MUSIC COLUMN
見たこと、聞いたこと、感じたこと



ゲット・アップ・ルーシー

   私がガツーンと衝撃を受けた曲。ミッシェル・ガン・エレファントの97年のシングル。
   このとき高校一年生。
   出会いはなんと、カラオケボックス。
   曲と曲の間にCMみたいなのが流れるでしょ。そんときにこのプロモが流れたわけよ。
   目と耳と、両方にガツーンとやられた。たった数秒のこと。
   なんかさー、渋いスーツ来た細い男が「ゲット・アップ・ルーシー!」って連呼してんの。
   曲はすごく短調で、歌詞も「ルーシー!立ち上がるんだ!ルーシー!」みたいなのでしょ。
   「なんじゃこりゃ!?」でした。
   「これがロックだ!」と思ったかどうかはよく覚えていないけれど。
   いやぁ、そのころ私の心を掴んでいたのはSOPHIAだったんです。
   松岡充のラジオを毎週ニタニタしながら聞いてたし、
   コンサートに行っては、ひまわりを振りまわしてキャーキャー言ってました。
   「すぐそばに 君の笑顔が欲しい」という直球歌詞にときめいていました。
   それが突如ミッシェルに心突き動かされましたからね。そりゃ、衝撃。
   SOPHIA目当てでパチパチとかいう音楽雑誌を好んで買っていたので、
   たまにミッシェルとか載っているのを見て、存在は知っていたし、
   写真からして「こいつらかっけー」とは思っていたし、
   CD屋で「ハイ・タイム」を試聴して「うわー、外国のバンドみたい」と思ったし、
   「世間一般ではかっこいいとされているロックバンド」
   というミッシェルの認識はもとからあった。
   だから、カラオケでプロモが流れたとき、そのとき初めて衝撃を受けたというのに、
   「あ、ミッシェルだ!かっこいいよねー、超好き!」
   と、知りもしないくせに、いけしゃーしゃーと友達に言っていたよ。苦笑。
   つまり、知ったかぶりの背伸びをしてしまったのです。
   ミッシェルみたいな、ちょっと曲者が好きになるロックを好きな15歳の小娘って
   かっこいいじゃーんと思ったんです。
   まあ、そんなもんですよね。音楽ってアクセサリーと一緒で、自分をよく見せるために聴くもの。
   今はちょっと違う意義も含まれているけれど、高校生の私にとってはアクセサリー。
   まあとにかく、そこから有言実行、ミッシェルファンになろうと「チキン・ゾンビーズ」をレンタル。
   レンタル?そう、金がないし、失敗するのが恐くて、手短にレンタルで済ましたのですよ。
   いや、でもねー、失敗ではなかったね。一曲目を聞いたときからにやけてしまうくらい。
   それに、改めてゲット・アップ・ルーシーを聴いて、その奥深さを知った。
   ルーシーって切ないんだよ。
   愛する人と結婚して、夢を叶えたつもりなんだけど、ちょっと違う。でも、戻れない。
   このまま知らぬふりしてやっていこうとする女の話。
   単刀直入に状況を説明する語句はなくて、ただその女を見た第三者の感想が
   グタグタ並べられているだけの歌詞。
   だけど、情景がいろいろ浮かんでくる不思議な歌詞。
   「憧れの森のなか 歩いてるけど 目は閉じたまま」
   「ねえルーシー 二人 幸せ見つけたね 終わりだね」
   この「終わりだね」のブラックさ。たまらない。
   何気なく並べられたことばの裏に世界を描ける。
   でもその世界観って言うのがブラックな空気を醸し出していて、
   思い浮かべるのはロンドンの小汚いマンションと路地裏。
   チバユウスケのこの歌詞の世界が物凄く面白かった。
   今でも面白いけど、当時の私にはカルチャーショック。
   「チキンゾンビーズ」はミッシェルのアルバムの中で一番ユーモアがあって面白いと思う。
   「ハイ!チャイナ!吐いちゃいな!」だよ。くそー、うまいなー、コイツ。
   「これがパンクだ!」と思ったかどうかはよく覚えていないけれど。
   よって、ミッシェル初心者の入門にはこのアルバムを勧めます。

   あとね、そんなチバユウスケが「カルチャー」って曲の中で
   「花束抱え 迎えに来てよ ハニー」
   なんて女ことばを歌ったりするのね。もう、やられた。
   他にもイカした女が吐くようなセリフを歌う曲は結構あって、
   チバユウスケが「ハニー」やら「ダーリン」とか歌うのが特に好き。
   「キラー・ビーチ」って曲が「ギヤ・ブルーズ」というアルバムに入っているのだけれど、
   「腹わた切り開いて あたしのお肉を食べてよ ダーリン」と歌っているのですよ。
   あー、たまらんなぁ。究極の愛の世界。どうよ、これ。

   ゲット・アップ・ルーシーについて語るつもりが話が伸びてしまった。
   しかし、ミッシェルについては語るところ多し。
   止まりません。
   あ、ちなみにミッシェルからロックを開拓していくうちに、
   SOPHIAはあっけなく捨てられてしまいました。すみません。




COLUMN TOPへ
TOPへ