■プロローグ■
魔貴族の屋敷の中は慌しくなっていた。
父と母は戦争へ参加すると言うのだった。
「父上、母上…」
心配そうに見つめるソールは幼いシルキアを抱きしめて父と母を見ていた。
そのソールに優しく手のひらが頭を撫でる。
「すぐに終わるさ、そしたらまた皆で暮らそう」
見上げるソールの頭を優しく撫でる父。
母はにっこり微笑んでシルキアを抱く。
「うん、わかったvいい子にして待ってるvv」
不安そうな顔を消してにっこり微笑む。
「それじゃいってくるねv」
母がそういって行ってしまう。
父は執事になにやら申しつけ、そして母と同じく屋敷を出て行った…。
そして戦争は激化、父と母の生存は時折届く手紙だけだった。
わかるのは戦地と転々と渡り歩き
多くの死を目の当たりにしたということだけ…。
月日は流れども戦争は終わらず
父と母の軍勢は窮地に追い込まれていると聞く。
いても経ってもいられなくなったソールは
執事を押しのけ戦地へ向かおうとする。
「このままじゃ…父上も母上も死んでしまうです…」
大粒の涙を流し崩れ落ちるソールを
幼いシルキアはただ、呆然と眺めていた。
その姿に負けたのか執事は言葉を紡ぐ。
「…では…私が行ってまいります。ソール様はシルキア様を…」
しばらく経って執事は戦地へと向かった。
大きな屋敷に二人、そして護衛の剣豪が一人となった。
ソールは寂しさを振り払うように、
護衛の剣豪から剣術を学ぶことに励んだ。
2年後、戦争は更に混沌を極め
父と母、執事からの手紙でさえ届かなくなっていた。
シルキアも段々とたくましくなり
魔術を使えるようになってきていた。
そんなある日のこと、屋敷の扉が叩かれる。
闇夜の屋敷に混沌が忍び寄ってきたのである。