Album "44 Magnum" Review
#9 アーモンド
1.回想
胸をぎゅっと持ってかれそうな、そんな息が苦しくなるような恋を
したことがある。
想い出は美化される、とはよく言ったもので、確かにわたしの中に
残っているそれは、辛い気持ちがほとんどを占める中でも、ほんの
数パーセントの甘く、美しい想いのおかげで、その全体像をとても
きれいなものに保ってくれている。
その想い出を、ゆっくりかみしめる。
よく晴れた空と、おそろしく青い海と。
目が痛くなるくらいの鮮やかな緑と、照り返し。
あのときがあって、今のわたしがいる。
過去をなかったことにすることはしないかわりに、今を大事にする。
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2.所感
「この一品で何杯でもご飯が食べられる」おかずがあるとするなら、
わたしにとって 『アーモンド』は、
「この一曲でいくらでも泣ける」曲である。
久しぶりに、メロディーの美しい曲に出会った。
阿部義晴の作品のなにがいい?と聞かれれば、わたしは真っ先に
「完璧なまでのコーラスライン」と挙げよう。(『心の地図』しかり)
その重ね方は、かなり計算されたものだと思う。阿部さんが作り出す
微妙なハーモニーを、わたしは心から愛する。
歌詞。今の彼から、このような歌詞が出てくることが、彼の純粋さを
あらわしているようで、単純に感動する。
歌詞の中には、人の心をとらえるキーワードがいくつかあって、情景を
容易に思い浮かべられるような表現が散りばめられている。
「澄んだ日々」「確かな時間」「降り注ぐ雨」「ずぶ濡れになった二人」
「そのくせに」という言葉の使い方が印象的だ。
辛くて苦しいのに、「心から 暖める」気持ちになるから、人はずっと
こういうことを繰り返すんだろうな。
(01.07.17 UP)
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