暗闇。
人の声が聞こえる。男と女のようだ。
近くにいるのか。遠くにいるのか。何を喋っているのか。
よくわからない。
働こうとしない神経を無理やり集中させる。
目はまだ開かない。だが、うっすらとオレンジ色の
光を感じる。
そしてゆっくりとだが、次第に声がはっきりしてくる。
男1人、女2人。女2人の声には聞き覚えがある。
1人はおふくろ。もう1人は、、、親戚のおばさんだ。
男から、何かの説明を受けているようだ。
目を開けることに集中する。ゆっくりと目が開いていく。
3人の影が俺を取り囲み、見下ろしている。
視力の低い俺には、誰が誰だかわからない。
おふくろの声が何か話しかけている。よく理解できない。
緑色の影が、おふくろに何か説明している。
どうやら医師のようだ。
だんだん意識がはっきりしてきた。
体の感覚も戻り始めた。と同時に、背中全体が強烈な
ダルさに襲われているのに気付く。
おそらく、全身麻酔のせいだろう。
3人が次々に「傷は大丈夫か、痛くないか」と
問いかける。
「傷は痛くない。背中が物凄くダルい。痛い。」と
答える。
医師に「これは麻酔のせいか」と問うと、「おそらく
そうだろう。心配ない」との答えが返ってきた。
3人との会話はしばらく続いた。
とにかく背中が痛いので「ああ」とか「うう」とか
適当な返事を繰り返す。
そうこうするうちに医師がいなくなり、おふくろも
おばさんに送られて帰っていった。
顔を左に向ける。窓がある。外はもう暗い。
地獄の夜の始まりだった。
〜続く〜
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