盲腸日記:第3話



第3話
女医だ。そう、女医がいた。
この病院には何度か来たが、初めて見る顔だ。
身長160位、やや細身である。
顔も、この病院では「当たり」と言えるかもしれない。
ただ、二重まぶたのハッキリした目をしているのに
非常に眠そうに見えるのが多少気になった。

俺は椅子に腰掛け、いくつかの質問に答える。
昨日からの経緯などについて、だ。
一通りのやりとりが終わったあと、彼女が
「じゃ、そこに横になってくださぁい」と言い、俺を
横のベッドをに促す。
けだるい雰囲気と声。まるで「店」だな、と思わず
ニヤけそうになる。

ベッドに仰向けに寝てシャツを上げ、パンツを下げた
俺の上に、足の方から彼女が乗ってくる。
白く、細く、やや冷たい指で俺の下腹部を押す。
「ここは痛いですかぁ?」「こっちはぁ?」
相変わらずけだるい。俺は眉間に無理やりシワを寄せ、
笑いをこらえつつ「右が痛い」と答える。

ベッドから降りてしばらく考えた後、彼女は
「レントゲンと、採血をしましょう」と言った。
最初からそうすればいいのではないだろうか、と
思いつつ、俺は再度待合室へ。

10分程待たされて、採血した後にレントゲン室へ。
ここの担当医は、俺と同年台のメガネをかけた男だった。
奥から、中年の看護婦が手伝いに来る。
ここはさっさと終わらせるのが得策だろうと思い、
痛みをこらえて言われるままに迅速に行動する。
直立して2枚、ベッドに寝かされて2枚。
また待合室へ。

さらに10分程待った後、再度女医の部屋へ呼ばれる。
レントゲン写真と採血の結果を見ながら、
「みぞおちから右下腹部への痛みの移行などから見ても、
典型的な盲腸ですね」と彼女は言った。

盲腸。意外な響きだった。

〜続く〜


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