SWEET LITTLE ROCK AND ROLLER
MUSIC COLUMN
見たこと、聞いたこと、感じたこと


ディスカバリージャパン



まったく、対バンというものは厄介である。
好きなバンドがいっぱい同時に出るイベントの場合はそれぞれの印象を
どう位置付けすれば良いのか、頭がこんがらがってしまう。
たとえば、AとBとCという3つの好きなバンドがあるとする。
A→B→Cという順番で、どれもいつもと変わらぬステージを見せた場合、
帰り道、私が一番想いを馳せるのは、記憶の濃い最後のCであろう。
しかし、Bがいちばん愛着のあるバンドだった場合、
Bに対する感想を疎かにできず、CよりもBを優先しなければならないような気になる。
そうすると、Cの良さを追究しきれなくなってしまう。
この時点で一番手のAがさらさら頭にない。Aも良かったんだ。
Aに受けた衝撃は大きかったのに、BとCで邪魔されてしまう。
あぁ、よろしくない。
人間の脳には限界があるのだよ。3つも同時に覚えられるかっつーの。
単純に、昔のものは新しいものに追いやられてしまう。
記憶の新しいうちに、AにもBにもCにも想いを馳せて、いろいろ考えたいのに、
一晩で3つのバンドへの想いを整理させるのは非常に難しい。

2003年7月12日の川崎クラブチッタ。イベント名はディスカバリージャパン。怒髪天企画。
私が目的とするバンドは中でも、ミッシェルガンエレファント、スクービードゥー、怒髪天。
3つの前に2バンド出たが、割愛させていただきます。

まず出てきたのはスクービードゥー。
見るのは初めて。ずっと見たかったバンドで、ファンキーなダンスミュージックは基本的に好きなので、
テレビ等でぱっと聴いただけで、「これは踊れるな」と直感してはいた。
しかし、ライブは予想以上!素晴らしい!
まず、ミーハーな面から言えば、スーツが素敵。ボーカルさんの白スーツ最高です。
サタデーナイトフィーバーのジョン・トラボルタそのものです。
その素敵なスーツ姿で皆さんファンキーに踊るのが、これまた素敵。こっちもテンション上がる。
私が特に目を奪われたのは、ベースさんの動き。
ちょっと高めに固定されたベースをドゥンドゥン弾き、頭を振り乱す。ロックです。ファンクです。
当然のようにボーカルさんもステージをフルに動き回って、観客を見事に魅了。
しっかり、ひとりひとりお客さんを見ようとして、伝えようとして、煽りかたが非常に上手い。
あれは惚れてしまいます。私は惚れましたよ。彼の術中に陥りました。
彼はお客さんを楽しませるためにライブしているんじゃないかと思った。素晴らしい。
音楽的な面から言えば、嬉しいくらい私好みのファンキー&ソウルフル&ロック。
ボーカルさんが始めに「スクービードゥーはみんなのファンキーの味方です!」と言っていたなぁ。
その通り!私の中のファンキーな部分を見事に出してくれました。
ちょっと待て。ファンクってなんじゃいってことになりますが、FUNKですよね、分かりません。
16ビートで腰をフリフリさせるような音楽がファンクでしょうか?
今辞書で調べたところ、「FUNK」という語自体にいい意味はないみたいです。
だけど、私にとって、FUNKの「FUN」は「楽しい」FUNです。
ファンクと呼ばれる音楽を聴いて、これがファンクかと学んだので、正しい定義が分かりません。
ま、いいさ。とにかく、とにかく!スクービーではひたすら腰を振れ!!左右ではなく、前後ね。
私はぐるぐると螺旋を描かせるような、ブンブンいっている音楽が大好きで(抽象的過ぎ)、
スクービーの演奏の間は、彼らの音楽が作り出す螺旋にひたすら身を任せておりました。
彼らの曲は螺旋だらけ。つまり、楽し過ぎ、ということです。
あと、面白いなぁとしみじみ思ったのは、ロックやパンクのライブではお客さんの声援って
「ウォー!」といった感じで、女の子もちょっと低めの声を出しがちなのだが、
スクービーの場合は「フゥー!」なのね。低い声を出す人が皆無。みんなファルセット。男も。
それが新鮮で、おかしかった。
でも、スクービーにチッタは似合わないな。
メタリックで無機質な会場は似合わないよ。少し狭いライブハウスの方が似合うな。
もっと近くで見てみたいな。ボーカルさんに思いっきり煽られたい。
これだけ語っておきながら、まだCDを持っていません。買いに行きたいです。

スクービーの後味を堪能する暇はなく、次がミッシェルと思うと、緊張してスクービーは忘れられた。
Mステの衝撃以来初のミッシェル。期待は高まる。
結局、期待以上のものをくれたと思う。
ミッシェルをこんなにも落ち着いて良く見たのは初めてだったので、いろいろ感じた。
いつもギュウギュウの状態で、生きるか死ぬかで見てますから。
ミッシェルのライブは困る。
ミッシェルのようになかなか見る機会がないバンドで、ビジュアル的にも大好きなバンドとなると、
ライブのとき、メンバーの一挙一動を見逃したくないわけである。
ライブでは彼らの音楽に体は反応して、もみくちゃになって踊りたくなる。
しかし、そんなことをすると、メンバーの仕草をきれいさっぱり見逃してしまうのである。
これは葛藤である。
結局、私は見逃しがちである。その反省から、今日はわりかし落ち着いてじっくり見た。
一曲目、PINKからアベさんがギターを頭上に持ち上げてお客さんを煽る。
ウォー!と吠えるお客さん。
20曲以上するワンマンツアーライブと違って、
8曲というセットリストは、メンバーに「制御」という言葉を忘れさせたのかもしれない。
みんな凄まじいテンションだった。フル疾走。
普段よく見えていなかっただけに、今日じっくり見て、こんなに激しく弾いていたのかと驚いた。
特にウエノさんの動き。髪の毛を振り乱してベースを弾く姿。
あれだけノリノリに弾いてくれるのは客として嬉しいね。
この日、「ハイ!チャイナ!」という古い曲をやってくれたのも嬉しかった。
チバさんがハーモニカを用意したので、何の曲をやるのだろう?と考えていると
ハイチャイナのイントロが鳴り出したもんだから、絶叫したよ。
ファンというものは古い曲を好む。やはりこの曲がこの日一番の盛り上がりだったと思う。
飛び跳ねやすい曲調に、同じフレーズを何度も繰り返すだけの分かりやすい歌詞。
知らない人でも確実に楽しめる曲だと思う。
私が一番うなったのは何と言っても「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」だ。
チバさんの白いタンバリンを振り鳴らす姿をじっくりマジマジと見直して、感動はひとしおである。
あのチバさんのファンキーな動きがたまらなく好きだなぁ。
ラストはサンダーバードヒルズ。
チバ「ハロー ベイビー」
客「イェー!!」
チバ「お前の未来を愛してる」
客「イェーーー!!!!」
絶叫するお客さんたち。その呼応をチバさんも楽しんでいるのだろうな。
この曲のラストの部分のドラムが、今日は特に響いた。
ドゥクドゥクと私の胸の奥に物凄い勢いで入り込むドラム音に根負けしないようにするので精一杯で、
直立不動となってしまっていた。恐るべき演奏力。
サンダーバードヒルズは「お前の未来を愛してる」と歌っているけど、
どう聞いても思い浮かべるのは殺伐とした物悲しい情景で、非常に重い歌。難しい。
まったく、この世界はなんなんだ。
ミッシェルのライブは「ライブ」という場を超越する。

ミッシェルに見事に打ちのめされて、ラストに登場したのは怒髪天。なんとも面白いバンドである。
「トリのミッシェルが終わったので、これから打ち上げです!」
「ミッシェルの後にできるのって俺らぐらいだぜ?何も考えてないからね」
「あれ?まだこんなに人残ってたの?帰っていいよ〜」
「日本語で怒髪天。ロシア語でタトゥーって読みます。タモリさん怒らせちゃってごめんなさい」
最初から笑わせてくれる増子兄さん。
ミッシェルのときの会場のピリピリした雰囲気とは打って変わって、
アット・ホームな温かい、心地よい雰囲気が会場を包む。楽しかったなぁ。
怒髪天を見て思ったのは、男のロマンっていいなぁ、ということ。
女のメルヘンもいいけど、男のロマンもいいよね。うらやましい。
増子兄さんの動き、仕草が好き。男前だから。
怒髪天のお客さんはいい空気をもってると思った。
若い男の子が一生懸命曲に合わせて踊り、増子兄さんにエールを贈る姿は微笑ましい。
怒髪天を聞くなら歌詞を分かり合える男になりたいな。
しかし、ほんとにイナズマ戦隊と似ていたな。

総括すると、このイベントは大成功だったと思う。
まず、出演バンドが5組、ロック、パンク、スカ、ファンクといった感じで、どれもジャンルが異なり、
それぞれのバンドがお互いを消し合うことなく、並存しており、味わいがいがあった。
また、セッティングの間のDJ石川氏の見事な選曲に乾杯。
次の演奏バンドと同系統のような曲をセレクトし、バンドに上手くつなげていて、
スクービーの前に奥田民生の「マシマロ」をチョイスしたあたりが、
ほほぉ、こんな流れもアリなんだな、と勉強になった。マシマロもファンクですよ。
ディスカバリージャパン、その名のとおり日本のいい音楽を発見できたイベントです。
スクービードゥー、ミッシェルガンエレファント、怒髪天、一日で味わいきるには多少無理があるよ。
スクービードに浸りたくてもミッシェルが横入りしてきてしまう。
別々に見て、それぞれに一晩かけて想いを馳せたい。
でも、やっぱり一晩で良いバンドを何個も見ることができたのは幸せなのだろうな。




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