■看護婦の戯言■
(最終更新日:2002年2月17日)



看護婦になって2年目が過ぎました。
まあ、新人の頃は何でも先輩に口を出されなきゃ出来なかったんですけど、
最近ではそんな事もなくなり、一人で何でも一通り出来るようになりました。
色々な患者さんと関わり、日々嬉しい事やギャフンな出来事など様々です。

最近、ある友達に会ったところ、
『看護婦ってドラマの舞台にもなるような仕事で良いなあ』って感じの事を言われました。
その時は『そうかー?』ってギモンに感じたんですけど、ね。
よー考えたら一杯あるわ。世間離れした事の数々(笑)。そういうエピソードを少しずつでも書いていけたらなあ、と思いました。
では、どうぞ。



◆果物ナイフを振り回す患者さん◆
夜中にやられました(笑)。
血液中のアンモニア値が上がると、『肝性脳症』というものになるんですが、こうなると色々な奇行をしでかして下さります。
この状態になった患者さんが、ずっと夜中にゴソゴソしてた。
こういう状態になっている患者さんは、自分が今何をしているか、ってのが自分で理解できていない状態です。
危険な行動を起こす可能性もあるんで、頻回に病室を覗いて見てたんですけどねぇ・・・。
何回目かに病室を訪れた時、夜の闇の中でボーッとベッドサイドに佇む患者さんが。
最初分からなかったんだけど、懐中電灯で照らしてみると、手には果物ナイフ!
「それ、危ないから頂戴!」って言ったんですが、患者さんはちっとも分かってない。
しまいには果物ナイフ持ったまんまウロウロし始めた・・・。取り押さえるのにずいぶん苦労致しましたよ・・・(笑)。
『コレで刺されたら労災扱い?』という考えが頭をよぎった(笑)。
まあ、刺される事無く無事に取り押さえ、ナイフも没収しました。
ホント、刺されなくて良かった・・・。



◆愛ゆえの逃避行◆
この患者さんは、薬物を大量に摂取して薬物中毒で入院してきた人。若い男の人でした。
まあ、最初のうちは意識不明でグッタリしてたんですが、薬の作用が切れてきてからは暴走気味。
どうも恋愛関係のもつれで自殺を図ったらしいんですが、意識が戻った途端、
『○○ちゃんに会いたいんです!行かせてください!』と興奮気味。
『会わせたら多分また興奮してヤバくなる』という親御さんの考えもあり、
また、自殺未遂って事でもあるため、病院からは出さない事になっていた。
しかしあらゆる手を使って脱走しようとする彼。そして阻もうとする私たち看護婦(笑)。

ある日、私がその人を受け持っていた時、エレベーターに乗ってどっか行こうとする彼を発見。
見つけた途端、ダッシュで追っかけエレベーター来る前に捕獲(笑)。
彼はスゲェ悔しそうな顔してましたねー。
その後部屋に戻ってもらったんですが、2,3分ほど目を離した間に再脱走されました・・・。
ご丁寧に点滴まで自分で引っこ抜いて大量に血を垂らしたまんま(笑)。しかもパジャマのまま。
どうも彼女の家に向かったらしいんですが・・・。
いいとこのボンボンだったから何故かタクシーチケットとか持ってたし、
「多分タクシーに乗ったはず!」と思い、病院に出入りしてるタクシー会社に連絡してみたが、「知らん」ってさ。
「K区に向かったタクシーです!」と言っても、「わかりません」との事。
とりあえず、彼の家族に「病院から失踪しました」と婦長から連絡。
ボーゼンとする私らスタッフ。
この時、「彼は生きて帰って来ないな・・・。」って思いましたね。
自殺未遂の患者さん、ってのも大きかったし、家族の話によると、
多分彼女の家に行っても事情があって会わせて貰えないだろう、って言う事でしたし・・・。
そうなったら再び自殺を図るリスクが高い。
「始末書どう書いたら良いんだろう・・・。」って考えてました。(不謹慎)
まあ、連絡を取る手段も無いし、「まだ警察には知らせないで欲しい」という家族の希望もあり、
そのままひたすら待つしかなかったです。

しかし4時間後、彼女宅から病院に電話が!
彼はやっぱり彼女宅に現れた、と言うことで、彼女宅で保護している、
今から車で連れて戻ります、と、彼女のお母さんからの電話でした。
もー、ホッとしましたよ・・・。時計眺めてヤキモキしてるだけの状態でしたから。
暫くして、彼女とそのお母さんに伴われ、彼帰院。全く無事でした。
「ごめんなさい・・・。でも思いは遂げました。」って。
彼女のお母さんに事情を聞くと、彼はやっぱりタクシーで彼女宅に向かったらしいです。
彼女のお母さんは丁度夕食の仕度をしていたんですが、庭で変な音がするんで庭に様子を見に出たそうです。
すると庭の生垣の中から(笑)血まみれでボロボロの彼が出てきて、お母さんの姿を見るなり
「おかあさーん!」と泣きながら抱きついてきたそうです。
「もう、●●(患者さん)に何かあったんだろうな、って可哀相で、抱き合ったまんま私も泣いてしまったんですよ。」って・・・。
お母さん、アナタ凄いよ・・・。
いくら娘の彼氏でよく知ってるから、って、庭に不法侵入してきた血まみれ男と抱き合って泣けるなんて(笑)。
んで、風呂に入らせて夕食食べさせて、病院まで送ってきてくれたそうです。
その後、彼は睡眠薬飲んでグッスリ寝てくれて一段落。
こんなに大騒動になって大変でした。でも無事に帰ってきてくれて良かった。
私はキッチリ「無断外出」の件で始末書書かされましたけどねー(笑)。



◆商売道具◆
C型肝炎で入院となった患者さんがいました。
C型肝炎ぐらいなら、内科だし、珍しくも何とも無いんですけど・・・。
その患者さんは上半身一杯に柄の入った方でした。つまり、●●●屋さん。
ビビりましたね・・・。できる事ならこの人持ちたくない!関わるの怖い!って(笑)。
カルテ見ても上半身の図にバーッとマーキングして「TATOO」って明記してあるし(笑)。
まあ、この患者さん、入院して肝生検と言う検査をやる事になりました。
(肝生検とは?→右脇腹から長ーい針をブッ刺して肝臓の組織を採る検査。痛そう・・・。)
で、脇腹に結構太い針(ソノプシーという)を刺すんですが、その時に主治医の先生が
「商売道具に傷入っちゃいますねー。スイマセンねー。」と!(何て事を!)
そしたらその患者さん、「あー、もう使ってないですから構いませんよ。」って笑いながらサラリと言ってのけた。
もー「カッコ良いー!」って一発でファンになっちゃいましたよ(笑)。
その患者さん、見た目はかなり怖いんですが、もう足を洗った人らしく、凄く穏やかで良い人でした。
治療で毎日インターフェロンの筋肉注射をしなきゃいけなかったんですが、その人はゴツイ見た目と裏腹に、
非常に注射を怖がる人でした(笑)。いつも「ごめんねー。」って言いながら注射させてもらってました。
治療も無事に終わり、退院されましたけど・・・。今どうしてるんだろうなあ?
ちなみに、指は全部ありました(笑)。それにしても見事な紋々でした。



◆死にかけてもエロ健在◆
まあ、この仕事してたら患者さんの体触ったり、逆にこっちが触られたり、って事は多いんですが。
わざと性的な事をしやがる患者さんもいらっしゃる。
私も血圧測ってる最中に胸を触られたり、夜勤の巡回で個室の患者さんに変な事されかけたり・・・。
そういう方にはやんわりと注意するんですが、ね・・・。言うても気付かん患者さんもいらっしゃる。
もう、心の中で「死ねこのオヤジ!」ですよ。こういう患者さんには。
あんまり酷いと婦長・主治医に報告し、強制退院となります。
まあ、こういうヤンチャをする患者さんは自分で動けるADL自立している患者さんが多いんですけどね。
逆に看護婦サイドから性的イタズラをしようとは思いません(笑)。
チン●ン見ても見慣れてるから「ふーん?」って感じだし、患者は患者で男にあらず、って感じですしね(笑)。
そういう事もあり、入院患者さんは「男性」として見れません。したがって恋愛対象にもなりません。
(私の場合はね。他の人は知らんけど。患者さんと結婚した人もいるし。)
って言うか、うちの病棟、若い人が入院してこないから・・・(笑)。

以前入院していた患者さんで、T氏と言う患者さんがいました。
この人はもう、良い歳(っていうかもう老人)なんですが、ね。
自分の病室にいる事はあまり無く、ナースステーション前のロビーにいつも座っており、
ナースセンターの中をいつもジトーッと監視(笑)。しかもニヤニヤしてる。ヒー!
朝や夕方には必ず病院玄関前のベンチに座って、看護婦が出勤してくる様子をジーッと眺めている。
しかも誰がどういう風に通勤しているのかチェック済み。
看護婦に訳の分からんナンパじみた事を言ってくるわ、エロい言動をかましてくるわで
「T氏の処置に入る時は絶対に一人で行かない。一人で行く時はカーテン開けておく!」が鉄則となる位(笑)。
うちの病棟で非常に嫌われまくっておりました。
もう、この人が退院する時には看護婦一同大喜び!(笑)

しかし、程無くして再びT氏は入院してきました・・・。
入院をうちの病棟で引き受ける時点で、スタッフ猛反発だったんですけどね。
「頼むから他所の病棟にして!」って婦長自ら入院係に直訴して喧嘩になりかけたぐらい(笑)。
まあ、このT氏、悪性リンパ腫という疾患なんですが、前回入院していた時より格段に病状が悪くなっていました。
そんな悪い状態にも関わらず、入院してきて即ナースセンター監視始めるし(笑)。
でもやっぱり病状が進行しており、ある日、トイレに行って部屋に戻ると真っ青になって呼吸苦が出現している。
どうも循環器に何かあるのでは?って事で色々検査した結果、悪性リンパ腫からの心臓へのメタ(転移)だったんです。
心臓に爆弾抱えた状態になったT氏、日に日に弱っていきます。
ちょっと動けば苦しいし、ベッドに寝たきりで酸素も付けられ、自由に動けない。
T氏の事気持ち悪いし、すごく嫌ってたんですけど、こんなに弱っていては憐憫の情が湧いてくるのが不思議な所。
すっかり警戒心無くして接していました。
そんなある日、私がそのT氏を受け持たなくてはいけない事が有ったんですけど。
やっぱり警戒心無く、普通に血圧測ったりしてました。
すると、やられました・・・(笑)。
血圧測ってる最中も、血圧測り終わってからもずっと私の腕を掴んでサワサワっと撫で回している・・・。
勿論良い気持ちはしませんよ(笑)!こんな事されて不快感の方が強いんですけどね。
でも、この時だけは「ああ、この人はこんな死にかかった状態になってもエロ健在なんだな。」って
なんか妙に切ない気持ちになって、何も注意出来ませんでした・・・。
なんか、男の人ってよく分からない・・・。

ちなみにこのT氏、その後、何故か見事に復活されました(笑)。
エロパワー恐るべし!





日々是労働