バイト奮闘記 その5 


挑戦


漢(ヲトコ)には挑戦をしなければならないときが多々ある。
例え、自分がどういう状況であろうとも・・・

さて、今回のバイト奮闘記ですが、
テーマは「挑戦」です。

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自分のシフトは10:00〜5:00です。
これをこんなに短いと恨んだのは
バイトをやってきて約一年半、初めてでした。

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いつもどおりの何気ないヒマな夕方なはずでした。
社員のOさんあれを発見するまでは。

時は、夕方3:30ぐらいでしょうか。
いかにも休日の夕方という感じで、

店自体に客はくるが、レジにまで来る客が少ない

という状態でした。

さて、そんな中、店には
オレ、Oさん、そしてIさん
という3人でした。

さて、ここで初登場のIさんなんですが、
3つ上の女性の方で、例のその3の直接の原因となった人なんですが、
別にそんなんは関係なしに今は仲の良いバイト仲間であります。という人です。
人生の先輩として、いろいろと語ってくれます。いい人です。

とにかくまぁそういう3人で、
ちょうどIさんがハンディモップを持って商品をふきふき店内をぐるぐる回っていましたときでございます、

レジには、オレOさんの二人でした。

ふと、Oさんが話をやめ、いらない紙に図を書き出しました。


手書き




上のような図でした。
どうやら、線が棚を表し、丸が人を表しているようです。

そして、Oさん曰く、

「それをやった瞬間は見てないんだけど、
ワンピースとナルト(共にジャンプコミックス)が一気になくなっていたんだよね。
レジでそんなにたくさんはうってないでしょ?」

オレ「・・・はい・・・」


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きました。
ついに、きました。
不謹慎だとは思いますが、内心わくわくしてしまいました。

Oさんの話は続きます。

「なんかね、さっきから3分に一回ぐらい
こっちをじろじろ見てきてるんだよね。」

なんかずいぶん具体的な数字がでてきたな・・と思いながらそっちを見てみると・・・

なるほど。
たしかにそういう配置で人がいて、どうやらあのかばんをしょってる中学生〜高校生ぐらいの男の子がターゲットみたいです。
そして見ていると、確かにキョロキョロとこっちの方をみたり、掃除をしているIさんの方を見たりとおちつかない様子です。

「そ、それじゃぁ・・・」

「うん。俺はきっとそう思うよ。」


ということで、
レジにいながら二人でその子をちょくちょく見ていました。

すると、今度はその子まるで、こっちが気づいたのを気づいたかのように
店内をうろちょろしだしました。
最初、発見したときはスポーツ雑誌のコーナーにいたんですが、マンガ、パソコン関係などぐるぐる店を回っています。

ということで、

Oさんオレ(&Iさん) Vs. クソガキ・・・もとい、その子真剣、生ガチンゴバトルのゴングが鳴らされました。


ROUND 1


どうやら、その子はとにかく店を出ようとしたのでしょう。
雑誌のコーナーからゆっくりだが確実に店の出入り口に近づいてきました。
しかし、Oさんがそれを見逃すわけもなく、
その子よりも先に何気ない顔で出入り口付近をうろつきだしました。

出入り口まであと数mまでなんとか迫ったその子は、そんなOさんの姿を見て、
ちょっと面食らったように立ち止まり
スタコラと再び雑誌コーナーに戻っていきました。

そんなその子の姿を見て、レジに戻ってきたOさんは、

「99%そうだね。」オレに言ってきました。


どうやら、このROUND 1の戦いの末Oさんの中で

きっと → 99%レベルアップしたようです。


頼もしい限りです。



ROUND 2



今まで、

先回りして出入り口付近をうろつく

とか

温かい目で見守る(笑)

などという防戦一戦だったこっちが

ついに攻撃に出ます。


うちの店には、例えばレジが忙しすぎて手におえないような状況の時などのために、
押すと「ぺろぺろぺろ」と店内と事務所中に音が響くチャイムがなるボタンが
レジにあるんですね。
でも、うちの店にそんな状況はまず来ないので、
余程の常連さんでもない限り聞く機会はない音です。

これに眼をつけたオレは、

「ねえ、Oさん。これを鳴らしてみたら?」

と、ひそひそ声で提案したところ・・・

「いいねぇ。面白いかも」ノリノリで返事してくれました。
さすがです。さすがすぎます。


「それじゃ、鳴らしてみますね」

二人でその子を見ながら・・・


「ぺろぺろぺろぺろ・・・」



「!!!」



案外ボリュームが低く、

「結構、音、小さいですね・・・」

「そうだね・・・」

なんて話をしてしまうぐらいの音量だったにもかかわらず、
その子は、

音のした方に慌てて振り向き、じっとそっちを見て
次にまわりをきょろきょろしだし、自分をみているこっちに気づいて
また慌てて雑誌を読み出す

という、

99% → 150%

にレベルアップしてもおかしくない行為をやってのけました。

そんなその子の姿を見た我ら二人は、

「今、あんな動きしたの、あいつだけだったよね。」

「そうでしたよね。」

という


レジで二人して笑いをこらえるという不気味な男二人組


と化してしまいました。



ROUND 3



どうやらOさんその子の怪しい動きをキャッチしたようです。


「なんか今あいつ、かばんから本出したっぽい。」

「えっ!?」

「今まであいつ文庫のところ(店の一番奥のコーナー)にいたじゃん。
そこで、出したっぽいんだよね。」

「そうなんですか・・・それじゃぁ」

「うん。見てきてくれる?」


ということで、

文庫のところに不釣合いなくらいコミックが山積みされていること

を期待しつつレジから出発しました。

ちょうどIさんもレジに戻ってきました。

ところが、文庫のコーナーにいってみても
別段、いつもと変わったところは見受けられませんでした。

そんな文庫コーナーできょろきょろしているオレその子は、

鬼のような形相で睨んでいました。

そこで、オレは逆に微笑みで返そうかと思いましたが、
とりあえず、いつもどおりのポーカーフェイスでそこを立ち去りました。


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なんだかんだいってもう5:00が近づいてきました。
5:00からのシフトの人が挨拶しながらレジにきました。
そして、Oさんがその人にまた紙で図を書きながらの説明を始めました。

「(紙を指差しながら)そう、あいつがしてるっぽいんだよね。
俺、99.9%そう思ってるんだよね。」



「!!!!!!」



いつのまにやら、

99% → 99.9%レベルアップしていたようです。



そして、5:00が来て、オレIさんはあがりです。


オレ&Iさん「お先失礼しま〜す。」

Oさん「お疲れ様です。」


と終わってしまいました。


これがバイト時間が短いと恨んだ理由です。




さて、
この話には続きがあって、
家に着いたオレは、
冗談半分でこういうメールをOさんに送ってみたんですね。


2月23日 17:18
さっきの件、結果がめちゃ気になるんで、
できれば教えていただけますか?どうなったか。
やじ馬根性丸出しですんませんm(_ _)m


原文そのまんまです。


そして・・・
なんと返事が返ってきました。
そしてその返事はオレの予想をはるかに上回るものでした。

こちらも原文そのまんまです。


2月23日 17:39
俺がレジをうってる時にダッシュで逃げていった!
万が一(99・999%万引きしてると思うけど。)、
万引きしてないと困るから声はかけなかったけど
車のナンバーはわかったからもうこないでしょう!


どうやらOさんは今回のファイトで、

目覚しいレベルアップをしてくれました。


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挑戦

挑戦をする理由は多々ある。
時には、無謀とも思える挑戦も受けてたたなければならない。
しかし、人間は挑戦を繰り返すことによってレベルアップしていく。
成長していく。


ま、今回は

再犯をふせぐ挑戦をしたってことで・・・ね。




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