笑いの国

私が文学部に入りたいと思わないのは、「笑い」への理解のなさからだ。
辞書で「文学」を引いてみると、「思想や感情を、言語で表現した芸術作品。
もしくは、それを研究する学問」とある。
小説や評論がこれにあてはまるのなら、
日本の笑い、特に言葉の笑いは、文学以上に文学であると、そう断言したい私なのである。
漫画を取り扱うぐらいで「うちイケてる」と勘違いしている大学の人、
見落としてるよと、そう断言したい私でもある。

 例として松本人志のコントのセリフを挙げてみる。

「君はやめられないとまらないときには何っぱえびせんを食べるんだね」

 これを文学でないと言ってはばからない奴はきっと、焼き鳥を串から全部外してから食う奴だ。
串!串!!串!!!風流には程遠いそいつはきっと、それが逆に粋だと思っているのである。

 話は変わるが、笑いのわからない国語教師はダメだ、と切に思う。
言葉に対して一番敏感にならねばならないはずの人種が、
全くおもしろいことを言わないのは本末転倒甚だしい。
文法がどうだとか作者の真意がとかいう以前に、
自分の言葉への配慮の無さに気づけハゲ!ピンポンの監督似め!
と、口には出さないが深く、思う次第なのである。
そしてそのハゲは実在するのである。

 何故日本の笑いがここまで進んでいるのか。
その理由の半分以上は日本語にあるといってもいいだろう。
主語の不要、語順の自由、多様な表現、その語感。
すべてにおいて笑いに向いている。
前述のセリフ、「君はやめられないとまらないときには」を英訳すると、
If you can’t stop eating and it doesn’t stopとなり、
わかりにくいばかりか全くおもしろくないのである。
また、「何っぱえびせん」以下の場合はWhat “ppaebisen” do you eat?となり、
ワットっぱえびせんと非常に語呂が残念なことになってしまっているのである。
以上のことから、まず英語圏の国は笑いにおいて日本に負けであるとわかって頂けただろう。
他の言語で試しても、日本語に勝るものはないはずだ。
展開が強引?
そんなもの知るか焼き鳥を串から全部はずして食う奴め!

 かましてしまうと、私は日本の笑いは世界一だと思っている。
いまや経済大国でも何でもない、
「世界のキャッシュディスペンサー」呼ばわりされている堕ちた国、日本が世界に誇れる数少ないもの、
それが笑いであると、そう信じている。



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