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今回は日記です。
西荻窪の家から歩いて10分、吉祥寺東町の小さな美容室で痛んで纏りにくかった髪の毛を綺麗にしてもらい、
吉祥寺駅の方へ向かおうと小道に入ると、
店頭に欧米の50〜70年代を匂わせる布張りや革張りのソファが山積みされているリサイクルショップが目に入った。
良く見ると古くてクタクタのソファは7000円という破格の値で売られており、
小さなテーブルや食器棚は、まさに60年代アメリカンポップなデザインだが、2〜3000円が多かった。
激安。そしてかわいい。
店内でトランペットのジャズレコードがかけられていた。センスの良いジャズ。
それは12000円の値札シールが貼られたテクニクスの一般家庭用のプレーヤで、
その脇に今かけているレコードのものであろうジャケットが無造作に置かれ、
音を出している馬鹿でかい2つのスピーカは4500円の値で、手書きの「成約済」の紙が貼られていた。
お店の商品のレトロな雰囲気に、レトロなBGMにレコードプレーヤ、その店のいい加減な感じ、
そのすべてに私はすっかり興奮していたようだった。
「ここで、まさに今目の前にあって回っているこのターンテーブルを買ってもいいんじゃないかい?」
ここで買わなかったらまた買う機会を逃してしまう。
現代のDJ用に作られた高性能なターンテーブルではなくて、
本当に2,30年前に一般家庭でごく普通に使われていたものであろうターンテーブル、
イカすじゃありませんか!
とりあえずお店の人と話してみようと思い、店内を見渡すと、一人の50代くらいのおじさんが目に付いた。
おじさんは置いてある商品に比べて、別におしゃれというわけでもなく、
まったく何ともない普通のおじさんで、テレビを一生懸命修理していた。
他には、一見おしゃれな帽子を被っており、ちょっと髭を生やしたりしているけれど、
魚屋の着けているような黒いビニルエプロンをつけた謎の30代の男の人が店を出入りしていた。
そこで私は人のよさそうな50代おじさんに声をかけ、
回ってるターンテーブルを指差し、「これって売り物ですよね?」と聞いた。
おじさんはえへへという感じで少年のような笑顔でいろいろ答えてくれた。
「そうね、1万円でいいよ」
「買います」
という会話がいつのまにか成立し、おじさんはかけていたレコードを外し、
アンプにつなげていたコードと電源コードを抜き、ターンテーブルを抱えてレジへ向かった。
「どうやって包もうか?」とおじさんは今度は困ったような笑顔を浮かべ、
「電車乗る?とりあえず、手でもてるようにするからね、なんとかするからね」
奥からボロボロのダンボールを持ってきて、(私はそんなボロボロのダンボールっすか?と不安に思ったが)
一生懸命ビニルテープで補強しながら包んでくれた。
その間私は革がボロボロになったレトロなソファに腰掛けて、おじさんのラッピングを待っていた。
「レコード何聴くの?」と尋ねられ、「60、70年代のロックが多いです」なんて答えると、
「60年代?おじちゃんと話が合っちゃだめじゃないかぁ」と笑いながら
レジの脇にあるCDプレーヤでいじくって、「じゃぁ、こっちの方がいいかな」と言って、
ジャズのレコードを外してからR&BになっていたBGMをロック調の曲に代えてくれた。
数分後、ラッピング完成。
くたくたのダンボールにぐるぐる巻かれたビニルテープ。
でも、ダンボールはどこか外国のもので、なんだかセンス良く見えてしまう。
おじさんからこうやって持ってねと指示を受けるが、普通に重たく、
とてもこれから渋谷のハイウェイの路上ライブに連れ立っていくことはできないと思い、
一旦家に帰ることに。どうせならタクシー乗っちゃえ。
おじさんに「ありがとうございました。安かった分タクシーで帰りまーす」と笑顔でサヨナラし、
五日市街道でタクシーを拾う。
心なしか、タクシーの拾い方が今にもジャンプしそうなくらい元気いっぱいだったように思う。
興奮していたんだな。
タクシーのおじさんも良い人だった。
降りるときに「近くてすみません」と言うと、「いいですよ、気をつけてね」と
重たそうにダンボールを抱える私を心配してくれた。
玄関先にターンテーブルを置いてから急いで西荻窪駅に行き、渋谷へ向かった。
電車の中で、確実に、私は興奮していた。
ターンテーブルを買ったから興奮しているのか、
これからHIGHWAY61のライブが見られるから興奮しているのか、
久しぶりの友達にたくさん会えるから興奮しているのか、
なんでこんなに胸がドクドク鳴っているのか分からないが、
とにかくいろんなことが嬉しい。
ハイウェイのライブも見事なものだった。
とってもとってもいい空間ができていたよ。
ハイウェイが揃って音を出すまで大人しく2,3メートル離れていたお客さんたちが、
「ジャン」と鳴らした途端、ぐわぁーって前に出てきてもみくちゃになったのが面白かった。
スタッフやセキュリティ役を任された人たちが慌てて必死にお客さんをガードしているの。
脇で見ていた私は「うわー、大変そー」と他人事のように笑っていた。
全5曲、休む間もなく、大いに盛り上がる。
ハイウェイが好きで好きでたまらないという顔をした人がいっぱいいた。
ひとつ気に食わなかったことがある。
最後に新曲をやり終えて、さよならを言った後、
にわかにアンコールがかかったが、それを真面目に「みんなこの場から離れてください」
と断ったマサルに「君はロックンローラーなのか」と問い詰めたい。
警察に捕まったら今度こそやばいのは分かるが、もっと面白おかしく終われないのかい?
おととしのトモシロウの「みんな逃げろー」は良かったな。印象的に記憶している。
鬼から逃げるみたいに「わー」って散ろうと思ったもの。
この日、家に帰った後、話題のハイウェイの新曲を聴いて、
私とハイウェイの音楽性が少しずつずれてきてしまっているように感じたけれど、
それも音楽と人の面白いところだと思う。
どうずれてきているのか考えるのも面白いと思う。
それを楽しもうと思う。

さて、ライブ後、自然と身内が集まって談話した後、
数人を連れ立って我が家に帰宅したのだが、
Technics SL1700とKENWOOD NEW ALLORAの相性は如何に?とドキドキしながらも、
早速ターンテーブルをコンポにつなげる。
すると、どうも芳しくないようだった。くそぅ。
なんとか、音量をいつもの2倍にして、普通の音量で聴ける程度だった。
まぁ、良いさ良いさ。
いとおしいレコード独特のぱりぱりした音が、
いとおしいコンポから出てくるのはやはり嬉しいもの。
音楽生活復活!
2004年5月22日