□□□RECOMMENDS MUSIC ON MARCH 2003□□□

 

Syrup16g -delayed- (album)

 

偏執的なまでに、哀しくて優しいアルバムだ。

一曲目の「センチメンタル」から、優しくて、哀しくて、静かなメロディーに、感情の琴線を揺さぶられた。

 

何度も何度も涙が出た。

 

前作「Coup d'Etat(クーデター)」が、バンドが牙を剥き出しにして、

空っぽな世界を謳い、自虐的内省を繰り返す、「動」の告発と、

攻撃的内省のフォーマットで音を鳴らしていたのに対し、

今作は真逆のフォーマット、つまり「静」であり、静かな内省で世界を構築している。

 

個人的な話になるが、前述の「センチメンタル」、四曲目の「reborn」が

今の自分に強烈にアイデンティファイしてくる。

曲が、自分の内面へと誘ってくれるような感覚に、聴く度に襲われる

時々見失ったり、存在すら忘れてしまったりするけど、

確かに存在する静かな痛みを伴う傷。

この2曲がその存在を確認させてくれるのだ。

「終わらない悲しみ」なんてベタなことは言いたくないけど、

この傷はずっと静かに続いていく、時にはぼんやりと、時にははっきりと解る悲しみそのものなのだ。

だけど、この悲しみに慣れてはいけないって曲が叫んでる気もする。

完全に俺個人の主観なんだけど。

 

いつでも僕らは、蒼い時間と空っぽな自分自身と折り合い付けて生きていかなけりゃいけない。

だけど、そんなの嘘だ、無理だ。折り合いなんてつけられやしない。

たまにそう思えるときもある。

きっと、折り合いをつけられないからこそ、

時に心が悲鳴を上げて、傷口が鮮やかなまでに開き出すのだろう。

きっとこの傷があるから、辛うじて感情が生きていけるのだと思う。

この悲しみに慣れてはいけない。

だけど無視することなんて許されない。

このアルバムから、そんなことを感じた。

 

このアルバムを聴くと、途轍も無く凍て付いた大地に、

ただ一人立って、うずくまりながら手に息を吐きかける夜の情景が思い浮かぶ。

空は透き通るほどの凛とした星空。

いくら手を伸ばせど、絶対届くことのない空。

そこにいる人間は、このままずっと一人でいたい衝動と、

絶えられないほど人恋しくて、誰かの温もりを欲しがる衝動の間で引き裂かれているのだ。

そして、それはこの作品を作ったメンバーであり、リスナーであり、僕自身なのだろう。

 

頭の中の情景の中で、続いていく現実の中で、

ふとした瞬間に、自分という存在の淵に近づく瞬間がある。

きっと、僕にその瞬間が訪れた時、

抱える悲しみや痛みと向き合う時、

これからはこのアルバムの曲が優しく、哀しく寄り添っているのではないかという予感がする。

 

このアルバムだけは、単純に「カッコイイ」とか「素晴らしい」とかという言葉で片付けたくない。

「凄い」とか、「大切な」みたいな冠詞も付けたくない。

ただ、これからきっとこの音が、ふとした瞬間に僕の中に何度も鳴るのだろう。そう思った。

聴きたい人は聴いてみればいい。

 

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THEE MICHELLE GUN ELEPHANT -SABRINA HEAVEN- (album)

 

やっぱりロックンロールは素晴らしい音楽だと思う。

シンプルなギターとベースとドラムと声のせめぎあい。

すっごくスリリングでタイムレスで、凶器のような狂気はらんで、

そこに途轍も無い正体不明の渦と、快楽性を生み出して行く。

僕はどんなに哀しい唄であろうが、そこにロックンロールが鳴り響いていれば、

自分の生を実感できるような気がする。

きっとロックンロールの定義なんて人それぞれだろうけど、

僕にとってミッシェルのこのアルバムは、紛れも無くロックンロールアルバムだ。

まぁ、「お前に今更いわれるまでも無く、ミッシェルはロックンロールじゃい」って言われそうですがな。

 

今回、初めてまともにミッシェルのアルバムを全曲通して聴いたのだが、

チバユウスケの生み出す詩が、本当に凄いと思った。

というか、もっと言えば、どういう頭の構造をしていればこんな詩が作れるのかと、正直びっくらこいた。

 

特にリードシングルにもなっている「太陽をつかんでしまった」

この曲の詩の詩情は、かなり凄いと思う。

太陽をつかんで、死んでしまった男の物語。

なんだこの発想・・・

そして、瞬間と情景と俯瞰を切り取った言葉。

 

「最後に見た夢は 二人の子供に囲まれた自分」

「エルパソに咲く花も ヤシの実を見てないと 泣いたりするんだろうね 僕はそう思う」

ここだけの部分では何のこっちゃかもしれないが、

この曲と歌詞を追って聴いていけば、

情景と叙情が鮮やかに押し寄せてくるのだ。

 

風景を切り取ったり、俯瞰を切り取った言葉で、

スリリングな緊張と、叙情、鮮やかな情景想起をリスナーに与える、チバの作家性、恐るべしだ。

っていうか、ミッシェル全員がスゲえんだ。そうだわな。当たり前だわな。

 

とりあえず、5月にもう1枚アルバム出るらしいんで、

そっちも超期待、激烈期待。

すっげーよ、かっけえよ、ミッシェル!!

 

えー、ちなみに5曲目の「ブラッディー・パンキー・ビキニ」ですが、

曲中の「ビキニ!!」の発音が、微妙にかなりレッド吉田風なのは秘密です。

 

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とりあえずここまで書いて疲れたので、次回書きたいなリスト

・BUMP OF CHICKEN 「ロストマン」

・kula shaker 「THE BEST OF kula shaker」

・FIONA APPLE 「tidal」

 

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