:36)
7. Instant Karma(4:39)
8. Colin Jones(10:57)
9. Ballentine(7:36)
(アンコール)
10.America the Beautiful(1:55)
11.Light Up or Leave Me Alone(14:10)
 
 演奏曲はあらかた新曲らしい。
「ペイジがまだタイトルを決めかねてる」と、ライブ直後はネットで情報が流れて曲名が伝わってこなかった。

 まずはスペイシーなペイジのシンセをイントロに、ずしんとエイトビートをドラムとベースが刻む。
 はなからジャム風の感触だ。

 一分弱ほどもやもや音を重ねたあと、ペイジがおもむろに歌いはじめた。
 テンポはミディアム。ボーカルのメロディより、三人のアンサンブルの探り合いを聴かせたいみたい。
 歌声は数小節だけですぐに演奏へ。各楽器がちょこちょこフィルを入れていく。

 ひとしきり歌うと、またもやペイジのシンセが膨らみブレイク。
 ちょっとテンポを上げてジャムが始める。

 ペイジは音色をひしゃげさせ、ギター風にソロを構成した。
 他の二人は、着実なバッキングに徹する。ドラムの手数は多めだ。
 旋律は手癖らしく、いまいち単調かな。
 エンディングもあっけない。

 2曲目はどことなくphishを連想する曲。
 冒頭からいきなり歌い始めるが、旋律よりも語りっぽい。
 静かに、静かにペイジはメロディをなぞって歌った。

 そしておもむろにオルガンを弾き始める。
 かなりジャズよりなフレーズ。
 数コーラスだけであっさり弾きやめてしまうのが惜しい。
 
 ペイジはボーカルを取り慣れてないのか、歌声がかすれたりヨレたり。
 せっかくだからキーボード・インプロを前面に出せばいいのに。
 "How about you,How about you・・・"とペイジが繰り返し、そっと曲が終わった。

 次のインストはけっこう好きになった。
 テクノ風にループさせたフレーズが、ふわふわと舞い始める。どうやら打ち込みじゃなさそう。
 リバーブを効かせた派手なドラムの音が、この手のアレンジにはよく似合う。

 特に曲調を展開させるでもなく、えんえんと同じパターンを提示する。
 ときおり、コードが変わるだけ。
 アクセントのクラヴィネットがかっこいい。
 そのままソロへ続き、けっこうファンキーな味わいだった。

 ドラムの演奏がいまいち単調かな。もっとリズムを揺らしてもいい。
 ベースがここでくっきりとオブリガードを入れる。
 たぶん、後半部分は全て即興だろう。

 いつのまにかキーボードはエレピに変わっていた。
 他の二人もがんばるけど、音の主導権は握りきれていない。
 さんざんphishでジャムの修羅場をくぐった、ペイジの独壇場だ。
 それともリーダーのペイジを立てて、演奏を抑えてるのかな。

 さて、特にMCもなく、淡々とライブが進んでいく。
 今度はパイプオルガン風の音色で攻めてきた。
 シンセが主役だと、音飾だけで目先が変わるから飽きなくていい。

 4曲目はロマンティックなフレーズから始まるスローな佳曲。
 丁寧にメロディをつけたら名曲になるだろうな。
 ところがペイジはキーボードのソロとユニゾンさせ、スキャットで押し切ってしまう。もったいないよう。
 
 中間部で何度も展開があって面白い。
 イントロのイメージとはうってかわってファンキー。がしゃがしゃなキーボードソロが炸裂する。
 リズム隊が単調で惜しい。もっとガシガシつっこめ〜。

 とはいえ、前半部分ではこの曲がハイライトだろう。
 不安定で緊張感をあおる中間部のメロディもなかなかだ。
 
 Vida Blueのもどかしさは、バンドの音楽性をつかめてないせいかな。
 全般的にピントがボケた感じだ。

 おつぎはなかなか威勢がいい。
 ベースとドラムのコンビネーションはメリハリ効いている。
 ペイジのボーカルはヌケの悪さが悔しい。
 スピーディでキザな演奏がいかしてた。
 やっとバンド全体にオイルが回りきったかな。

 ドラムのソロまで飛び出す。
 リズムをフリーにするほど過激じゃないが、ここぞとばかりな手数で叩きまくった。
 
 さくっとペイジが挨拶して、いよいよ新年寸前のジャムが開始。
 16ビートっぽいリズムをベースに、ペイジがランダムにキーボードを弾く。
 フレーズよりも、サイケっぽい音像の構築をメインにしてるようだ。
 じわりじわりとベースがキーボードへ絡む。

 数分間ジャムをしたあとに、ペイジが観客へメンバーを紹介。
 盛大な歓声が上がる。
 おもむろにカウントダウンが始まった。
 「15秒前・・・10,9,8,7・・・3、2、1、ハッピー・ニューイヤー!」

 ペイジが叫び、花火が後ろで盛大にはじける。
 そのあとにちらりと演奏したのが"Auld Lang Syne"かな?
 本曲はRobert Burnsのカバーらしい。phishでも何度かカバーされたことあり。すみません、詳細不明です。

 カウントダウン後に選んだ曲は、ジョン・レノンのカバー曲。
 前置き無しでいきなり歌い始めた。
 演奏の後ろで、散発的に花火が破裂するのが聞こえる。

 ほんのりうわずるペイジのボーカルが、ジョンの歌い方によく似てる。
 エレピで和音を弾くシンプルな伴奏だ。いいなぁ、このカバー。

 エンディングをきめた後、ふたたびテクノっぽいシンセフレーズが飛び交った。
 Vida Blueの音楽性、こっち方面に行って欲しいな。
 テクノ風ジャムバンドって面白そうだし。
 硬質のドラミングと太目なシンセ音が、散開コンサートのYMOみたい。
 
 特にボーカルはなく、オルガンを歪ませた音でひたすらソロが続く。
 ミックスの関係か、音が薄くて迫力不足は否めない。
 キーボードのバランス上げたら、ぐっと演奏に魅力が増すだろう。

 ソロもなかなか聴かせるが。
 エンディングで再び舞い戻る、イントロのフレーズがすてきだ。

 いよいよライブ本編最後の曲。
 ペイジがぽろろんとキーボードを弾き、すぐさま歌いだす。
 リズム隊もしっとりと歌を盛り上げる。
 優しいメロディを保持したまま、サビへユニゾンでそっと雪崩れ込んだ。

 ボーカルが多少たどたどしいけど。リラックスした雰囲気が伝わってきた。
 これ、生で聴きたかったなぁ。後ろではまだ、花火がぽつんぽつん鳴る。
 さぞかし爽快な光景だったろうに。

 オルガン風の音色で、さりげなくソロへと進む。
 派手なフレーズはどこにもない。指に任せて、ふわふわと音が膨らんでいった。
 ドラムとベースはキーボードに寄り添い、ぐんぐん舞い上がる。
 三人で足並みをそろえ、一気にジャムが盛り上げた。
 
 ふっくらとキーボードが拡がる。
 次第に穏やかなジャムへ戻り、音が静かにまとまって、コーダへ。
 「ありがとう」
 ペイジが観客へ挨拶し、ショウが終わった。

 もちろん、観客の歓声はやまない。
 その声に答えて、一息ついたメンバーが戻ってきた。
 
 音だけなので、このときステージに登場したのがメンバー3人だけなのか、いまいちわからない。

 アンコール一曲目は、あっさりとギターっぽい音色でインストの"America the Beautiful"を演奏。

 今夜のライブのクライマックスはその次。
 歓声がひときわ大きくなる。ギターのサウンドチェックが始まった。
 ここらで録音にノイズがあり、一瞬音がドロップするのはご愛嬌。

 「友達の登場だ」
 ペイジがさりげなく紹介する。
 phishの盟友、トレイ・アナスタシオとマイク・ゴードンがギターを弾き始めた。

 曲はトラフィックのカバー、"Light Up or Leave Me Alone"。
 メロディは一節のみ。いきなりギターソロが始まる。
 観客は大騒ぎ。いきなりサウンドがグルーヴィになった。

 ジャムまでは到らず、すぐに歌が入るけど。さりげないオブリすら、すごく効果的だ。
 
 そしていよいよジャムの始まりかな。
 二本のギターがてんでにソロを弾き、テンションを高めあう。
 お互いの音は聴いてるようだが、別に順番なんか気にしてない。
 とびきりのフレーズが浮かんだ瞬間、何も考えず音を繰り出しているようだ。
 
 時に音がダンゴになったりするけれど。 
 細かいことは気にせず、ハッピーなサウンド作りが最優先な、気持ちいいジャムだった。

 ジャムだけで10分近くある。
 自然に気持ちが浮き立つ爽快な演奏を最後に聴かせ、彼らはステージを去った。

 ヴァイダ・ブルーはバンドとして、まだ煮詰める余地がありそうだ。
 だけど、こんなジャムを聴かされた日には。やっぱりphihが恋しいな。
 色んな意味で期待をもたせるライブだったみたい。

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