盲腸日記:第13話



第13話
3人が帰ってしばらく経った。
消灯時間はとっくに過ぎてるらしく、部屋は
真っ暗だったが、暗闇に慣れた目を凝らすと、自分の
周囲の状況がなんとなくわかってきた。

左腕。長い管が伸びており、その先には
大小2つの点滴が「鉄の物干し台」のようなものに
ぶら下げられている。
右腕。血圧計が巻き付けられ、一定のリズムで俺の腕を
圧迫している。こいつからも長いコードが伸びている。
そのコードは、俺の足元で真っ赤な光を放つ
大きな機械に繋がっていた。

顔の上にも、細いパイプが取り付けられていた。
そのパイプから伸びた2本の枝のような部分が、俺の鼻に
差し込まれ、鼻の奥に冷たい空気を送り続けている。
思わず「特1」「特2」の情景を思い出す。

左側の壁には大きな窓があり、時折電車が走っていく。
右側にはカーテンがかけられている。おそらく
この向こうにはベッドがあるのだろう。
カーテンの向こうから、時折、老人の「うぅ」という
うめき声が聞こえる。
足元の機械の向こうにも、ベッドが一つあるようだ。
最低でも4人部屋、ということか。

血圧計に空気が送られる音と、足元の機械から発せられる
「ピッ、ピッ」という音、そして老人のうめき声だけが
暗闇に響きわたる。
なす術もなく目を閉じるが、背中の痛みが激しくて
眠ることができない。

時間の経過がわからない。どれぐらい経ったのだろうか。
誰かが俺の点滴を交換している。看護婦のようだ。
「大丈夫ですか?傷は痛みますか?」
「傷は痛くないが、背中がダルい。凄く痛い。」
「ちょっと横を向いてみましょうか」
俺の体を左に向けて、背中に大きめの枕を"支え"として
置く。ほんの少しだが、楽になった。

「そこにボタンがありますから、何かあったら
押して下さい」
そう言って、看護婦は帰っていった。
そしてこの後、俺と看護婦の闘いが始まった。

〜続く〜


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