
実践ボーカル塾
≡koh wakamatsu
offical website≡

|
ボイストレーニング編
 |
■Message from Wakamatsu
歌を唄う時は出るがままの声では良い歌は歌えません。すなわち心を表現するために必要なそ
の人の一番良い声を出せるように訓練することがボイストレーニングの大事な目的なのです。
近年のようにボイストレーニングがとてもシステマテックな理論として確立され、実践され始めた
のはまだ30年にも満たないことでしょう。
それまでは極少数の才能に恵まれたボーカリストだけが歌うことの喜びを享受することが出来ま
した。しかし、このボイストレーニングがカラオケと共に一般に広まったことで、それほど才能に
恵まれない歌好きな人も、飛躍的に上達するようになりました。
だからこそ初めから「私は歌が下手」「声が出ないから」と諦めてしまうのではなく、最新のボイス
トレーニングに挑戦してみては如何でしょうか。
|
|
■呼吸の基本
寝ている時に自然に呼吸をしているのが「腹式呼吸」別名(横隔膜呼吸)です。いざ歌うとなるとど
うしても力が入り、腹式呼吸ができなくなります。
歌を唄うときの呼吸には2通りあります。両肩を上げないようにゆっくり息を吸い込んで、お臍に
意識を集中させ、お腹が膨らむようになれば腹式呼吸です。それに対して息を吸った時両肩が
あがるような吸い方は「胸式呼吸」別名(鎖骨呼吸)といって横隔膜を押し上げ、上半身に力が入
ってしまいます。この状態で発声をすると喉に大きな負担がかかり、息も長続きしません。ポイン
トは息を吸う時両肩の高さをかえないことです。
肩を上げずに吸おうとすれば自然に「腹式呼吸」をせざるを得ないからです。歌は息を大きく吸
って吐き切ることが基本です。そんなことは当たりまえと思ってはいけません。「以下にいっぱい
息を吸えるか」がいい歌を唄うための基本せす。
呼吸器官(複式と胸式の違い)
@胸式呼吸(鎖骨呼吸)呼吸のたびに胸や肩が動いている場合
胸の中には大事な心臓の他、肺(肺臓)と呼ばれる空気袋があります。その周りを肋骨と呼ばれ
る12対の骨が籠のように取り囲んでいます。
肋骨同士を動かす筋肉の働きで肺を伸び縮みさせ、空気を出し入れします。この場合の呼吸の
仕方を「胸式呼吸」と呼びます。
A腹式呼吸(横隔膜呼吸)お腹が動いている場合
一方、肺の下側には胃袋など、お腹の中にある臓器をさえぎる1枚の膜がついています。これを
横隔膜といいますが、この膜が上下するにつれて肺(空気袋)も伸びたり縮んだりします。この
横隔膜の働きを調節するには、お腹のところにある筋肉(腹筋群)の働きによるもので、この場合
を「腹式呼吸」といいます。
実際にはそれぞれが単独に働くことはありません。ただその混ざる比率が違うだけで、正確に
は胸式は「胸式腹式呼吸」複式は「複式胸式呼吸」と呼ぶべきでしょう・
■発声
「発声」というのは声がスムース出てくることだったり、声がより伸びやかに出てくることだったり
のための過程と考えられます。ただ単に声を出すだけでは歌の「発声」とは言えません。ではそ
の「発声」を勉強する意味とは
・喉の筋肉を強くすること
・口の中の筋肉を鍛えること
◎身体全体の筋肉に普段の生活では使っていない筋肉、唄うための筋肉を鍛えることだと思っ
てください。声が出る源である声帯は、粘膜と筋肉の二層構造でできています。声帯に空気が触
れて振動して声になります。先ず発声は声帯の筋肉を鍛えることから始まります。
次に重要になってくるのが、空気が振動しただけでは音が小さいままなので、音を増幅・共鳴させ
響かせること、つまり、音が響く体を作らなくてはいけません。
そして歌は沢山の空気を使って、喜怒哀楽の感情を表現していくのです。
口を大きく開ける
発声の第1歩は先ず、口を大きく開けてみましょう。すると不思議なことに顔全体の筋肉が伸び
ていることが分かります。更に額から頭のてっぺんまでも筋肉が伸びています。そこで試しに声
を出してみましょう。どうですか、筋肉が自然に伸び、腹筋や腰周りの筋肉にも力が入り緊張す
ることが分かるはずです。
つまり、発声練習によって歌を唄うための筋肉が鍛えられることになります。逆に言えばこの筋
肉を鍛えなくては楽しく唄うことはできません。
イメージング
ただ漫然と口を大きく開けるのではなく、喉を大きく開かないと空気は入ってきません。歌う場合
は常に空気の出し入れをスムースに行わなければなりませんから、先ず口を大きく開くと同時に、
喉の奥も開いていることを自分自身で十分自覚する必要があります。
喉を開く
この喉が開いたという状態は、同時に「声帯が下がっている」状態を示しています。歌う場合はこ
の「声帯が下がっている」状態が理想的なのです。まず、初心者は声を出すのではなく、
@口を大きく広げる
A喉を広げる
B声帯が下がっている状態を覚える
これを発声の前に繰り返し繰り返し練習する。すると腰がすーっと伸びて姿勢が誰に直されるこ
となく、歌うための理想的な形になっているはずです。そういう自分の身体を覚えておくといいでし
ょう。
■共鳴
肺に溜まった空気が声帯の振動によって音に変化し、その音が身体の中で共鳴して外へ複合的
な音となって出ます。しゃべる声も全て身体で響かせて出てくるわけです。つまりレコードで言えば
声帯がレコードの溝をトレースして振動する針、その振動を増幅させ加工するのがアンプである体
全体です。
共鳴する主要な三つの部分
@喉(咽頭腔
A口の中(口腔)
B鼻の中(鼻腔)
良く響く声は単独よりも三つの共鳴腔の息に流れに乗せて歌うと良い。
声を響かせるのは鐘のイメージ
例えて言えば鐘と同じです。意識の問題として声を出した時に、自分自身の身体で感じる響きが
最終的には頭蓋骨ドームで共鳴しているようなイメージを持たなくては、声は響いているとは言え
ないのです。良くプロは「声をぶつける」と言いますが、自分が出すことのできる精一杯の高い声を
出してみましょう。
裏声になってもかまいません。その時大きく開いた鼻の穴から空気が勢い良く抜けていますか?
勢い良く抜けていれば頭蓋骨ドームに響いている証拠です。
例えば高い音程で声を出してみて、鼻から抜けていく空気を少なくしてみましょう。次に同じような
声を出しながら今度は逆に空気を鼻の奥、または頭蓋骨のてっぺんにぶつけるようなイメージで
思いきり空気を抜いて出してみましょう。どうですか?前者と後者では自分で感じる響きが全く違い
ますよね。
空気を鼻から思いっきり抜いたほうが響きは倍以上に感じられたのではないでしょうか。これが「声
をぶつける」というイメージです。歌を聴いてくれる相手に響く声を聴いてもらいたいのならば、先ず
自分から響かなくてはなりません。スポーツでもなんでもそうですが、先ずは、「やりすぎかな!」
と思うくらいに大げさにイメージして練習をすることです。けれど実際にはそれほど変化がないので
イメージを大きく持つという意味合いが大切なのです。
口を大きく開けて練習するだけでは発声練習にはなりません。それはただ声を出しているだけです。
最新の発声練習というのは、ちゃんと声をぶつけて、かつ「外へ声を抜かせる」という意味がなけれ
練習の意味がないのです。
音程により響く位置が変化するプロ・上級者
良くプロは「当たる」という言葉を使います。つまり、ある音程の声を出した時、それに対応して響く
場所が自分の身体にそれぞれあって、ピタッと合ったときに「当たる」という表現を使います。
音程が低くなればお腹から響いてきて、高音になるにつれて響く位置が上になり、頭上に移動して
きます。これは個人差があるので一概に「ド」の音はここが響くとか、「レ」はここで響くとかというこ
とはありませんが、発声練習を続けながら自分の響く場所、つまり「当たる場所」を発見して下さい。
ただし、このイメージを掴めるようになるまでは、相当な練習と筋肉を鍛えなくてはならないので、
一夕一朝には無理です。兎に角練習するのみです。
でもプロは日々「声をぶつける」と「声が当たる感覚」を意識して歌っているのです。ただ何気なく歌
っているのではないことが分かりましたか?歌って知れば知るほど奥が深いですよね。
入力系の大事なしくみ
聴覚器官
地下鉄でのおしゃべりは思わず大きな声を出してしまう、静かな部屋では小さな声になる、これは
自分の気づかないうちに聴覚器官の調節を受けて反応しているからです。
ところで、テープレコーダーに録音された自分の声と、しゃべっている時に感じている自分の声が
あまりに違うことに驚いた経験は皆さんもあるでしょう。不思議なことに、テープで聴く自分の声は
他人みたいで親しみがもてませんよね。歌など練習して吹き込んだ後、聴いてみると、いろいろア
ラが目だって嫌になります。
耳は身体の外部から音が入ってくると、外耳から中耳というところに入ってきます。そこは太鼓の皮
のように薄い膜(鼓膜)が張り付いています。この中を通った音は内耳に伝わり、さらに、聴覚神経
経路を経て、大脳の聴覚神経中枢へ辿りつきます。
ところが、こういう伝わり方の他に違う経路があるのです。言い換えると一種の近道で、最初の外耳
→中耳を飛び越えて、いきなり内耳→聴覚神経経路→聴覚中枢へという伝わり方があります。
身体の外部から音源が伝わってくる限り、どんな音も大部分は一般経路という普通の経路から入
り込み、少しの部分がこの近道を辿ります。
しかし、自分のしゃべる声を自分で聴く場合は、音源が体の内部にあるため、この仕組みが逆転し
ています。身体の外に放出された声という音波も、当然はね返ってきますから、一般経路からも伝
わってきます。その比重は少数勢力です。
これに対して、テープで吹き込んだ自分の声を聴く時は、自分の声であってもその音源は外にあ
る ので、この場合大部分の音が一般経路、即ち外耳→中耳→内耳→聴覚神経、1部のみ近道、
即ち内耳→聴覚神経というパターンを辿ります。
このためテープの声はいつも聴きなれた声とは違って聴こえます。結局のところ、客観的に聴いて
いるようでも、自分の声を聴いている時、実は極めて主観的な聞き方をしているということになりま
す。
声楽家でも音階を間違える
最初にC(ド)を与え、音階(ドレミファ)をやってもらう、次に両耳にヘッドホンを当てて自分の声も
聴こえないくらいの雑音成分の音を聴かせ、聴覚器官を邪魔した上で音階練習をやってもらうと、
どんなに優れた音楽家でも音程を外します。聴覚器官は入力系には大事な仕組みであること
が分かります。
次の頁に続く→
|
|