++コラム++
レコーディングのあれこれ 


先日三人組のロックグループのレコーディングをしました。
約十時間位ミキサーの前に張り付いていた為、今でも身体のあちこちが痛い
です。 無意識に力が入っていたのでしょうか?それとも歳のせい? 疲れが
取れなくてね・・・
今回のレコーディングのコンセプトは”いい音でクリアーに”です。
初めてTEACタスカムのマルチトラッカーを使ってのデジタル録音ですが、今回
で苦労したところ、上手くいってニヤリとしたところ等、そんなこんなを書きたい
と思います。

1.レコーディングの簡単なブロック図を書きました。(図G)

図G
レコーディングの簡単なブロック図

気が付いた方・・そうなんですよ。 マイク録りの時には、ミキサーをかまして
無いのですよね。 
高価な機材やそれなりの機材を沢山持ち込んで、それぞれが工夫を凝らしての
レコーディングですよね。私も大阪時代に何度もレコーディングの機会に触れ
てきましたが、いつも思っていたことは、ミキサーに拠って音が全く違って聴こえ
るということでした。仕事柄、少しの部品や配線の引き回しにて音が良い方向に
も悪い方向にも変わっていくのは身に染みて感じているので、今回はなるべく
原音に忠実に行こうと・・・・。
つまり、ハイフィディリィティー、ハイファイということです。
本当のことを言うと、SSLとかニーブとか、サンクラとか。音が良いと言われ
ているミキサーがあればいいのでしょうが、なにせ貧乏な身の上ですから。
そこで今回では、身近の安いチープな音のするミキサーで録音するのは止め
ようと、一人で大決心をした訳なのです。
マイクは定番シュアーSM57又はSM58です。マイクプリは、某メーカーの
チューブ マイクプリ。
リミッターは定番dBX又はベリンガーの組み合わせも多かったですが、古い
(ちょっとね)コルグのデジタルディレイSDD−1000も大活躍しました。
これはマイクプリではありませんが、一応インプットに−50dBの入力もあり
ます。 スティーブ・バイも好んでよく使っているやつです。
もっとも彼は、SDD3000だったと思いますが。
とにかく、マイク→マイクプリ→リミッターのラインをマルチトラッカーにダイレクト
インしました。結果は、とても良かったです。お陰でクリヤーかつ良い音で録れ
ました。
後はひとつひとつの音を、私とその各担当者とで、ワイワイガヤガヤ言いながら
加工をしていきます。
普通だったらサッと録って、後はミックスダウン。EQで少しドンシャリにして、
さらっとリミッターをかけて、”はい、出来ました。”でしょう・・。
果たしてそれで納得でしょうか?  私も若かりし頃、大阪にてセミプロとしての
活動をしていた頃なんですが、本格的なレコーディングの際には音質も音量
レベルも何もかも、ディスカッションなしでした。
今から思うと、あの時のプロデューサー、ディレクターは一体どんな耳をして
いたのかと・・・。ふと思うのです。
私も若かったこともあり、具体的な音に対する希望なども無く、スタジオの設備
は本当に素晴らしい所だったんですが、余りにも後悔の多いレコーディングだっ
たんですよね。
こういう経験から、私は私自身も含めての、納得のいくレコーディングを目指し
たいと思うのです。 なんてね・・・。 
今回の、この三人組のグループは、みんな耳が肥えていますし、具体的にドラム
の音はジョン・ボーナム。ベースの音はトレースではなくて、アンペッグの歪む
一歩手前の音にして欲しい等などの好みを具体的に出してくれるので、とても
遣り甲斐があります。
こんなのは、仕事としてはできないですよね。 多分一カ月はかかると思います。

2.私の気に入っている機材について
グライコ(画像H)は、dBXやラムサ、その他色々と使ってきました。高価なもの
も確かに持ってはいます。が、 今回グライコのオススメは、ローランドのGE−
10です。

画像H
グライコ

かなり古くて昔から使っているものですが、これをかけた時は妙に音に艶が出ます。
昔から、「なんかいいんだよね〜。」と思っていて、あれは一年位前にですか、
雑誌の『Player』を読んでいたらフェンス オブ ディフェンスの北島けんじがその
なかで、レコーディングには必ずこれをかけているって書いてあって、やっぱりな。と
納得しました。やっぱり私は間違っていなかったのだと・・・。自画自賛、失礼。
それは置いておいて、今では三台所有しています。
チープな機材といわれても、好きなんです。いいものはいいですよ。
リバーブはレキシコンのPMCなんたらで、これがなんと名前を忘れてますが、ハーフ
ラックのやつ。『ベースマガジン』を読んでいたら、あのスタンリー・クラークが私と同じ
物を使っていまして、天にも昇る気持ちで独りでニヤニヤしていました。レキシコンは
高いけど・・。
プリセットを合わせて各ツマミを回せば、リアルタイムで変化する代物です。

画像 Iは、今回使用したマルチトラッカーです。

画像 I
マルチトラッカー

リミッターは今まで使ってきたのが、ローランド、ヤマハ、グヤトーン、ベスタックス、
マクソン、BOSS、MTR、ベリンガー、アフェックス、ドローマー、dBXです。
やっぱり私にはdBXが良かったです。
将来的にはドローマーの1960か、ウーレイの1176が欲しいのですけれど、夢の
また夢ですね。
ミキサーは、先にも書いた通り、録りの段階では使っていないのですが、ミックス
ダウンでは、どうしても2チャンネルに纏めなければならないので、ソニーの大昔の
8chオーディオミキサーが登場します。 (画像Jです。)

画像J
ミキサー

シンプルなんです。でも、4バスです!
ざっと見てみますと、ボリウムなどは無くてロータリーSW式の出力切り替えと、
アッテネーター式の感度切り替えとフェーダーのみ。これだけなのです。
回転するようなボリウムはありません。まさに、ハイエンドオーディオです。
そして、ICは使っていなくて総てトランジスタで組んであります。ディスクリです。
一昔前の恐らく生録が流行った時代のミキサーです。
また、もうひとつおもしろいのは、今であればインサートなんかある訳なんですが、
裏を見ますとプリアウトとメインインがあって、それを4ch分ピンコードで繋いでい
るのです。
このピンコードを外してエフェクター等を繋ぐのでしょうが、まさにインサートで笑っ
てしまいますね。
簡単に手を伸ばせば直ぐそこにあるという、手軽さが嬉しいのです。

3.今回のレコーディングの音質の方向性
バックの音に対するリードギターは、”ボストン”風で行こうと思っています。
また同じく、バックの音に対するボーカルの奥行き感は、”山下達郎”風にしようと
思っています。
ベースは、先に述べたアンペッグの歪み出す直前の音で、ドラムがツェッペリンの
ジョン・ボーナムです。
前に張り出した音では無くて、立体感のある音に仕上げたいと思っています。
まぁ、出来上がってからのお楽しみというところですね。

4.只今ミックスダウンの真っ最中ですが、やっぱり思うことはモニタースピーカー
の重要性です。
いい音のするスピーカーは数あれど、基準となりうるスピーカーが本当に無いんで
すね。チープなスピーカーで必死になって音を作ってみても、JBL、タンノイ、エレ
ボイ、アルテック等で聴くと何だか変だし、高級スピーカーでモニターをすると、そ
れ以上音作りをしなくてもいいような気もしてくるし、大変です。
定番のヤマハのNS−10Mでもいいのでしょうが、どうもあのスピーカーでは、
あくまでも私個人的にではありますが、聴く気がしないのです。
まだソニーのSMS−1Pとか2Pならば、「やるぞ!」っていう気がします。
ジェネレックかアコースティック オーディオのBM6A位が欲しいのですが、先立つ
ものがないので入手していません。
現在は、メーカー名不明の自作フルレンジ14cmのやつとパナソニックのミニコンポ
のスピーカー。 最終的にOKかどうか見極めるのが、タンノイのホールスピーカー
のランカスターです。
それぞれにオーラトーンより良かったり、10Mよりまともだったり、JBL4312より
解像度が良かったりと、一定のレベル以上だとは自負していますが・・・。
何方か良いニアフィールドモニターがあったら、教えて下さい。

あれこれ書きましたが、また完成の折にはレポートしたいと思います。
頑張ります!


戻ります